プリント1枚で防災教育シリーズ「災害時の判断とコミュニケーションについて考えよう」

GOOD!
6445
回閲覧
23
GOOD

作成者: Kenya Miyazakiさん

プリント1枚で防災教育シリーズは、様々な防災教育実践やサポートをさせていただく過程で得た教訓をもとに「誰でも手軽に扱えて(プリントを生徒に1枚渡すだけ)、お金がかからず自由に編集可能で(Microsoft-Wordで公開)、指導に専門的な知識も不要(指導用プリントがセット)で、児童生徒の能動的な学習-アクティブ・ラーニング-につながる(ワークシート形式でディスカッションを含む)教材」をコンセプトに開発した教材シリーズです。
 なお「プリント1枚」とは生徒全員に配付するプリントは1枚で済むという意味です。教材、授業内容により、複数枚のプリントを使う場合もあります。また、公開する教材は必ず実践経験を踏まえており、プリントに従って作業すれば一定の学習成果があることを確認していますが、全ての学校・地域・生徒において学習成果を保証するものではありません。

1 災害時のコミュニケーションを学ぼう

【記事の構成】

  • 正答のない問いに、児童生徒をどう向き合わせるか
  • みんなちがってみんないい、で終わらない
  • 結論を導き、結果を想像させる
  • 教材「災害時のコミュニケーションを学ぼう」
  • 指導案と振り返り
  • 事例「ある小学校での校長先生と先生達の議論」

【正答のない問いに、児童生徒をどう向き合わせるか】

防災教育の難しさは「正答のない問い」があることです。避難生活で起きるトラブルなどがその一例です。同じ質問をしても、ある人のある状況にとって「正しい」ことが、別の人、別の状況では「正しくない」ことがあります。僕はよく「きのこの山」と「たけのこの里」を例に出します。どちらが好きか聞くと、意見が分かれます。

そしてこう続けます。「では、自分とは違う意見の人は"間違っている"と思いますか」。児童生徒は困惑しながらも「別に間違ってはいないけど・・・」と答えてくれます。「じゃあ、その人ともしどちらかひとつ、選ばなきゃいけなくなったとしたら、どうする?」と続けます。児童生徒は「・・・話しあう?」と答えてくれます。

まず「人には人それぞれの考え方があること。例えそれが自分とは違っても、間違っているわけではないこと。どちらか選ぶなら話し合い=コミュニケーションが大切であること。」を伝えて、正答のない答えを学ぶ意識付けをします。

【みんなちがってみんないい、で終わらない】

気をつけなければならないのは「きのこの山もたけのこの里も好きでいい」を結論にしないことです。お菓子の話なら好き嫌いで構いませんが、授業のテーマは「災害時のコミュニケーション」です。なので、児童生徒にも理解しやすい代表的な例を挙げてみます。

「体育館が避難所になっているとき、救援物資のお弁当が届きました。でも、お弁当の数が足りません。ある人は、傷んでしまうから足りなくてもすぐ配ろうと言いました。ある人は足りないと取り合いになって大変だから、足りないうちは配らないほうがいいと言いました。どちらの人が、正しいと思いますか」。
"みんなちがってみんないい"とはいきませんね。配るか、配らないかを決めなくてはいけません。お互いに話し合って、結論を出さなくてはならないのです。

【結論を導き、結果を想像させる】

防災教育で大切なことは、児童生徒に「行動する」意味を伝えることです。考え、話し合うことは重要ですが、それはあくまで手段でしかありません。具体的に命や生活、人生を守るため「行動する」ことが重要です。この授業で正答のない問いを他者と話し合いながら考え、結論を導くという過程を経験させます。そして、その結論がどんな結果につながるのかを、班の中や個人で「想像=シミュレーション」させます。自分(たち)の行動の結果を想像しながら、問いに取り組むという過程を経験することが、児童生徒の学習成果につながります。

【教材「災害時のコミュニケーションを学ぼう」】

この授業で使用する教材は以下のプリントだけです。使い方にはいくつかのバリエーションがありますので、それぞれの場面で使いやすいようにご利用ください。Microsoft-Word形式ですので、ご自由に編集していただいて構いません。

【ワークシート】

kyouzai_communication_ver1.docx
※MicrosoftWord2013で作成しています。クリックしてダウンロードしてください。

【指導案】

sidouan_communication_ver1.docx
※MicrosoftWord2013で作成しています。クリックしてダウンロードしてください。

<指導例>
* 班ごとにワークシートをランダムで配布して話し合い中心に行う
* ひとりひとりにワークシートを配布して、自分の考えをまとめさせる
* 夏休み前などに配付して、テーマに関して過去の災害事例などから調べ学習をさせる
* 宿題として配付して、家族の意見なども聞いてくる
* 全校集会の場でスライドや講話のなかで活用する

【振り返りシート(発達段階不問)】

hurikaeri_ver3.0.docx
※小学校低学年~教職員、PTA研修まで対応する共通の振り返りシートです。

2 事例紹介「ある小学校での議論」

僕が知っている東日本大震災発災(当時)時、校長先生だった方は冒頭の「答えが分からない問題」に直面されたそうです。校長先生ご自身は関東圏の出身で「校舎の上に逃げる」ことを考えており、マニュアルもそのようにしていたそうですが、地元出身の先生たちは「高台への避難」を強く意見したそうです。

そこで「最終的な判断は校長が行う」と決めたすぐ後に、東日本大震災が起きました。校長先生は、あまりの揺れの大きさから、自分のこれまでの考えやマニュアルを捨て「高台へ逃げる」ことを選択しました。そして、その決断に先生や生徒も従いました。結果として帰宅していた生徒と、教員1名が犠牲となってしまいましたが、それ以外の生徒や教員は助かりました。

事前の備えにおいてもコミュニケーションは大切です。でも、その場になったら状況を判断して考える力、それを他の人に伝えて理解してもらう力が、いかに大切であることが分かるエピソードです。

<お気軽にご相談ください>

プリント1枚で防災教育シリーズを使った授業をサポートします。お気軽にご相談ください。

一般社団法人防災教育普及協会お問い合わせフォーム

コメント

コメントはまだありません

    より良い実践のためには、あなたの励ましや建設的な対案が欠かせません。
    ログインして、ぜひコメント欄をご活用ください。