1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
〈10と2〉に分けるのはなぜか
かけ算の筆算の仕組みについて考える授業をおこなった。
筆算は位取りの仕組みを上手に使って分かりやすく計算することができる。このよさを見つけた。
まずドット図を見せてから「何個あるでしょう」
子どもたちはすばやく数えて「48個」
4×12の点を2つの塊に分けてみよう。どこで区切って、2つに分けますか。
子どもたちは思い思いに区切りをつけて、何パターンもの組み合わせを作った。作った組み合わせは、その都度、ドット図に区切り線を入れていった。
一人が2~3枚のカードを書いたところで
どんな風に分けましたか。カードを黒板に貼りましょう。
発表した子はそのカードを黒板に貼っていった。
〈4と8〉 〈1と11〉 〈2と10〉 〈6と6〉 〈7と5〉
の組み合わせが出された。
「自分の書いたカードを見て、黒板に貼ったカードと同じだったら、仲間になろう」と、同じ組み合わせを集めると、全部で5つに分かれた。
次に
数字の順にカードをならび変えてみよう。
〈1と11〉 〈2と10〉 〈 と 〉 〈4と8〉 〈5と7〉 〈6と6〉
こうして順番に並べてみると見えないものが見えてくる。〈3と9〉の組み合わせがなかったので、数字の増え方から入る場所が自然と見つかった。
〈4と8〉という分け方は、かけ算の式で表すと ○×○と○×○のことでしょう?
少しヒントを出しながら
〈4と4〉 4×4 と 4×8
〈2と10〉4×2 と 4×10
のことであることを確かめた。
次に、筆算とドット図の関係について考えてみた。
ドット図を二つの塊に分けると、6通りの分け方が見つかりました。では筆算の12×4は、この6通りのうち、どれに一番似ていると思いますか。
少し難しかったようだ。12×4は〈2と10〉と似ていることを押さえた。
ドット図〈2と10〉と筆算12×4の似ているところを見つけよう。
ドット図と筆算の似ているところを探した。子どもたちが見つけた共通点は
- ドット図の8と筆算の一の位の8が同じ。
- ドット図の40と筆算の十の位の40が同じ。
さて、似ているところを見つけたあとで、なぜ筆算は〈2と10〉の組み合わせになるのかを考えた。
12×4はたくさんの組み合わせがあるけれど、なぜ筆算は〈2と10〉でやるのだと思いますか?
- 一の位と十の位を分けているから、わかりやすいんじゃないか。
- 筆算の12×4の2は、2列の2で、全部あわせて8になる。
- 1は10列分を表している。
- なぜわかりやすいかというと、数字が似ているからわかりやすいと思う。
- 10が4こで40になって、2が4こで8になる。それを合わせて48になった。
- 8は2列になっている。
- 40は10ずつなっている。
- 12は10のかたまりと1のかたまりがある。
- あと48は1のかたまりと10のかたまり40をたして48になる。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年10月18日現在)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
ふたけたのかけ算の筆算を段階的に説明していきながら位取りの仕組みの理解を深めていくことを実践しています。プロセスの理解を大事にしたい算数の授業ならではの取り組みです。生徒の進度に応じてご活用ください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部)
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