動画をご覧ください
壁蹴りをしてインサイドキックを上達させる方法について記述します。まずは、動画をご覧ください。
サッカーを学校の体育授業で扱うのは難しいです。手でボールを投げることでさえ難しい子供がいるのに、それを足でするとなるとなおのこと。思った方向に蹴ることもできないため、サッカーがゲームとして成り立つのはかなり難しいです。
子供はインステップキックをやろうとしてトーキックをしがちです。トーキックをやっている限り、思ったところにパスを出したりシュートを打てたりする確率はとても低くなります。試合が偶然に左右されることが多くなり、サッカーというよりも、「ただ走り、ただ蹴る」だけのスポーツになってしまいます。
インステップキックについては、下記の記事をご参照ください。
「サッカー」ボールを上手に蹴る ~インステップ編 | EDUPEDIA
また、なぜ上手に蹴れないとサッカーは授業にならないかについては、下記の記事をご参照ください。
サッカーの試合が団子状態にならないように | EDUPEDIA
ひとつ上のレベルへ
インサイドキックはインステップキックやトーキックに比べるとかなり精度の高い蹴り方です。ところが、インサイドキックもまた、インステップキックと同様に難しいのです。目標物(味方・ゴール・空きスペース)に正確にパスを出すためには蹴り足、軸足の動きをかなり上手にコントロールせねばなりません。
コントロールを上達させるには壁蹴りがとても効果があります。地味な練習ですが、大事だと思います。2人組でやるとお互いにミスが連発されます。壁蹴りなら自分がミスすればボールが返ってこないだけです。自分と向き合うというよい機会でもあります。
学年の始めにやらせておくと、何人かはコツをつかんできます。できる子供が増えてくると、見よう見まねでできるようになってくる子供も増えてきます。子供には次のように説明をしましょう。
- インサイドパスについて教えます。・・・「コントロールが正確な、足の内側で蹴るパスです。」ぐらいでいいでしょう。
- 蹴る場所を教えます。・・・「足が曲がってLの字になっていますね。その、曲がっているところでボールの中心を蹴ります。」この辺りと、指をさして示しましょう。「つま先の方で蹴るとコントロールが悪くなるよ。」
- 「足はガニマタになります。」・・・・・実際に見せましょう。ボールが飛ぶ方向に軸足が向いていて、壁に平行に蹴る足が向いている(足が90°に開く)と上手くけれます。それを説明してもすぐに理解をするのは難しいので、「ガニマタ」でいいと思います。90°についてはいくらか実際にさせてから、説明でいいと思います。
- 壁から1.5メートル離れて、蹴らせます。体育館で床に引かれたラインがあれば「そこより前に行かないように」と指示をします。
- できれば左右どちらも使って。
- 強く蹴ると強くかえってくるし、弱く蹴ると弱くかえってきて1.5メートルに届きません。
- 足を上手に踏み変えないと、返ってきたボールを上手に蹴れません。この踏み変えのタイミング・リズムを習得できるようになるのも壁蹴りの大事な目的です。インステップキックの上達にも影響してきます。「いかに軸足(蹴らない方の足)をボールに対していい位置にもっていくか」を体感させることが重要です。先生が模範をできるなら、見せてあげてください。上の動画をよく見てみると、何気なくやっているようで前後左右に細かく足を踏みかえたり、または踏みかえずにこらえている様子が伺えます。
- 10分ほど、できるまでずっとやらせます。できた子供から名前を呼んでやめさせてもいいでしょう。中には壁に近づきすぎたり、離れて無茶蹴りをする子供が出てきますので、1メートルに修正させます。
- できれば、体育の時間のはじめに5回ぐらい、やらせてみてください。
- 上手になったら、友達と二人組みになって、パス練習をやらせましょう。
- ボールの芯をたたいて効率よく力を伝えるイメージを持たせましょう。どの球技にも共通する大切なイメージです。体得できれば大きな財産になると思います。
11・
上手くいかない子供の特徴
難しいのでなかなかうまくいかない子供も多いと思います。上手くいかない子供は、
▲ 根気がない。
▲ 失敗を恐れて壁に近寄って小さく蹴る。(そうするとコントロールの悪さが目立たない→→→誤学習)
▲ 思い切り蹴ってしまう。(そうすると早いボールが返ってきて間に合わない)
▲ 利き足にこだわる。
▲ ガニマタができない。・・・主旨が理解できずにずっとトーキックしている子供もいます。
▲ 蹴り足を壁に平行なまま動かすことができない。・・・これは体得しないとなかなか分からないです。
▲ 蹴り足は平行だが、つま先辺りで蹴っている。・・・体得です。
▲ 軸足が棒状態(腰が高い)。・・・軸足を少し曲げることでボールとの距離を調整できるのですが、これは
▲ 「軸足をボールのすぐ横に置く」というイメージがある。・・・どの球技でもそうなのですが、ボールに触る(キャッチ・ヒット)位置は体の少し手前でないと視角の中にボールをとらえにくいし、差し込まれて調整ができないし、力がボールに伝わりません。
上手くいかなくてもいいです。上達ポイントが多いと何もかも全て教え込もうとしてしまうのが教師の親切魂、またはおせっかい癖です。全部説明してから始めるのではなく、ざっくりとした指示で始めればいいと思います。何度も何度もやってみさせて、様子を見て、アドバイスをし直すのもいいと思います。
リズムよく、連続してできるようになった子供に「合格」を出して支援する対象を絞り込めば、丁寧なサポートができます。私は体育館のギャラリーに上がって、全体を見渡しながら、マイクを持って「○○さん、合格!」と、合格者を増やしていきます。合格者は短縄やフラフープなど、他の事をさせておきます。合格した子供にミニ先生になってもらって、アドバイスをお願いしてもいいかもしれません。
長い期間をかけて少しずつ
このような準備的な練習の必要性に言及すると、
「でもそれ、練習する時間ないですよ。いつ練習するのですか」
という質問を受けることが多いです。確かにやることが多く、時間は少ないですが、年間を通して隙間時間にこうした準備的な練習を挟み込むことによって結果は大きく違ってきます。長い期間で少しずつ積み上げていく中で、子供たちに自信がついてくるため、吸収力が高まって短い時間で練習の効果が上がってくるようになります。1時間まるごとをサッカー練習に使わなくてもいいと思います。
1年生から組織的にこうした基礎練習も取り入れながら積み上げていけば、難しいサッカー授業も盛り上がるようになると思います。
関連記事
下記リンクも是非ご参照ください。
「サッカー」ボールを上手に蹴る ~インステップ編 | EDUPEDIA
「サッカー」インステップキックの練習その1 | EDUPEDIA
「サッカー」インステップキックの練習その2 | EDUPEDIA
「サッカー」ボールを上手に蹴る ~インサイドキック編 | EDUPEDIA
「ボールを単に投げる・蹴る練習」は必要です | EDUPEDIA
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