授業を見る目 NO3 ~ 自己モニタリングを意識した授業

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作成者: 高岡昌司さん

メタ認知

以前、社会科教育共同研究において,「認識の高さとメタ認知との間には高い相関関係がある」という実践研究の成果を発表したことがあります。メタ認知とは,自分自身の行動や思考そのものを,客観的に把握し認識する力と言われています。研究成果を簡単に言うと,学習内容の理解が高い子どもは自分の学びの様子を客観的に見る力が高く,そこには強い関連があるということです。

このことは,授業づくりにおいて,学習内容をどのように理解させるのかという視点だけでなく,子ども自身が自らの学習を振り返る場面や方法を保障することが極めて重要な視点であるということを意味しています。

そんな難しそうなことができるのかという声もあるかもしれませんが,メタ認知のために特別な学習過程を組織するのではなく,日々の授業実践の中で,子どもの発言や表現物に対して,教師が意識して,子ども自身が自らの学習を振り返る言葉がけ等を積極的に行うことで十分に可能になると思います。

私自身もそうでしたが,若い教師はどうしても,授業づくりにおいて「教える」学習内容にのみ偏りがちですから,認識面以外の部分(認識を支える視点)である意欲や思考力,表現力等を育てる視点を意識するためにも,子どもたち自身が自己モニタリングする場や機会を設定して行くことは有効であると思います。

先日ある講演会で,国立教育政策研究所初等中等教育研究部の白水始総括研究官は,

人がもつ学びの力として,

1) 人は言葉や身体で考えを外化すること、

2) 言葉を通して考えを深めること

を挙げられ,学び合いの必要性を主張されていました。

つまり,人は考える時,言葉をはじめとした様々な表現で考えを外に表し,それらを用いて対話することを通して考える力を深めるという学びの特徴があるということです。

自己モニタリング ~ 自覚的に客観的な振り返りをさせる

「自分の考え」が,言葉や図によって具体的な形で目に見える化されるため,ここをより意識して指導や評価に生かしていくことが重要であると考えています。
自己モニタリングとは,このように見える化した自分の言葉や図をいかに自覚的に客観的に振り返えらせるかということだと思います。
一時間の授業や単元づくりにおいて,教師は子ども達自身がこのような自己モニタリングできる場や機会を保証することが重要であると思います。

子どもの発表や発言等の表現物に対して,教師が高いアンテナをはっていくことで,これまで何気なく流していた子どもの発言や反応の価値をその子自身に客観的に振り返らせることができ,それがその子の学びや認識に大きな影響を与える可能性があると思います。

自己評価

私は,子どもの活動において,自己モニタリング=メタ認知活動(自己評価)と捉えています。 教育の目標である「生きる力」は自ら学び,自ら考え,といった学習者自身の主体性がその根底にあります。ですから,学習者自身が自分の学びについて意味づけ価値づけし,望ましい自分へと変えていく方略が必要です。そのための自己評価(メタ認知活動)そのものが自己モニタリングであると捉えました。

評価というと堅いイメージですが,私が自己評価において,教師の支援としてポイントであると考えることを以下に3点示します。

1)あらかじめ評価の観点や評価規準,評価方法を想定する

2)一時間ですべてを評価するのではなく,一定程度の時間数の中において評価を行う

3)振り返りシート,レポート,ワークシート,ノート,作文,絵などの表現物と,話合いの様子,学習や活動の状況などのパフォーマンス等の教師の観察による評価を合わせて子どもたちを見とる

以上,大雑把には3つのポイントを意識しています。

自己評価ということで子どもだけの気づきに任せるのではなく,教師からの価値づけや意味づけ等,他者評価を意図的に入れる中で,自己評価が促進すると考えています。その子の内に育まれているよい点や進歩の状況等,教師の願いや思いも合わせて言葉がけを積極的に行うことが,ピグマリオン効果も活かしながら重要なことです。 

子どもの自己評価としては,一般的には,振り返りカードや自己評価カードなどを活用することが多くみられます。私はこれら以外に,「イメージマップ」を授業や単元活動の中に位置づけて取り組んできました。 

単元を通して,2,3回このイメージマップを子どもたちに書かせます。「イメージマップ」とは,キーとなる単語からイメージされること(既有知識や経験知,学んだ学習内容)を自分自身でつないでウエッブのように図式化するものです。学習が進むに連れて,言葉と言葉を関係づけたり,カテゴリーや分類に分けたりする自己評価道具です。イメージマップは,文章で書くというよりも,図的にイメージが広がったり,再構成させたりする表現活動になるので,子どもたちも楽しみながら取り組んでいます。こうして複数回書いたイメージマップを学習者自身が比べることで,自分の学びの様子や,自分の意見の変化などのメタ認知を促します。

子ども達に成就感を

このように,自己評価活動(メタ認知活動)では,やらされる意識ではなく,楽しみながらも成就感を味わうことができるような工夫が必要だと思います。私の経験から,「イメージマップの書き方を教えることは,子どもたちが自分自身の思考を整理することにつながること」,「子ども自身に学習の伸びを自覚させることは,自ら進んで学ぶ意欲につながること」も実感しています。

自己モニタリングを意識した授業づくりは,日常的には,問題に対する自分の答えを求めるだけでなく,その自分の答えや考えがどうして出てきたのかというその思考の過程を振り返るということです。

ですから授業中に「どうして,そう思ったの?」,「○○さんの考えはどうしてこのように変わったと思う?」,「今の活動はどういう意味があったの?」等,教師が個人やクラス全体へ投げかけるという日々の実践がベースになっていることを確認したいと思います。

この稿では,細かな方法や具体的な子どもの作品はお示しできませんが

「イメージマップ~安全なくらし~火事から生活を守る」
http://edupedia.jp/entries/show/88

での具体的な例もぜひご参照ください。

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