不安・不安定な子供が多い学級を改善 ~自治と自立を促す

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「せんせー」とすぐに口にする不安・不安定な子ども

若い教師の学級に補助などで入ると、子どもたちからの「せんせー」という声がよくあがることがあります。質問であったり、トラブルの訴えであったり、教師へのからかいであったり・・・とにかく子どもが不安で不安定な様子です。ちょっとのことですぐに助けを求めたり、すねたり、泣いたりする子どもがたくさんいます。保健室に行く子どもが多かったり、学校を休む子どもが多かったりする場合も、子どもが不安を抱えていると考えられます。出張や病休で担任がいないとどうも混乱する、不安定な状況に陥る学級には何かしらの問題があります。教師が若い場合、子どもが甘えたがるのはある程度仕方ないし、教師と子どもとの距離が近いということは必ずしも悪いこととは言えないかもしれませんが、改善が必要でしょう。

  • ルールの設定がまずい。→→→ 混乱が生じるようなルール設定をしていると、子どもたちが不安になります。
  • ルールが徹底されていない。→→→ ルール設定をする時に、しっかりと子どもたちに伝えていないと、混乱が生じます。大事なルールほど、子どもたちの手を止めるとか、時には全員椅子をひいて背筋を伸ばすなどの姿勢を確かめるとか、子供たちの頭に残るように指示を出しましょう。
  • 教室の機能が悪い。→→→ 教室のどこに何があるか、何(掲示など)を見ればわかるかがはっきりしていない。物がそろっていない(清掃時に「せんせー箒がありませんー」等)。
  • トラブル回避の知恵が回らない。→→→ 何かトラブルが起こったとき、どうすればよいのかという知識がないと、教師を頼りがちになります。例えば、遊びの中で揉め事が起こった時には、「揉めたらジャンケン」というルールを作っておけば、「教師頼み」が少し減ります。
  • 自信を持っている子どもが少ない。→→→ 子どもが自立するには「自信」を持たせなくてはなりません。抽象的な言い方になりますが、子どもが「自分が成長した」と思える機会や「友達とうまくいっている」と感じる学級を作っていくことです。
  • 自治力が育っていない。→→→ 後述します
  • 成功体験が少ない。→→→ 成功体験を通して、自信を持てるようになり、自立が促されます。成功体験を増やしてあげられるように、教師としての腕前を上げていく他ありません。(すぐにはできる事ではないですね)

ルールの徹底に関しては、

1回で指示を通す

「何度言ったらわかるの?!」と、怒り、嘆いてしまう前に

をご参照ください。

自立と自治

大切なのは、子どもたちの「自立と自治」です。教師に頼らず自立する、自治する、という心構えをさせている学級と心構えがない学級の差は大きいです。

「せんせー」と言って助けを求めてきても、すぐに助け舟を出しません。すぐに助け舟を出すと、子どもは「甘えたら、相手をしてもらえる」という事を学習してしまいます。代わりに、

「こういう時は、どうすればいいのかな?」と、問い返して考えさせる。
「周りを見てごらん。」と押し返す。→→→ 状況を理解することを放棄してただただ教師を頼りにしてくる子どもがいます。そういう場合は周りを見て判断するという知恵を授けるのもひとつの手です。
③(指示を黒板などに書いておいて)「○○を見てごらん」と指さす。あるいは無言で指さす。
「自分で何とかしなさい(自分で考えてみなさい)」とだけ言って、追い返す・・・追い返すのは「自分で何とかできる子供」限定です。
「友だちに聞きなさい」と押し返す。・・・もちろん、普段から「助け合いをしながら生活をしましょう。困っている人を見かけたら助けてあげてください。困ったらすぐに先生に助けてもらうのではなく、友達に聞いてみるのも大事な勉強です。逆に何か聞かれたら教えてあげてください。教えてあげること・助けてあげることもすごく大事な勉強です」と諭しておくことが大事です。また、何でも押し返すのがいいわけではなく、いじめの芽がある場合や、学力不振や生活力不足がある場合は個別の対応が必要です。さじ加減が重要です。
⑥クラス全体や自立ができている子ども個人に対して、「○○○○で○○さんが困っています。こんな時はどうしたらいいのかな?」「○○さんが困っているから助けてあげて」と、サポートを呼びかける。
⑦クラス全体がピアサポートの原理で動けるようにならないと個々の不安はぬぐいきれません。個人を強く育てることはもちろんですが、居場所があって安心して過ごすことのできる教室を作っていかなければなりません。

上記①~⑤は、字面だけを見ていると冷淡に感じるかもしれませんが、決して冷淡になり過ぎてはいけません。「せんせー」「せんせー」があまりに多いとイラっとくることはあるでしょう。そこを堪えて、冷たく接しすぎないようにしましょう。あくまで淡々と、「自立・自治を促すための優しさ」を込めた指導である必要があります。

そしてもちろん、自分でできた時、自分たちで解決ができた時にはしっかりと褒めてあげることが大切です。

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