「さっき言ったでしょう?」と言っても効果はない
教師が指示を出した後、指示を聞いていない子供が指示を聞きなおしたり、席を立って教師の所まで確認しに来たりすることがあります。
- 本当に指示を聞いていない場合、
- ちょっと先生に甘えたくてもう一度聞く場合
- 何だか不安でもう一度確かめる場合
等が考えられます。
いずれにしてもいちいちそれに取り合っていると、時間を取られるし、甘える場合と不安な場合は、相手にしてもらったのが特別扱いを受けたような気がして嬉しくて毎回聞きに来るようになってしまいます。教師としては面倒臭くなって、「さっき言ったでしょう?」と言ってみたくもなりますが、そんな言葉に効果はありません。
そうすると低学年の場合は、「僕も特別扱いしてほしいなあ」ということになって、他の子供達も次々に再質問をするようになってたていまちこまってしまいます。
子供が再質問をする原因は、
- 教師の指示が不明確な場合
- 教師の指示のレベルが高い場合
- 聞かなくてもまた先生はきっと許してくれると思っている場合
などが考えられます。
さて、それでは指示を1回で通すには・・・・
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話を聞かせる ~「何度言ったらわかるの?!」と、怒り、嘆いてしまう前に | EDUPEDIA
1 明確に指示を伝える。
当たり前だがこれが難しい。複雑な指示を与える場合や指示の与え方が悪くてみんなが聞いてそうにない場合は、最後に「これと」「これと」「これをしなさい」というように、最後に念を押しましょう。
2 相手を見て指示をしましょう。
1年生であれば、1度に出す指示を2つ以上は絶対に言わないとか、相手のレベルをよく考えて指示を出しましょう。例えば、「教科書を出して36ページを班のみんなで声を揃えて読みなさい。」を「教科書を机の上に出しなさい。」「36ページを開きなさい。」「では、班のみんなで声を揃えて読みなさい。」と、ひとつひとつ、全員ができているのを確かめながら進む、とかです。
3 徐々に慣れさせる
ただし、上記のように区切って丁寧にすれば、子供が育つというものでもありません。あくまで、相手のレベルを考えながら、だんだん3つ4つのことがいっぺんに進められるように鍛えていかないといけません。
4 緊張感を
聞かなくても先生はまた教えてくれると思わせてしまうと、どんどん聞かない子が増えてきます。ふらふら立って、再び指示を求めてきたら、「2度と同じことは言いません」と、みんなの前で突っぱねるのも手でしょう。
5 場合に応じて緊張感を
緊張感をもって、集中して、先生の目を見て・・・聞きなさい。と、言っても、毎回毎回、頑張って教師の話を聞くことができない集団(学級崩壊気味な場合)に、「聞け聞け聞け」と言ってもそれはなかなか難しいと思います。「姿勢を正しなさい」「手遊びをやめなさい」と何度も何度も注意をするのも大事ですが、下手をすると叱ってばっかりになります。何かを子供たちに伝える場合、全員に絶対に話を通したい場合と、そこそこの聞き逃しが合っていい場合があると思います。前者の場合に、「これから、絶対に全員に聞いて欲しい(分かって欲しい)話があります」等と、前置きして机の上にあるものを全てしまわせる、私語を辞めさせる、姿勢を正しくさせるといった形を作って話始めるのもいいと思います。重要度に応じて、こうした措置を講じながら、話を聞くことができる集団に育てていくのも一つの妥協策だと思います。
6 教師の勝手な思い込みを排除
しかしだからと言って、「教師の言ったことは集中して聞くのが普通で、一度で頭に入るのが普通だ」と考えてしまうのは、教師側の勝手な思い込みかもしれません。話を聞いていない子供は、ひとつには集中力に欠けています。そしてそれは、先天的であれ後天的であれ、子供にとって長くしみついてきた欠点であり、努力してすぐに直るものではありません。強面で集中を強いるのは限界がありますし、お互いに精神衛生上よくないです。そこで、「本当は、先生のいうことを一度で聞けなければなりません。でも、もしも聞けなかったら、やることがわからなかったら、まず周りの友達がやっていることをよく見てみなさい。それでもわからなかったら、近くの友達に教えてもらいなさい。」と、助け舟を出してあげてください。
7 聞く力が弱い子供への配慮
聞く力が弱い子供もいます。例えば発達障害を持つ子供は聞く力が極端に弱い場合があります。指示を黒板に書いてあげるというのも一つの手かもしれません。
例えば、プリントをさせる場合、3つの作業があれば、次のように板書します。
算数プリント・・・・・10:15に全員で答え合わせ
↓
計算ドリルP18(自分で答え合わせ)・・・・・先生に提出
↓
今日の宿題をやっていてOK
子供が聞かないのは、教師の話の内容や話し方がまずいという場合も多々あるわけですから、子供を叱る・強く聞くことを求める前に、自分の話力がどうであるかを絶えず頭の隅に置いておく必要はあると思います。
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