「超スモールステップ」~字源指導(岡篤先生)

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作成者:小沢 佑太 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「「超スモールステップ」~555号~558号」から引用・加筆させていただいたものです。
特別支援学級での字源を用いた漢字指導の方法を紹介します。
岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 実践内容

■漢字・計算が最優先

私は、特別支援学級の子ども達の学習では、漢字・計算を最優先しています。もちろん、実際の生活に使うということもあります。しかし、それだけではありません。漢字・計算は、できるようになっていく過程が比較的明確です。自分が賢くなっていくという感触を子どもなりに感じることができます。通常学級でも同じことがいえます。

ただし、特別支援学級に在籍している子どもは何らかの難しさをもっている子たちです。多くは、学習面でも遅れています。それを超スモールステップで積み上げていけば自分でも驚くほどの成長がみられることになります。

これは保護者にしても、分かりやすい成長です。学校でも、家庭でもほめられ、
自分でも達成感を感じていれば、当然、自信につながります。一見やる気がなさそうだったり、荒れていたりと見える子でも、自分のできることを着実に積み上げていけば勉強が楽しくなるものです。私が出会った子ども達はそうでした。

■勉強の仕方を教える

もちろん、「勉強しなさい」とか、「がんばれ」とかだけではできるようになりません。というか、それでできないから困っているわけです。たかが、漢字・計算でも、学習を続け、きちんと成果を出すとなるとそう簡単ではありません。少なくとも、毎日のように継続して取り組む必要があります。そのためには、ある程度勉強のやり方が教師にはもちろん、子どもにも明確になっている必要があります。漢字・計算を教えると共に、学習の手順を教えるのです。手順を教えるのも超スモールステップの視点が有効です。

■思い込み

普段の学習の中で、字源の話に触れた際に、「あれっ」と思いました。特別支援学級では、ずっと字源の話を出しても関心を持たない子を担当してきました。
だから、字源の話や授業は、通常学級でするものだと思い込んでいたからです。考えてみれば、そんな思い込みは根拠がないことはすぐに分かります。子どもによって関心がちがうのは当然です。

■カードで字源

その子は、素直に指示したことはやろうとします。ただ、他のものに気を取られやすいことと覚えたことの定着が難しいという面がありました。まじめに練習していたので、漢字も着実に進んでいたのですが、同じパターンに飽きがきたのか、覚えるペースが一段と遅くなっていました。そんな状態のときに、字源に関心があることがわかったのです。

継続して字源に触れるためには、毎回私が話をしていたのでは無理があります。
特別支援学級とはいえ、1対1で見られることはほとんどありません。

そこで、字源をカードにして使ってみることにしました。

■字源カード

カードといってもそんなにこったものではありません。まず、教室にあった厚紙を名刺ほどの大きさに切りました。色が変わっている古い紙でしたが、まだ継続するかどうかわかりません。新しいものでは、無駄になるかもしれないと思いました。そのカードを縦長に使います。上半分に現在の字、下半分に字源の絵を書きました。

■練習中の字をカードに

もちろん、今練習している字を覚えるための字源です。カードに書くのは、練習中の字を書きました。私が作った1字プリントで練習していたので、そのときの1字プリントの字をカードにしました。はじめは、『字統』で調べて書いていたのですが、この作業が何ともたいへんです。

福井県教育委員会が出している『漢字の世界』という本が手元にあることに気付きました。学年別に並んでいるので、漢字を見つけるスピードが格段に速くなります。

■早速ためす

カードを作った翌日、さっそく字源に関心のあった子に渡してみました。すると、にこにこしながらカードをめくり、「これは人だね」などとそれまでに、教えた字源のことを口に出すなどして眺めていました。どうやら、カード自体の手応えは悪くないようです。後は、どうやって毎日の練習に位置づけ、継続していくかです。

■いつ使うか

初日は、じっくりながめていてもかまいません。しかし、いつまでもそれでは覚えるための練習になりません。使わないと意味がありません。毎日の学習の中に、どう位置づけるかで手間をかけて作ったカードの価値が決まってくるといえます。

はじめのうちは、私が1枚ずつ見せて読ませていました。これは、子どもにやらせればよいことに気付きました。子どもができることは、できるだけ子どもにやらせて教師の手をあけるようにすることが原則です。その方が子どもも育ち、教師もできることが増えます。

■チェックは必要

ただし、子どもに任せきりにするのではなく、常にチェックは必要です。カードの場合なら、きちんと声を出して読んでいるかを確認します。少し油断すると、ぼんやりめくって「終わった」ということもあります。声を出させれば、止まってぼんやりしているとわかります。まちがいも分かります。カードを1枚ずつ見ているわけではなくても、自分で書いたカードがある程度限定されてくり返されています。けっこう、間違えて読めばわかるものです。

■書く練習の前に

このカードを漢字プリントの前にやることにしました。もちろん、そのときに使うプリントに合わせてカードを作り、それをプリントの前に読むのです。

カードを使い出して、停滞していたこの子の漢字テストがまた上がり始めました。字源も超スモールステップで活用できたわけです。手順がいかに大切かということでもあります。手順を教えるのにも超スモールステップの発想は有効です。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

漢字の勉強はただ覚えるだけの作業になることがしばしばあります。このように字源カードを用いて漢字指導をしていけば、子どもの興味をひきつつ成績の向上にもつながっていくのではないでしょうか。
 ぜひお試しください。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 小沢佑太)

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