一番さびしいのはどこか~ちいちゃんのかげおくり4~(シリウス)

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作成者:Fumika Abe (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

この物語ではちいちゃんの気持ちが大きな振れ幅で変化していく。ちいちゃんはとてもさみしい思いをして一人で過ごす。ちいちゃんが一番さみしいときはいつなのかを検討した。

次の7つの考えがされた。

A ちいちゃんはお母さんとはぐれました
  B でもその人はお母さんではありませんでした。  
  C 家はやけ落ちてなくなっていました。
  D ちいちゃんはまた深くうなずきました。
  E その夜、ちいちゃんはざつのうの中に入れてあるほしいいを少し食
   べました。
  F お母ちゃんとお兄ちゃんはきっと帰ってくるよ。
  G ちいちゃんはざつのうの中のほしいいをまた少しかじりました。

多くの子が〈A〉と考えた。どうしてそこを選んだのか、それぞれ理由を尋ねた。

A お父さんは戦争に行ってしまったし、お母さんとお兄ちゃんと離れてしまったから。
  B やっとお母さんが見つかったと思ったら、その人がお母さんではなかったから。
  C 家が焼けてなくなってしまったから。
  D おばちゃんと別れたし、おばちゃんに嫌なこと(切ないこと)を聞かれたから。
  E 家族と離れてしまったし、夜は一人で恐いし、一人でほしいいを食べたから。
  F お母さんと離れて一人ぼっちで帰ってこないかな、と思っている。
  G 2日目になったのにまだ家族が見つかっていない。1日経つとその思いが強くなる。

意見も一通り発表した後、おかしいものから順に消していった。

〈Aがおかしい〉

  • こうやってみるとAからFはだんだん悲しくなっている。Aは一番最初だからまださびしくない。
  • ちいちゃんはまだ家族に会えると思っているからそんなに寂しくない。

この指摘でA派は意見を次々と変更した。

  • AからBへ変える。離れたお母さんだと思っていたけどやっぱり違っちゃったらさみしい。
  • AからFへ変える。まだこのあとにおじちゃんと会った。Fの後はおばちゃんと会わなくなる。

次に指摘されたのはFであった。問題の本質をつく激しい討論となった。

〈Fがおかしい〉

  • Fのときはお母さんがきっと帰ってくるよと思っているから寂しくないと思う。
  • Fのときはお母さんもお兄ちゃんも帰ってくるか分からないけれど、もし帰ってくればうれしい。ちいちゃんは一人だけれどまだ来るかもしれないと思っている。
  • 帰ってくると思っていて、帰ってくればうれしい。帰ってくればさみしいことは無い。

こうした意見に対してFも負けずに反論をした。

  • 絶対に帰ってくると書いていないから、ちいちゃんはさみしい。
  • Fのときちいちゃんは嬉しくない。一人ぼっちでさみしい。お父さんやお兄ちゃんに帰ってきてほしいからさみしい。

こんな話し合いをしているうちにB,C,D,EはF,Gのどちらかに意見変更をした。こうして最終決戦は、FとGとなった。


 

〈G〉

  • 1回目はほしいいを食べたいのに、2回目はかじっただけ。寂しかったからだと思う。
  • 2回目はかじったから明日の分を残したのかな。
  • 1回目は一人で食べた。2回目も一人で食べたから寂しかったと思う。

子どもたちは鋭い。Fではまだ希望が残っていたのに、Gではもう絶望に変わったことを読み取っていた。

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4 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

5 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

6 編集後記

これはちいちゃんの気持ちの変化の中で一番寂しいと思ったところはどこかを考える指導案です。段階を踏んで生徒の意見を引き出すことができ、話し合いをすることでより教材への理解が深まることのできる実践方法になっていると思います。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 Abe fumika)

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