一人ぼっちになったのはどこか~ちいちゃんのかげおくり3~(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

この物語は初め4人の家族が楽しくかげおくりをして過ごしていたのだが、戦争のために1人減り、2人減り、最後はちいちゃんさえも空に消えてしまう。ちいちゃんはどこから一人ぼっちになったのかを検討した。

ちいちゃんが本当に一人ぼっちになったのはどこからですか。 

子どもたちからは次の5つの考えが出された。
  
A ちいちゃんはお母さんとはぐれました。
B 「お母ちゃん。お母ちゃん」
C ちいちゃんは一人ぼっちになりました。
D 「あのね、おばちゃんは、今からおばちゃんのお父さんのうちに行くからね」
E その夜、ちいちゃんはざつのうの中に入れてあるほしいいを少し食べました。

5つの考えが出てきたので、どれが一番よいのか見当をした。考えが複数ある時には一番おかしいものから検討していくのがよい。

この中で一番おかしいものはどれでしょう。

最初に指摘されたのはBであった。

〈Bはおかしい〉

  • 「お母ちゃん。お母ちゃん」とお母さんのことを呼んでいるから、お母さんが近くにいるからBは違う。

Bは反論できなかったので、Bは消えた。次に指摘されたのは

〈Aはおかしい〉

  • ちいちゃんは1人だけれど、この後おばちゃんがくるから一人ぼっちではない。
  • 1人だけれど知らないおばちゃんがくる。たくさんの人が橋の下に集まってきたからAはおかしい。

〈Eはおかしい〉

  • Eはおばちゃんが行ってしまったあとだから、一人ぼっちになるではもう行き過ぎ。Dはおばちゃんがいく寸前であともうちょっとで行くところだから。
  • Eは一人ぼっちとあまり関係がないからおかしい。
  • おばちゃんがお父さんのうちにいくのを見届けた後だからおかしい。

これらの意見に対してEは頑張って反論をした。

  • Eのところでおばちゃんは完全に行ってしまったから一人ぼっちと言える。
  • Eで一人ぼっちで食べているのが分かる。お母ちゃんと話をした後おばちゃんが見届けているかもしれないからDはまだ本当に一人ぼっちではない。

この日はここで時間にでもなったので翌日もう一度尋ねてみると、 
〈C〉5人、〈D〉9人 であった。

〈D〉

  • Cのあとにおばちゃんと会っているから。
  • 町の人もおばちゃんもいるから、そのあと一人ぼっちになる。
  • はぐれたあと(A)知らないおじさんと合って、次におばちゃんと会って(D)、そのあとは誰とも会っていない。

こうして心理的に一人ぼっちになったのが〈D〉のおばちゃんと別れたあとであることがはっきりした。

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4 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

5 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

6 編集後記

『ちいちゃんのかげおくり』はあまんきみこ作の戦争物語です。戦争で家族が亡くなってしまいます。家族を失うことを考え、戦争の悲惨さを知るきっかけとなります。登場人物を整理しながら、意見を出しあうことで物語の理解を深めることができます。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 白川真帆)

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