きつつきの商売(光村教育図書3年国語)~百リルは高いか安いか

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

百リルは何円?


きつつきの商売は3年生光村図書国語の教科書の最初の物語分として掲載されています。学年の冒頭、音読をしたり、想像を膨らませたりしながら読み取りを進めるのがよいでしょう。

その中で、クラス開きでの議論として、
「百リルは高いか安いか」
をテーマにして話し合いをしてみました。

最初に読み聞かせた時点で、
「百リルって、何円ぐらいなのかな」
と軽く問いかけてみると、子供たちは口々に、「10円」「1円」「100円」「1000円」「100万円!」と好き勝手な値を言っていました。
ここで、
「じゃあ、100万円といった○○さんは、そう思う理由を話してみて」
と、問いかけたとしても、それは勢いでテキトーに行ってしまっただけで、すぐには答えは出てこないだろうと思います。
子供たちが100円を安いと考えているか高いと考えているかも、人それぞれなので、なかなかまとまった話し合いにはなりにくいのではないかと思います。3年生の子供たちにはあまり金銭感覚がありません。
ここは、「うーん、そうか、みんな、バラバラだねえ。それは作者にしか分からないもんねえ。」と、はぐらかして流します。


百リルは高いか安いか


前半(1の場面)をある程度読み進めた時点で、子供たちはいくらかこの物語の全体像が理解でき始めます。
その辺りで
「百リルって、高いのかなあ、安いのかなあ」
と、問いかけてみました。
そこで、挙手して「高い」と考えるか、「安い」と考えるかを表明させると、多数になびきやすいので、
「じゃあ、ノートに「百リルは○○」と書きなさい。」
と、促します。
そして、
「百リルが何円なのかもわからないよね。それを作者は高いと思って百リルと表したのか、安いと思って百リルと表したのかもわかりません。」
「自分の考えでいいよ。国語の物語には正解はないからね。」
と、付け加えて、書かせてみます。
「真ん中はダメなのですか。普通とか。」
と言う質問が出たのですが、正解がないからこそ、真ん中を作ると話がまとまりません。だから、
「そうか、普通という考え方もあるね。なるほどね。でも、真ん中を作ってしまうと、話し合いになりにくいから、どっちかに決めてくれないかな」
と話して、白黒をつけさせます。
その上で、
「では、なぜ高いと思うのか、なぜ安いと思うのかノートに2つ理由を書いてみましょう」
と指示を出します。「2つ」がミソです。1つの理由で「もういいや」と思う子供に歯止めをかけることができるし、3つ以上書けた子供を大いに褒めてやることができます。「すごい、3つも書けている」としきりに感心してあげましょう。年度当初なので、「理由」を言えることの大切さを強調しておきましょう。

ディベート的にならないように、理由を言わせる


ネームカードを用意しておき、黒板に大きな丸を2つ書き片方が「高い」もう片方が「安い」とします。それで、1班から順にネームカードを貼るように指示します(名前を書かせてもいいです)。結果は、
「高い」6人
「安い」23人
となりました。
「高い」と考えるのはやや誤読かなと私は思っています。物語全体に、「自然のいい音」を聞かせてあげたいという「きつつきの優しさ、あるいは、サービス精神」のトーンが広がっている気がするからです。原資が不要な「自然の音」を高値で売るような話ではないかなと思います。しかし、
「高いという意見の人の方が少ないけど、人と違う意見を持てたのはいいことだと思うよ。」
と認めます。
そして、理由を言わせます。
「高いと感じる人も、安いと感じる人もいて、面白いねえ。」「どちらかが間違っている、どちらかが正解というわけでもないから、自分がどうしてそう考えたのかを教えてください。」
と、どんどん理由を言わせます。この時、ランダムで言わせると読解力がない子供が「安いのか高いのか」が分からなくなってしまうので、
「じゃあ、まず、たくさんの人が思った、安いという理由を聞かせてくれる?」
と、敢えて多数派の子供たちから発言させました。なぜなら、少数派から発言させると、多数派が反論して潰されるような形になるのを避けたかったからです。
ディベートはディベートでやる価値はあるものの、最初の単元からディベート的にやってしまうと、お互いの潰しあいみたいになってしまうので、そこはなるべく回避する流れを作りました。

こんな理由が出てきました


安いと考えた理由については、「なるほど、なるほど」と、軽く共感を示しました。あまり深く共感すると、安いに軍配を上げてしまう感じになって、「高い」の意見が言えなくなってしまうからです。
高いと考えた理由については、「そう考えたのかー」と、あまり否定せずに感心を示しました。

下に、子供たちから出た「理由」(複数年分)に、私が予想した子供たちが言いそうな「理由」も少々加えて列挙します。

【安いと考える人の意見】
◇ 初めてのお客にそんなに高い音は売らない。
◇ 野うさぎが「百リル」と、驚いている。
◇ 後半の野ねずみにもやさしいから。
◇ ぶなの木をたたいただけの音だから。
◇ どれでも百リルなら、どれでも高いと誰も買わないから。
◇ 野うさぎはそんなにお金をもっていないだろうから。
◇ きつつきはいい音を聞かせたいのであって、お金儲けをしたいわけではないのでは。

【高いと考える人の意見】
◇ できたてだから。
◇ えりすぐりのぶなの木の音だから
◇ 「四分音符分よりも、うんと長い時間が過ぎた」と書いてあるから。
◇ とてもいい音だから。
◇ うさぎがだまって聞いているぐらい、いい音だから。
◇ 野うさぎが「百リル」と、驚いている。・・・安いと考える理由にもなりますね。
◇ 野うさぎはそんなにお金をもっていないだろうから、野うさぎにとっては高い。・・・安いと考える理由にもなりますね。
◇ きつつきがうっとりするぐらい、いい音だから。
◇ きつつきがうっとりするぐらい、いい音だから。

自分と違う意見に対して「とりあえず受容的」な態度で


物語文を読ませると、誤読をしてしまう子供がけっこういて、「その誤読をどう処理するのか、どの程度認めてあげるのか正すのか」というのは悩ましいところです。意見を表明したのに、あまりバッサリと切り捨ててしまうのもよくない気がします。おだやかな話し合いの中で、自分の考えを強化したり修正したりできるようになってくれればいいかなと思います。
今回の話し合いは、「物語文でのそこそこの自由な受け止め方(誤読を含めて)は、認めるよ。※おふざけでなければ」「人それぞれの感じ方・考え方の違いは認めようね。」というこれからの1年間に向けてのメッセージでもあります。
この単元が一通り終わった頃に、全員で妄想するのもいいかもしれないですね。静かな環境であれば、遠くの音を聞くこともできます。

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