授業力をつける~現場・教育委員会・研究現場から~

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作成者:mei endo (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、2014年6月8日に行われた第2回JEES(全国初等教育研究会)教育シンポジウム第1部、高橋伸明先生、盛山隆雄先生、藤川大祐先生の3名のパネリストと、進行役の堀田龍也先生の計4名によるパネルディスカッションをもとに作成しています。

JEES「特定非営利活動法人全国初等教育研究会」は、公教育の担い手である教師と連携し、学校教育を支え、子どもたちにより良い教育を提供することを目的とした団体です。公教育の学力実態調査や教材開発による教師のサポート、サークル活動等による全国の教師の指導レベルの向上、地域社会と学校をつなぎ、社会全体で公教育を支える仕組みの構築を実行しています。詳しくは、こちらをご覧ください。 http://www.jees.jp/

2 パネルディスカッション概要

堀田先生は、「若い先生を元気にするためのシンポジウム」で若手を盛り上げることにより、教育界を盛り上げることができると述べられました。近年、発達障害児を含め多様な子どもが普通教室に在籍する時代を迎えています。今までは、ベテランの先生が子どもの個に応じて対応していましたが、若手の先生にはそれが難しい状況となっています。しかし、教員の若返りは都会から順に進んでおり、東京都を例に挙げると、教員のピークは20代となっています。また、社会人経験のある中途採用者も増えてきているため、32歳だから10年のキャリアがあるとは一概に言えない状況となっています。すなわち、教育困難な状況が増えても対応できる先生がいないことが今日の教育問題と言えます。そこで、パネリストの先生方に以下の3点についてご意見をいただきました。

  • 若い教師は何に困っている?
  • 若い教師のために何をしているか
  • 若い教師にエールを送る

3 若い教師は何に困っている?

1、子どもへの対応

盛山先生は、①学級内で起こっている学力格差への対応、②特に低位の子どもへの対応の仕方、③全員できる・分かる、そして楽しいと感じる授業をどう作るかを、若手の教員の困っていることとして挙げました。高橋先生は、学級全員に活動させるための指導法をベテランから十分に学べていなかったり、モデルにできる教員がいなかったりする現状を指摘されました。また、藤川先生は、子どもたちの能力は一様ではないため、速くできる子を褒め、遅い子はさりげなくフォローするなど、褒めるべきポイントを間違えないことが重要だと仰いました。

2、教材研究、授業作り

算数などの難教材(小数や分数の乗除)の教えにくさを取り上げ、これらの指導を教え込みでなく、子どもたちの声を聴きながら展開するために言語活動を充実させることをお話されました。また、教材研究の重要さを挙げ、若手教員のみならずベテランでも教科書の研究不足に陥ってしまい、全員に理解させる授業が出来ていないことを指摘されました。

4 若い教師のために何をしているか

1、授業の仕方

藤川先生は、授業論研究で教師の発問、授業における指名のランダム性、授業においての利得構造について研究されています。また、教育実践の財産を若い世代に伝えたり、若い教師を中心に教育関係者が集う場を設けるとともに、学校・企業・学生をつなぎ、メディア教育について学べる教師をめざした活動をされています。盛山先生は、指導案を検討する、実際に授業を公開して見せる、全員で協議会をする、の3つを柱とした授業研究を行っています。低位の子ども達への対応の仕方については、授業を通し低位の子どもたちの変容を確認することの大切さについて述べられました。

2、教育環境の整備

高橋先生は、授業改善のためのICT環境整備に取り組み、実物投影機を市内の全小学校に配備されました。それだけでなく、日常的なICTの活用による授業改善のための研修会も行っています。

3、教材の使い方

高橋先生は、我流でないがしろにされやすい教材研究へのサポートを行っています。昔から使われている漢字ドリルなどの教材の使い方が、ベテランから若手へ共有されていないという問題があるため、ベテランのノウハウをリーフレットにしたり、研修パッケージを作成されているとのことでした。

5 若い教師にエールを送る

一流に触れること

高橋先生は、若い時に一流と呼ばれる授業に触れることで、自分の授業に何が足りていないのかが実感できるのだと仰いました。そして、基礎基本という意味で、一流の執筆者によって作られた教科書の研究を十分行うことが大切だそうです。

子どもの変容を作ること

盛山先生は、目の前の子どもを見て自分は何を大事にしたいのかという信念を持つこと、未熟でも素朴でもいいから、子どもの素直な言葉や笑顔が出る授業が大切だと仰いました。
子どもの変容を作ることが授業であり、子どもの答えが間違えていた時に子どもが何をしたかったのかを読み取ること、そして様々な経験を踏まえたうえで、自分がどうしたいのかを考えることが大切だそうです。

学級づくりと教科指導

藤川先生は、学級づくりは教科指導と密接にかかわっており、自分の好きな教科を核に学級を作るということ、教科の重要なところはなにか、と考えることの重要性について述べられました。教科の授業の中で、低位の子どもにもきちんと発言の場、活躍の機会が与えられるといったところから、学級が作られていくそうです。

ひとりでがんばらないこと

最後に、堀田先生は、悩みながらでも遊び心を忘れずにがんばってほしい、努力は必要だが、外へ出てみると助けてくれる人はたくさんいるので、一人で頑張りすぎないことが大切だと若手教員にエールを送りました。

6 編集後記

教員としての立場だけでなく、教育委員会、研究現場の3つの立場の先生方から意見を伺うことができ、現代の教育現場の困難さ、そしてそれに対しどのようなサポートが先生方に対して行われているのかがよくわかりました。現場の先生方は、多様な課題に取り組んでいらっしゃいますが、それに対するパネリストの先生方のサポートの仕方も、同じ課題であっても様々です。その中で現場の先生方が、自分の学級や自分自身にあった指導の方法を見つけていきやすい環境が整ってきていると感じました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 遠藤萌)

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