小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法④~(岡篤先生)

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作成者:津田 佳歩 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術863号~867号 創造的にいこう!~俳句実践~」から引用・加筆させていただいたものです。
 弊サイトの記事
小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法①~(岡篤先生)
小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法②~(岡篤先生)
小学校1年生からできる俳句実践~カルタを用いた指導法③~(岡篤先生)
で、俳句に親しむために効果的である「俳聖カルタ」というカルタを用いた指導法をご紹介しています。前回記事では、カルタが苦手な子には特訓コースを設定し、読み札を取り札として使うという実践内容をご紹介しました。今回は、特訓コースを受けている子たちをどのように上達させていくのかということに関しての指導法や注意点を追記しています。
 岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。

2 実践内容

■取る札を先に見せるという工夫

特訓コースの子たちは、読み札を取り札として使ってもすぐには札を取ることはできません。なぜならば、特訓コースの子には聞く力も弱い子が多いからです。
 そこでその子たちには、私が読み札を読み上げる前に読み札を見せることにしました。「次は、これね。じゃあ、いくよ。『古池や~』」という具合です。さすがに、取る札そのものを見せるわけですから、札を取ることのできる子がほとんどです。しかも、他の子たちよりも、実質先にスタートしているのです。ときには、一番早く取ることができることもあります。そんなときには、「おっ、早いねえ。一番だ。」と声をかけます。そうすると取った子はうれしそうです。それまで全然札を取ることができなかった子たちです。これだけハンディがあっても、やはり一番に取ることができるということはうれしいものです。
 しかし、カルタをするペアによっては、あるいは札によっては、これでもすぐに取る札が見つからないときがあります。

■取る経験をすることが第一

基本のルールでは、取り札が見つからないまま次の札が読まれたら、後で見つけても取ってはいけないことにしています。そうでなければ、何枚も後に急に「あった」と言われても、相手は何のことか分からなくなっているかもしれません。したがって、見つからないペアがあってもあまり待たず、同じようなペースで進めていくことを原則としています。
 しかし、特訓コースでは、取る経験をすることが第一です。ふつうのペースで読んでいくと、取られないままの札がたまっていきます。そこで、私は読み札を読む前にあらかじめ子どもたちに読み札を見せた上で、それでも取ることができないときは、札のある辺りを指さすことにしました。さすがに、ここまですればほとんどの子が札を取ることができます。

■苦手な子もカルタに参加する意味

これだけのハンディをもらえれば、どの子も札を取ることができるようになります。しかし、そこまでしてカルタをする必要があるのでしょうか。
 私は、あると考えます。なぜならば、大前提として私は1年生でも俳句を作ることに価値があるという考えを持っているからです。俳句のカルタをすることによって、五七五のリズムを体得し、俳句に親しむことができます。そのため、大きなハンディを与えてでもカルタに参加させることに意義があるのです。

■経験をくり返してスタート地点に立つ

そして、それまで全く伸びる様子が見えなかった子たちが、練習しているうちに上達し始め、少しずつでも成長する姿を見せるようになりました。それは、1回ごとのカルタが着実に経験になっているからです。何もない状態でカルタをして俳句に挑戦することは、その子の現状からは難しすぎる状態だったので、それまでは1回1回が経験にならず、伸びも見られないということだったのでしょう。
 大きなハンディを与えてでもカルタに参加し、札を取るという経験をくり返すことで、意欲も能力も高まっていきます。すると、今度はハンディを減らしていくことが可能になります。その子なりのスタート地点に立ったということです。どこがスタート地点になるかは、直接子どもに接している指導者だけがわかることです。まさに、「さじ加減」ということです。

■力がつけば意欲が出る

1回1回の練習が自分の力になっていれば、苦手な子たちでも着実に成長していきます。そしてある程度力が伸びてくると、特訓コースのルールではなく、もとのルールでも楽しめるようになります。すると、今度は自分から「先生、もとのところでやっていい?」と言い出す子が出てきます。最初の頃は、全く札を取ることができなくて、おもしろくなく意欲も高まりませんでした。ところが、ハンディをもらって札を取ることができるようになり、意欲と実力が高まると、今度はハンディなしで友だちと勝負してみたくなるようです。そして、実際にハンディなしのルールでも以前ほどの完敗にはなりません。カルタ自体の反射神経は鍛えられていますし、俳句も真剣に聞きながら取り組んでいたので、自然に覚えています。
 あとは、このカルタ本来の難しさである、上五を聞いて、中七を思い出すということです。ここまで上達したら、練習の回数を重ねることで伸びてきます。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。(2017年9月5日時点のものです)

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記

今回の記事では、カルタが苦手な子でも、ハンディありで札を取る経験を積んでいくうちに実力がついてくるということをご紹介しました。いかに「できた!」という達成感を感じられるかが、苦手な子にとっての上達の鍵であると思います。ぜひご活用ください。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 津田佳歩)

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