ルールや形を工夫して楽しいドッジボールを

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目次

1.宣言

手軽なスポーツ

ドッジボールは手軽で短い時間でも楽しめるスポーツです。特に小学校ではよくはやっているのではないでしょうか。それだけに、きちんとしたルールを確認し、身につけさせておかないと、力の強い子供の発言がまかり通る場になってしまう恐れもあります。学年のはじめに体育の授業でルールの標準化を図っておくのがいいと思います。とってもいいスポーツだと子供たちに話した上で・・・・

「上手な人がだけが楽しむためにやるのではありません。」
「学校でやるスポーツは、勝つためだけにやるのではありません。」
これを明確に示しておきましょう。「みんなが楽しいドッジボールにしましょう」宣言しておきます。2年生の光村図書教科書の国語には「おにごっこ」という説明文教材が載っていて、そこには「みんなが楽しいおにごっこ」にするのが大切だと書かれているので、私はことあるごとにこの言葉を引用しています。 「みんなが楽しいドッジボール」にするために、どういうルールや気持ちが必要なのかを子供たちに話し合わせるのもいいかもしれません。

細かいルールの確認

上手な子供はどういうルールにすれば自分が有利になるかをよく知っています。何人かの上手な子供たちが自分たちのいいようにルールを作り変えて周囲を引き込み始めると、不穏な空気になってきます。早い段階で細かいルールを全員に確認しておいた方がいいと思います。下記に色々と例を示してみましたが、アレンジしながらやってみるといいと思います。また、学年や学校でルールを揃えておくと、クラス対抗や学年をまたいだ対抗戦などがスムーズに行えます。

◎線を出て投げたらアウト(ルールでアウトになると基本的に相手ボールになる)
◎味方チームのボールをもらうのは、なし(下図、ピンクの矢印)。みんなが楽しく成長するのが目的だから、自分が受けたボールは自分で投げる」。・・・・ボールを譲るのは本人の勉強になりません。譲ってもらうのを強要するのは、人の学習の邪魔になります。
◎同じサイドでパスをするのは、なし(下図、黄色の矢印)。
◎角から角へのパスは、なし(下図、黄緑色の矢印)。
◎味方の方に転がってきたボールを横から割り込んでとるのはなし。
◎もめたらストップ、ジャンケン。・・・・審判なしでやった場合はなかなかファウルや当たったかどうかの判断が難しいです。線を出た、出ないもよくもめます。もめた場合は、ストップをかけて、ジャイケンをする習慣をつけておきましょう。
◎審判が全部を見れるわけがない。→→→ もし自分が当たったら、正直に、外野に出る。
◎暴言を吐いたものは、先生の所へ。・・・・躊躇せずに5分間退場でいいと思います。
◎同じサイドから同じサイドへのパスは、なし。
◎勝手に内野と外野を交換しない。・・・・こういう、どう考えても勝手なルールを作ってしまう人がいます。
◎苦手そうな人に思い切り投げない。・・・・人を見て、投げる。(優しく投げた子供を見かけたら、ゲームの後で褒めましょう)

2.投げる技術

とにかく、ボールを投げることと受けることが上手になるように練習させておきましょう。そうでないと、逃げてばっかりでは面白くありません。
下記の関連記事もご覧ください。
「ボールを単に投げる練習」は必要です

3.外野は?

最初に外野に出ている子供は、3人ぐらい。外野はゲームごとに必ず交代する。外野は味方の内野が1人当てられて外野にきたら、必ず内野に行くって、交代してゆく。

 4.変則ルールで楽しく

ボールを2つにする。

2つにすると、ボールを後ろにそらしても試合が中断せず、スピーディーになります。2つのボールに注意が分散するので、どこからボールが来るかわからないので、スリリングです。ボールを投げる力が弱い子供でも、当てるチャンスを狙えます。3こだまにしても面白いです。
また、赤色ボールを1こ混ぜて、それは女の子専用にするなどの工夫をしても、いいかもしれません。
最近の子供はけがに弱くなっているので、ボールは2つにするでも、1つにするでも、柔らかいものを使いましょう。ソフトバレーボールのボールがいいと思います。

王様ドッジ

王様を決めます。お姫様にしてもいいです。王様以外は「家来」とか適当に名前をつけましょう。人数は、チーム人数の10〜20%ぐらいがいいのではないかと思います。女子(女王様)2人と男子2人とかにするのもいいでしょう。王様にゼッケンをつけるなどして、目立つようにすると盛り上がります。王様は、当てられると2度と中に入れません(ゼッケンがあれば当てられたらゼッケンをぬがせるようにすれば、家来として中側に復帰できます)。王様が全滅したら、それで試合終了です。
全滅戦に比べて偶然の要素や作戦勝ちの要素が強くなるので、勝つチームが運動能力が優れているチームとは限らなくなってきます。
何回戦かやって、ゲームごとに王様は必ず交代することにしたら、半分ぐらいの子供が王様になれるようにも仕組めます。上手な子供は、自分たちだけで狙いあいをすることがあって、上手でない子供たちを蚊帳の外にしてシラケさせることがよくあります。王様を中心に試合が回ると、そういうことがなくなります。王様が当たりそうになると、身を挺して王様を守りに行く子供も出てきます。頭脳的プレーです。すぐに褒めましょう。
王様と女王様で複数人にしておけば、時間を切って、残った王様の数で勝負を決めることもできます。勝負を早くつけたい時には、王様ドッジでするのがよいと思います。

復活ドッジ

外野は固定して交代なし、内野が当てられたら、牢屋に入ります(牢屋は長縄や線で作ってあげるとムードが出ます)。味方の内野の子供が敵のボールを受けるか、敵を当てるかしたら、順番に1人ずつ内野に復帰できます。

当たっても外野に行かないでいいドッジ

これはヒット作でした。1ゲーム中、外野は同じ人がやります。3人から6人ぐらいが適当な数でしょう。投げる力が弱い子供は一度外野に出てしまうとなかなか内野に戻れません。内野は当たっても外野に行かなくていいことにします。得点は当てた数をカウントします。どんどんカウントが増えるので、得点係が必要かもしれません。受けることができたら、相手の得点を減らせます。 2こ玉にするとスピードが増し、さらに面白いです。逃げるのが大変になって運動量がすごいです。ドッジボールはよく上手な子供同士で2人の勝負に酔いしれて当て合いになってしまうことがあり、場がしらけてしまいます。このドッジでは上手な子供はゲームをやりながら、上手な敵を狙ったら損な事に気がつきます。また、上手な子供は、下手な見方を守ってあげないとゲームに勝てないことに気がつきます。これが、面白く、頭脳戦が繰り広げられます。クラスの腕白者が普段は目立たない見方の女の子を守るシーンなんかは感動モノです。そんな場面はうんと褒めてあげてください。

王様ドッジ+復活ドッジ

王様ドッジで、当てられた人があまりボールを投げるのが上手でなくても復活できるようにルール設定します。当てられた人は牢屋に入りますが、牢屋の定員は4人(または5人)にしておき、新しく当てられて牢屋に入ってきたら、順番に一人ずつ内野に復活できることにします。普通は投げるのが上手でない人はなかなか内野に戻れないのが、自動的に戻れるので退屈しません。

変形コート

コートは何も長方形を2つの長方形に割った形でなくてもOKです。勝ったほうのコートを次の試合では小さくするとか、斜め線や波線でコートを分けるとか。大人数で一緒にしたいときなどには「田んぼ」の形にするのも面白いです。「田の字ドッジ」と、呼んでいます。

コートが狭くなる

また、コートを台形にして、勝ったチームのコートを狭くなるように真ん中のライン(下図青)を動かすのも面白いです。真ん中のラインを長縄などにしておくと動かしやすいです。これなら、男子対女子でも、互角の戦いが期待できます。


※ 上手な子供は、自分たちが目立ったり活躍してできるルールを好んだりするので、3〜7などのバリエーションを嫌うことがあります。「みんなが楽しいドッジボール」の趣旨をよく理解させてあげてください。
※ いろいろなバリエーションを書きましたが、適当に組み合わせてアレンジを施してやってみてください。試行錯誤は教師側の学びにもなります。たかがドッジといえどもやり方次第で盛り上がりも盛り下がりもします。

※ 最近の子供は怪我が多いので、柔らかいドッジボールを使いましょう。ソフトバレーボールに使う球を用意してあげればよいかと思います。

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