原始の人々 ~サルと人の違いは~(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

今回のテーマは「原始の人々」である。サルと人の区別はどこでするのであろう。その違いは一体どこにあるかを考えた。

まず「人類その誕生まで」(佑学社)の本の一部を子どもに見せた。

発問1 この絵の人たちは人ですか?サルですか?

サルと人とでずいぶんもめるかと思ったが、全員があっさりと「人だよ」と答えた。そこで次の絵を見せて同じことを尋ねた。

発問2 この絵の人たちは人ですか?サルですか?
 

すると今度は意見がわかれた。
< ヒト > 1人 < サル > 3人

自分たちの考えはあるのだけれど、まだまだ理由をうまく言えないようであ
る。そこでヒトとサルの違いについて考えてみることにした。

発問3
サルとヒトとの違いは何でしょう。自分の体のことをあわせて考えてみましょう。

  • ヒトには毛が生えていない
  • サルは木に登る
  • でもヒトにも毛が生えているし、木登りだってするよ
  • ヒトは服を着る
  • 猿はウキウキって話すけど、ヒトは話(会話)をする
  • 食べ物がちがう
  • ヒトは焼いたり、煮たりして火を使う
  • この絵の人たちは、棒を使っている。先も削ってとがっている。石も使っている

発問4
それでは、今のサルが何億年もたったらヒトになれると思いますか
 

< なれる > 11人

  • サルは人間の祖先だからなれると思う。
  • サルも今からだって、何億年もたてばなれると思う。

< なれない > 25人

  • 住んでいる環境が昔と今では違うからなれない
  • 昔のサルと今のサルは違う
  • 暮らし方が違っているからなれない
  • 人間が今から猿にはなれないように、猿も人間にはなれない
  • 猿の進化はもう止まってしまった
  • 人間も猿も途中で枝分かれして進化したと思うから、筋道が違っていると思う

といった会話の中で、どうも道具を使ったり火を使っていることがわかってきた。そこで今回は火に着目した。

発問5 火があると便利なことはどんなことですか
 

本を見ながら、どんな用途で火を使っているか見ていきます。始めのうちは自然界の火を使っていた人類の祖先が時代と共に自分たちで火をおこすようになっていくのがわかる。見つけた火の使い道は次のようなものだった。

  • あたためる
  • 料理をつくる
  • 住みかを明るく照らすことができる
  • 道具を作る

このように様々な目的で火が使われていたことを押さえた後で、実際に火起こし器で火を起こした。弓きり式という器械である。みんなで少しずつ、シュッシュッシュッ。なかなか火がつかなかった。もうだめかなと思いながらやっていると最後に一瞬だけぼっと火がついた。火を手に入れるにも一苦労だったことを体験することができた。弓きり式の火起こし器は、市や教育委員会の埋蔵文化課などで貸してもらうこともできる。

3 参考資料

ヨゼフ・クライブル『人類、その誕生まで』(1978,佑学社)

4 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

5 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

6 編集後記

今回の授業では、人類が発展していった理由は何なのかをサルとの比較で理解していこうとするものです。児童に適切な資料を与えることで比較、考察することができ、児童が自分なりの言葉で授業内容の理解を深めています。さらに、先生が火をテーマにして、当時の道具を用いる体験学習も行なわれています。人間がサルと違い、樹上ではなく地上での生活において道具を用いていったことで高度な生活様式を獲得していったことが印象深く理解できていると思います。また、体験を通して当時の人間が発明したことの偉大さや現代の科学の進歩による便利さもまた考察できるのではないでしょうか。市内の役所との協力という視野も含めて、参考にしていきたい指導案だと思いました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)

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