1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
授業が始まってすぐに、準備しておいた紙テープを黒板に貼った。簡単な説
明をしたあとに質問をした。
発問1
地球ができてから1993年までを3メートルの紙テープで表しています。人間はこの紙テープの中のどのあたりで生まれたと思 いますか。印を入れるので「ここだ」とおもったところでストップと言ってください。
子どもたちは次のような予想をたてた。
それぞれの理由を聞いていった。
- 明治、大正、昭和といろんな時代があったから
- 人間の方が多かったから、ちょうど半分くらいのところになる
- 恐竜→サル→人間のように、出てきた(進化してきた)からまん中よりは後になると思う。
- 地球の誕生のあとにまだ原始人とかがいて、1億年前には恐竜もいた。サルがまん中ぐらいだと思うから、人間はそれよりもっと後だと思う。
どの子も自分の考えを理由づけているのがよい。さてそこで、紙テープ1mmが何年間を表しているのかを計算した。
発問2
地球の誕生は今から45億年前だといわれています。この紙テープは3mで45億年を表しているのです。では1mは何年間を表していますか
というように、少しずつ計算を進めていった。
3m:45億年
1m:15億年
1cm:15000000年
1mm:1500000年
1mmが150万年前を表しているのを確認してから説明をした。
発問3
今のような人間が生まれたのは、今から約5万年前だといわれています。正解は一番右端から、左側へ0.03mmのところに印をつけることになります。
このように説明をして、↑をつけた。あまりのことに、子どもたちは「へぇ
ー?」と驚きの声をあげていた。人間の歴史はなんと短いことであろう。
続けて
発問4 では、恐竜が最もいたのはどの辺でしょうか
子どもたち、恐竜の時代もまん中あたりが大昔と思っているようである。恐竜が最も栄えたのが1億5千万年前であるから、紙テープで行くと、10cmのところにしかならないことを話した。「ヘー、聞いてないよぉ」と大騒ぎである。このように地球の歴史の中で人間はいつぐらいに生まれたのかを学習した。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
今回の指導案は、現在生きている私達がどれほど途方も無い時を経て存在しているのかを視覚化して児童に伝えてくれています。私達「人間」であったり、「恐竜」であったりという言葉では身近な存在も、体感的にいつから存在しているのか、言葉だけでなく自分の頭で認識できるようになっていると感じました。
歴史を学んでいくにあたって、時代ごとにその時代はどのような立ち位置なのか、歴史の縦の意識を身につけることで現代の生活も歴史的な視点を持って見つめることができます。初回の歴史の授業として、生徒たちに歴史の長さという点から歴史の面白さを伝えることのできる素晴らしい指導案だと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)
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