人前で内容のある話ができる子供を育てる 3 授業における発言ルール

人前で内容のある話ができる子供を育てる 1 授業運営・学級経営の両全を

人前で内容のある話ができる子供を育てる 2 主旨説明と目標設定

人前で内容のある話ができる子供を育てる 3 授業における発言ルール

1 発言ルールを作り、徹底する

「指名なし発言」等の特別な手法を用いる方も増えてきているようですが、一般的には挙手して発言というパターンが多いことと思われます。発言時のルールをどれくらい作っているでしょうか。
あまりルールを作ることを好まない教師もいると思います。子供を型にはめることを避けたくて、フリートークを目指している教師もいるでしょう。「3年B組金八先生」の授業のように手も挙げさせないでどんどん発言が出て、それが良い方向に向かうのであれば、それはそれで構わないかもしれないです。ただ、欧米のような少人数授業でもないし、欧米のように個人の自己主張力が鍛えられていない状況で、金八先生をまねてみても、なかなかうまくいかないというのが大多数の教師・教室ではないでしょうか。

そこで、以下のような授業中の発言ルールの例を紹介しておきます。どれを採用し、どこまで徹底させるかの是非については、様々なご意見があると思われますが…

採用する場合は、折に触れ、必ずそのルールがなぜ必要であるかも丁寧に説明するようにしましょう。

1.手の挙げ方

どんな風に指示していますか?

A:右手を右耳につけて、中指に力を入れてピント伸ばす。

B:肘が、耳より上にくるくらい。

C:しっかり手を挙げる。高く上げる。

Aをやりすぎと感じる教師は要るかもしれません。C:はそれでは具体性がないから子供が従わないと考える教師がいるかもしれません。B:は中途半端と思える教師がいるかもしれません。
また、自分を当ててほしくて「はい」「はい」と、うるさくアピールした子供は、絶対に指名しないことも有効です。もし多くの子供が「はい」「はい」「はい」「はい」となった場合は、一旦全員に手を下させて、やり直しをさせるのも、分かりやすい指示であると思います。

2.ハンドサインを出させる

挙手したときに、何を発言したいのか(発言の意図)をハンドサインで示させます。これによって、子供は自分が何を言いたいのか、どの立場に立とうとしているのかを考えて挙手する事になりますし、教師は子供がどの立場で発言をしようとしているのかを確かめながら指名をすることができます。

また、それぞれが好き好きに発言をするのではなく、学級の繋がりの中で話し合いを進めているのだという意識を持つこともできます。下は、挙手したときのハンドサインの一例です。

親指一本・・・・・前の発言者と同じあるいは似た意見である場合

人さし指一本・・・・・前の発言者に質問したい場合

4本指・・・・・前の発言者の意見に付け加えたい場合

パー・・・・・前の発言者と違う意見を言いたい場合

グー・・・・・今までの意見とは違った、新しい考えを発言したい、話題を変えたい場合。

人さし指の意見は、誰にでも言える追随型です。まず、何名かの人さし指を示している子供たちを指名してあげると、自分では考えが浮かびにくい子供にも発言する機会を与えることができます。また、発言者は同意を得てほっとします。
上記は一例ですので、どのサインがどの発言の意図を示すのかは、学校の中で統一しておくといいと思います。

3.「はい」と返事

教師に指名されたら、「はい」と言ってから、立たせる。

4.立ち方1

立ったときに、椅子を机の中に入れさせるというルールがあります。これをすると、時間がもったいない、入れたときの音が耳触りという意見もあります。音を立てずに椅子を動かすといったところまで徹底できるといいですが・・・
座ったままで発言させる教師もいます(金八先生)が、立って発言あたりまでは徹底させた方が「ルールに則って発言する」という意識が育ちやすいのではないかと思います。

5. 立ち方2

立った時に、教師に向けて意見を言うのではなく、みんなに意見を聞いてもらうという意識を持たせるために、その位置から最もたくさんのクラスメイトが見える方向を向かせるというルールがあります。
なかなかそれが恥ずかしくてできない場合、学級会の場面などで、教師が立ち位置を変える余裕がある時には、教師が教室の後ろや前に立っておけば、自然と体や顔がみんなの方を向きます。
あるいは、普段からできるだけ、黒板の前に立たせてみんなの前で説明をさせるような場面を増やしていくことも、必要かもしれません。

6.話し方1

「鎌倉幕府を作った人は」
などと、(一問一答の授業は良くないと言われますが)一問一答であった場合でも、
「源頼朝」
と、単語で答えさせるのではなく、
「源頼朝だと思います。」
と、丁寧に答えるようにさせます。また、わかりきったことで正解が出ても、何人かの子供に言わせるのも子供に話し合いのつながりの中にいると思わせる手段の一つです。

7.話し方2「リード文」

ハンドサインに加えて、発言時のリード文を言わせるようにすると、話し合いにつながりが生まれます。

「○○さんと同じで、○○です。」

「○○さんに質問です。」

「○○さんと似ていて、○○です。」

「○○さんに付け加えて、○○です。」

「○○さんと違って、○○です。」・・・・・あまりネガティブなニュアンスにならないように配慮させる。「『少し違って』『○○さんの言う事も分かるんだけれど・・・』というと、やわらかくなるよ。」などと、アドバイスをしてあげるといいですね。

掲示物・ファイルをどうぞ↓

つながり発言.ppt

「新しいことを発言してもいいですか?」・・・・・小学校低学年では、勝手に話題を変えて全然他の話を始める子供がいます。これを許していると、言いたいことを言うだけの話し合いになっていきます。話を変える時には、同意を求めさせます。あまりに話題がそれる内容であれば、「後で話してね」「休み時間に話してね」などと、丁寧に断ってあげるといいと思います。(話題を変えると言いながら、前の話とつながっている場合もあります。)

いずれにせよ、つながりのある発言ができた時は「ちゃんとつながっていることを言えたね。偉いね。これが大事なんだよ。」と、褒めてあげましょう。

8.聞き方1レスポンス

発言者の方を注目させます。ぼんやりと友達の発言を聞くのではなく、レスポンスをさせます。

・話の内容に頷く。

・同じ意見であれば、「同じです」と言わせる。・・・・・発言者に「みなさん、どう思いますか。」と、投げかけさせる方法もあります。これに関しては、つい、習慣的に「同じです」と言ってしまう子供が多く、「同調ばかりが表立ってよくない」という意見もあります。

・立ち位置の表明をさせる・・・・・とりあえず、一斉に上記ハンドサインを出させて、発言に対する自分の立ち位置を表明させます。考え中は「チョキ」などで表明させるといいでしょう。

・立ち位置の表明をさせる2・・・・・ハンドサインはずっと示しておくことができないので、机の上に「賛成・反対・考え中(どちらとも言えない)」を示すことのできる用具を置いて、意思表明させるという手法も見た事があります。200ML牛乳パックに重りを入れ、上下を赤・青に色分けしたものを各自に持たせておくと、「青が上=賛成・赤が上=反対・横置き=考え中(どちらとも言えない)」で、自分の立ち位置を表明させることができます。

9.聞き方2

「否定的な態度を取らない」
友達が自分と違う意見や間違った答えを言ったときに、「はぁ?」「えー!」など、馬鹿にしたように否定する声が出なようにしっかりとルールを作りましょう。

また、対立する考えを持っているときでも、言い合いのようなムードになる言葉遣いや、自分と違う意見をつぶしにかかるようなものの言い方や態度に出る場合には、厳しく注意する必要があります。

「教室はまちがうところだ」で失敗をおそれない学級づくり(長谷川隼土先生)
教室はまちがうところだ
をご参照ください。

「受容的な態度をとる」
発言した相手に対しては、例え自分と違う考えであっても、礼儀を失わないで発言する態度を養っておく必要があります。 「○○さんの言いたいことは分かるけれど、」などと柔らかい言い方を教えておいてあげるとよいと思います。

10.丁寧語を使わせる。

話し合いが乱暴なムードにならないように、丁寧な言葉で話をさせることは、発言が苦手な子供にとっては安心な場づくりになります。たとえ普段の休み時間が乱暴なムードであっても、話し合いの場面では絶対に公式な態度をとることを求めます。

11.同じ意見を優先して言わせる

また、すぐに否定型の意見を出して議論の対立ムードを高めてしまわないで、同じ意見を優先して言わせるようにするといいでしょう。授業は教師が焦りがちになり、「えー、じゃあ、別の意見は・・・」と、すぐに多様な意見を求めてしまいます。全く同じ意見でも、重ねて発言する事で、焦点が絞れてきますし、発言に自信がない子供が発言するチャンスになります。

12.意見が言えない子供は、いったん保留して、もう一度指名する

教室の中に「発言をしたがらない」ムードが支配的であると、発言ができるのに、「わかりません」と言ったり、黙ったまま何も答えなかったり、聞こえないほどの小さい声で話したりします。ぼっとしていて話の流れから脱落していることもあるかも知れませし、本当に話し合いの内容が分かっていない場合もあるかもしれません。

まず、意見の言いやすいムード作りをしていくことが大事ですが、意見を言うのが当たり前であるという態度で子供たちに接する事も大事です。指名しても意見が言えない場合は、
「じゃあ、何か言えるようになったら、手を上げてね」
と、座らせずに立たせておくことも一つの手段だと思います。その代わりに、手を上げたときには最優先で指名してあげればいいでしょう。「○○さんと同じで、○○です。」であっても、発言できたことを認めてあげるといいと思います。

どのルールを採用し、どこまで徹底できるか

それぞれ、採用するのであれば、どこまで徹底させられるのかと言うところが難しいです。
「右手を右耳につけて、中指に力を入れてピント伸ばしなさい。」
と、正論を言っても、徹底しなければ子供にとってそれは「やらないでいいこと」になってしまいます。下手をすれば教師に言われたとおりにやろうとするまじめな子供がクラスで浮いてしまう事になります。

教師にどれだけ徹底する覚悟があるかどうかが問われます。子供の様子や自分の力量を考えて、妥協案(1-B)を採用するか、あきらめ(1-C)を採用するか、教師一人一人が自分の課題として認識する必要があります。

2 校内でのルール統一

上記のようにルールを挙げてみましたが、それぞれを個人的にアレンジしてやってみればいいと思います。ただし、あまりルールが個人ごとに違うようになってしまうと、学級担任が変わった時に子供たちが戸惑ってしまいます。

できれば校内で基本ルールを統一しておけば、学年が変わっても、同じルールで話し合いを進めることができます。それによって、子供も、教師も、安心して授業を進められると思います。校内の基本ルールをアレンジするのは個人の自由だとしても、原則として基本ルールを守っていきましょうといった姿勢で統一化に臨めばいいと思います。

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