不登校にどう対応するか~コロナ禍ゆえのストレスが子どもの負担を増大~(不登校支援センター・本沢裕太さん)

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作成者:石井 孝大 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は2020年8月31日に不登校支援センターの本沢裕太さんに行ったオンラインインタビューを編集したものです。不登校支援センターは、不登校からの復帰を支援する不登校専門機関です。主にカウンセリング、年間行事・イベント、学業支援・発達障害支援といった活動をしています。

今回のインタビューでは、不登校支援センターに勤めて感じている、不登校になりやすい子ども、コロナ禍による変化、教員ができる対策についてお話を伺いました。

2 不登校になる生徒の傾向

不登校になりやすい生徒

一概には言えないですが真面目、生真面目すぎる性格の子が不登校になる印象です。真面目過ぎるがゆえに白黒はっきりさせたく、0か100かで考えてしまいがちです。

例えばテストで100点をとろうとして80点をとってしまった場合に、80点という結果にどうも納得できない。100点をとろうと自分に負担をかけすぎてしまい、自分のペースに追いつけなくなります。そして勉強に対するモチベーションが急激に下がり、登校への意欲も失われるということがあります。このように、ストレスへの対処を極端に考えすぎることが多く、偏った行動が余計に自身を追い込んでいるように感じます。

不登校になりやすい時期

比較的多いのは4・5月、夏休み明け、冬休み明けといった周りの環境が切り替わる時期です。生徒にとって周りの環境が変わることはストレスになります。

例えば小学校から中学校に上がったときに「どんな人がいるんだろう」と楽しみにできる子もいれば、周りから「周りからどう思われるだろうか」とか「友達ができるだろうか」と考えすぎたり緊張し過ぎたりして、うまく輪の中に溶け込めずストレスを溜めこんでしまう子もいます。

3 コロナ禍の生徒・保護者について

生徒の変化

コロナ禍による不登校は多い印象です。緊急事態宣言が明けるころ、登校が再開し分散登校が始まったタイミングで参加しづらくなったという話はよく聞きます。

例年だと3月に終業式4月に始業式といった、学年が切り替わり新しい環境に徐々に慣れていく期間が、今年は自粛期間でした。子どもにとっていきなりの変化に当たるため大きなストレスにつながっていると思われます。

保護者の変化

これまでは、お子さんが「学校に行きたくない」と言い出してから、1ヶ月ほど様子を見られて、先生、スクールカウンセラー、心療内科、児童精神科、行政などにご相談に行かれてから来られる方が多かったです。ですが今年はお子さんが「学校に行きたくない」と言うとすぐに相談しに来られることが多く、例年よりも保護者の方々は敏感になっているという印象です。保護者の方々も仕事の形態が在宅勤務などに変わり、気持ちに余裕のないように感じることが多いです。

4 教員にできる不登校対策

不登校になる生徒の兆候

不登校になる前段階から子どもたちは我慢しています。休み始める前段階では、子どもなりに悩んでいたり苦しんだり我慢して自分を奮い立たせたりしています。不登校はそれだけ我慢してきたうえでの休むという行為です。

保護者とのお話の中で「あれがサインだったのかな……」と後から保護者の方々が気づくことがよくあります。学校現場で少し元気がないな、ちょっと嫌なことがあったかなということ全てにアンテナを張ろうとすると大変になります。ですから、これまで忘れ物をしなかった子が忘れ物をし始める、提出物をきちんと出していたのに出さなくなった、授業中の態度が変わった、という目に見える変化を不登校の兆候なのではと疑うことがよいと思われます。

不登校を未然に防ぐ方法

まずは個別で話を聞く時間を設けることが有効だと思います。その子の背景には何があるのか。家庭環境で悩んでいるのか、学力で悩んでいるのか、友人関係で悩んでいるのか。本人たちが明確に自覚しているわけではありません。生徒も話していくうちに、「あのとき言われたひとことがそのときはあまり傷ついていないように思っていたけど、傷ついている自分がいる……」とハッと気づくことがあります。

本人が考えていることや感じていることは、アウトプットしながら整理されていきます。そのため子どもが話す時間を設けることが不登校を防ぐ方法になるのではないでしょうか。

生徒が不登校になった場合

不登校の前段階には、生徒が何かしらのストレスを感じつつ、上手な対処ができずに我慢していた期間があります。学校を休む事で一時的にストレスを軽減できたとしても、根本的な問題が解決していなければ、復帰した際にまた以前と同様のストレスを感じてしまい「学校を休む」という対処を取ってしまう事が多いです。ですから不登校になった直後にすぐに復帰させることは難しいと思われます。また不登校になる生徒の傾向として自分の立てた目標や価値観に固執する傾向があるので正論を伝えたり、指摘をしても聞き入れにくい場合が多いです。

そこでカウンセリングの中でも、子どもの物事の捉え方や考え方を客観的に理解し、どのように生かしていくかがテーマになっています。その子がこれまでどのような養育環境、家庭環境や習い事などで育ってきたのか。こういう自分でいなきゃと思うようになったきっかけを一個一個聞いていき紐解いていくことで、本人の中でこれまで善いと思っていたものが、そこまでこだわらなくてもいいのでは……という感情が生まれてきたり、他の価値観が自分に合うかもと思ったりしていきます。高すぎる目標をもっているからダメなんだよというのではなく、「どうしてそう思うの?」とその子の話を聞いていくことが大事です。

5 現場の教員の方々に向けて

先生方と直接連絡を取る機会があるのですが、日々の業務があり忙しいなかでコロナウイルスによって新たなことをしなくてはいけなくなり負担がかかっていると思います。ぜひまずはご自身を大切にしてもらいたいと思います。自分に余裕がなく一杯一杯になってしまうと、パフォーマンスが上がらず、普段ならイラっとしないことでも怒り口調になってしまったり、冷たい態度をとってしまったりしてしまいがちです。それにより子どもから嫌な先生だという印象をもたれることは、とてももったいないなと感じます。だからこそまずはご自身を大切にすることを第一にしてもらいたいと思います。

6 プロフィール

本沢裕太(もとざわ ゆうた)

1980年生まれ。神奈川県横浜市出身。
 関東学院大学卒。在学中に教職課程を履修。中高社会科の教員免許取得。
 新卒で一般企業に入社するも、1年未満に退社。
 1年間のフリーター期間を経験した後、いすゞ自動車首都圏(株)で営業職に従事中、
 自身の経験を振り返り心理学に興味を持つ。
 一般社団法人不登校支援センターへ転職。在職8年目。
 これまでに累計5,000件のカウンセリングを行い、不登校に悩むご家族をサポート。

 オンラインセミナーなども随時開催!

不登校支援センターHPはこちら
 Twitterアカウント  @h5j0JAQu5LIlJLn

7 関連記事

不登校になる子どもの心理 ~周りの大人ができること~ (不登校支援センター講演録)

8 編集後記

不登校は複雑で対応が難しいと考えていましたが、話しながら考えや感情が整理されていく、ということはとても実感できます。柔軟に考えられるようになるためにも聞き出すことが大切である、ということをこの取材で理解できました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安藝航 石井孝大)

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