合奏指導はリズムよく反復練習で ~まず、個人の技術の底上げを

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短期間で大人数が楽器演奏ができるように

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楽器ができるようになるのは、誰にとっても単純に楽しいことです。みんなが楽器を演奏できるようになり、楽しく合奏ができればどれだけ楽しいことでしょう。ところが、
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(1)音楽の時間という限られた期間で、
(2)大勢の子どもを相手に
(3)複数の楽器の演奏技術を身につけさせる
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という指導はけっこう難しいです。リコーダー奏・鍵盤ハーモニカだけであっても、演奏技術をきちんと身につけさせるのは難しいです。何年生になってもリコーダー・鍵盤ハーモニカがうまくできずにみじめな思いをし、音楽が嫌いになりかけている子どもは少なくありません。
特に音楽会などの行事を抱えている学校は、様々な楽器を演奏し、保護者に対して披露する事がけっこう教師の重荷になっているのではないかと思います。
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一斉指導で反復を

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学校では大人数を相手にしています。技術的な分野を高めるには、とにかく反復指導する事が早道です。しかも、効率を高めて短期間で大人数の技術をアップするためには、一斉指導の中で反復練習を上手にとりいれることが大事です。
つい、技術は個人のものであるから、個別指導をするべきだと考えてしまう教員は多いです。それで、全体には自主練習をさせながら、一人一人に関わるという非常に効率が悪い方向へ走ってしまうケースがよく見られます。
自主練習の時間ももちろん必要ですが、あまり長く取り過ぎるのは間違いです。自主練習で上手になれる児童はほんの一握りです。元々音楽的なセンスがあるか、モチベーションが高いか、家庭が支援できる力を持っているか。そうでない子どもに自主練習という投げかけをしてしまっては、漫然と延々と時間を過ごしてしまう結果に陥ってしまいます。
教師一人にいくつかのパートを任せて、一斉指導した方が個人練習の時間を取るより効率がいいです。

では、どのように一斉指導と反復をさせるか。コツは2つあります。
1.リズムよく同じ数小節を演奏させる
2.全体 → 個人へと絞っていく

です。.

リズムよく

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リズムに乗って、反復をさせます。複数の楽器を相手にしなければならない時は、最初のうちは一つずつやらせる方がいいです。同じパート、似たパートを演奏する楽器がある場合は、それらを集めて演奏させましょう。
「ブンブンブン」を例にとって説明します。長く演奏させる必要はありません。1小節か2小節で十分です。
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(教師)→ (児童全体)→ (教師)→ (児童全体)→(教師)→ (児童全体)→ (教師)→ (児童全体)→ ・・・
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これを、飽きるほどやります。最初はゆっくりしたテンポで。そのうち、大多数が上手に演奏できるようになったら、正規のテンポに近づけていきます。

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全体 → 個人へと絞っていく

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次に、演奏する児童の数を減らしていきます。
「男子・女子」や、「1列目・2列目・・・」、「1班・2班」などと、だんだん反復を小グループ毎にしていきます。
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(教師)→ (1列目児童)→ (教師)→ (2列目児童)→(教師)→ (3列目児童)→ (教師)→ (4列目児童)→ (教師)→ (1列目児童)・・・
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というふうに。

これができたら次は、個人です。
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(教師)「1・2・3ハイ」→ (児童A)→(教師)「ハイ」→ (児童B)→(教師) 「ハイ」→ (児童C)→(教師) 「ハイ」→ (児童D)とちって詰まる→(教師) 「Dさん、アウト」「1・2・3ハイ」→ (児童E)→
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こうして、失敗した児童にダメ出しし、できた子供は座らせます。できない子どもを絞っていくことは大切です。

複数の楽器を相手にする場合であっても、他の楽器を座って待たせてでも同じパートの同じ部分を繰り返し練習させます。リズムよく反復練習させればどんどん絞っていって上達させられます。たいした時間はかかりませんので、効率が悪いように思えても、待たせた方が緊張感を保つことができます。
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6~8小節を

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こうして、1小節ずつ反復し、確実に演奏できるようにします。それができたら、4小節→8小節とつなげて演奏させます。これも、繰り返しです。何度も繰り返します。
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簡単な名曲を

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リコーダや鍵盤ハーモニカのドリル教材がありますが、あまり単純なフレーズを演奏し続けるのは苦痛です。成長に合わせて、簡単だけれど演奏しがいのある名曲を選ぶようにしましょう。また、上手な子供と組み合わせて二部で合奏させるのもモチベーションを上げる良い方法です。
「キラキラ星」「歓びの歌」「きよしこの夜」
など、演奏する・聴くだけでも価値のある選曲をしてあげてください。楽譜はネットにたくさんアップされています。楽譜を読むことが難しい子供には必ず「ドレミ」を書いてあげてください。

音楽会等、学校で流れる曲の選曲時にポップソングを入れる場合の留意点 | EDUPEDIA
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苦手な子どもに関わる

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相手のレベルや時間の余裕に合わせて、できた子どもにはどんどん合格を出して練習を終わらせていきます。はじめのうちはあまりこってりやらずに、すんなりと合格を出すのもいいでしょう。合格したら、プリント学習をさせるとか、運動場で遊ぶとか、家に帰るとか、できない子どもの邪魔にならないように配慮させます。もし、できる子どもをリーダーにできるのなら、別の部屋に行かせて教え合いや自主練というのもありかもしれません。

苦手な子どもは多くの場合、「自分ができていないことが自覚できていない」し、「どうしたらできるようになるのかわからない」というように「道筋」が見えていません。できない子どもを絞り込んでいくことは、残酷なようで、結局は彼らに関わる時間を確保する事につながります。

苦手な子供には、もう一度1小節ずつ付き合ってあげるといいでしょう。
できるようになったら、みんなの前でうんと褒めてあげればいいと思います。
できる力がある子どもを早くできるようにするのは、苦手な子供に多く関われるようにするためです。そのあたりのことは、下の記事に書いていますので、参考にして下さい。

できる子供を優先する

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音楽会の合奏を盛り上げるために(1) ~「楽器選び」と「詰める」こと | EDUPEDIA

音楽会の合奏を盛り上げるために(2) ~準備すべきこと | EDUPEDIA

合奏指導はリズムよく反復練習で ~まず、個人の技術の底上げを | EDUPEDIA

リコーダーの苦手な子供への指導 | EDUPEDIA

はじめての合唱指導の記録 ~「ビリーブ(Believe)」 | EDUPEDIA

も、ご参照ください。

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