1 いつも笑顔でいられるか?
「顔色を窺う」といいますが、子供たちは見ていないようでよく教師の顔色を見ています。教師が気分屋で、いつも顔色を窺っていないといけないようでは子供も気の毒です。学校が子供に忖度を教える場所になるのは残念です。できれば子供が教師の顔色を窺うことなくのびのびと生活してくれればいいですし、できれば教師はいつも笑顔で子供に接することができればいいと思います。しかし、なかなかそうもいかないのが現実です。
「教師は役者であるべし」と言われることがあります。役者として、いろいろな表情を子供たちに示しながら、メッセージを送れるといいですね。
すべてのことはメッセージ~ノンバーバルコミュニケーション | EDUPEDIA
等も、ご参照ください。
2 いつも笑顔の教師
明るい教師でありたい。人気のある教師でありたい。面白い教師でありたい。
そんな風に思っている教師は少なくないと思います。教師は子供たちにいつも笑顔で接して、子供たちもいつもニコニコしている。・・・確かに理想的な気はします。ただ、あまりにその考えに囚われてしまうとつまずいてしまうこともあると思います。
いつも笑顔でいてもお互いの信頼感が崩れないというのは素晴らしいと思いますが、最近の子供はなかなかそう簡単ではありません。学級崩壊に近い状況になっているのに、なんとか子供たちには笑顔で接しようと努力をしていた同僚を見かけたことがありますが、どんどん学級は崩壊へ向かいました。物事には限界があります。本当に自分に実力があれば、いつも笑顔で通すことができるかもしれません。笑顔の量?の増減は、自分の実力と信念によって調節する必要があると思います。
3 いつもこわもての教師
子供に厳しく接することは必要です。
教師が甘い顔をすると子供はつい甘えてしまい、必要以上に甘えた行動を取り始めます。それが群集心理となって学級崩壊を起こすというパターンは多いです。私も大変厳しい学級を担任したことがあり、その年はほぼ半年間ぐらい子供の前で笑顔を見せたことがありませんでした。少し空気を緩めると、たちまち学級が騒乱状態へと向かっていくので、おそろしいものがありました。非常事態の時はある程度こわもてでいなければならないのが現実かもしれません。
難しい学級を担当した時は、特に表情に気をつけましょう。顔は少し笑ったけれど、目は笑っていないとか、一瞬笑ったけれどもすぐに表情が切り替わるなど、教師は「役者」として、子供たちの様子に応じていけるといいですね。
だからと言って、とにかく子供に厳しくするため、ずっとこわもての仏頂面でいるというのもいかがなものかと思います。子供たちがいつも先生の顔色を窺って、ビクビクしているような状況では、良い教育はできないと思います。
4 子供が「いい顔」
大切なのは教師が笑顔でいることではありません。私の知っている先輩教師の中で、それほど愛想もないし、面白いことも言わない、いつもニコニコしているわけでもないのに子供たちはいつも楽しそうで「いい顔」をしているクラスがありました。ただニコニコしているわけではなく、穏やかで、しかし引き締まった「いい顔」をしていました。
その先輩教師は、いつも怖い顔をしてにらみつけているわけでもありません。無表情というのでもなく、ニュートラルな雰囲気で、引き締まった表情でてきぱきと指示を出し、子供に丁寧に対応ができる先輩でした。私にとっては理想的な先輩でした。
一人一人の教師に「芸風」があり、理想があると思います。そして、その年、その年の学級集団にも様々な特質があります。「いつも笑顔で」が失敗を招くこともあるかも知れませんし、「こわもて」が子供たちを歪めることになってしまうかもしれません。忖度させる方向になってしまうのも、学級崩壊を招いてしまうのも、どちらも残念です。その時々の子供たちの様子と自分の実力を天秤にかけながら、うまくバランスがとれるように、教師は「顔色づくり」をしていかなければなりません。
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