1 講義名 『新学習指導要領の外国語(英語)』
レポーター:大塚 恵理子
2 講師プロフィール
直山 木綿子先生
文部科学省・外国語活動教科調査官。京都市の中学校に英語科教諭として勤務後、京都市教育委員会指導主事としてカリキュラムや教材開発に関わる。市内の小学校をまわりながら、良好な人間関係を築くために必要なコミュニケーション能力や言葉の使い方を伝えている。
主な著書
『新任教師のしごと 外国語活動 ゲーム活動の基礎基本」http://amzn.to/19hSFAw
『小学校新学習指導要領の授業 外国語活動実践事例集1』http://amzn.to/Zpondp
『小学校 新学習指導要領の展開 外国語活動編 平成20年度版』http://amzn.to/11sNzjg
『ゼロから創る小学校英語(先生応援小学校英語シリーズ)』http://amzn.to/12K1PR3
3 講座の概要
実際に外国語活動の授業を行う際に心がけておきたいことなどの解説をはさみながら、新学習指導要領に沿った授業を展開していく。英語ノートのデジタル教材を活用した授業も紹介。
4 授業内容
授業は、フラッシュカードを使ったワークショップやペアでのゲーム、そして最後には英語ノートのデジタル教材を活用して展開されていきました。その際の、授業全体を通して心がけておきたいことや、その時々の活動におけるポイント、そして新学習指導要領がねらいとするものといった解説から、以下でそれをまとめてみました。
「パターンにはまらないコミュニケーション」
授業の冒頭に”How are you?”と聞かれたら、”I’m fine thank you, and you?”と答えた参加者たち。しかし本当にfineですか?と改めて聞き直すと”hot”や”sleepy”といった言葉が出てきた。私たちは自分の本当の気持ちとは少し離れたような“型(パターン)”にはまったコミュニケーションを教えられてきてはいないだろうか。“言葉は自分の気持ちを表すためにあるもの“としてとらえることが大切。
「外国語活動を特別扱いしない」
外国語活動だから大きな声で笑顔いっぱいにビッグジェスチャーをしなければならない、ということはない。無理をするのではなく、他の教科のように、明確に言葉が伝われば十分。
特別に感じることと特別扱いをすることは違う。もし教師が外国語活動を特別なものとして扱えばそれは子どもにも伝わってしまい、外国語自体が特別になり、それはやがて外国語を話す人が特別という意識につながる。「世界にはたくさんの人がいて、それぞれの地域でそれぞれの生活を営んでいる。私たちはその中の一員。」ということを外国語活動を通して伝えたい。
「子供が思わず活動したくなるものを」
これは外国語活動だけに言えることではない。今まで自分がそれぞれの授業でやってきたことと同じであり、そこでの手法を外国語活動にあてはめていけばいい。
子どもの実態に応じた、子どもの興味関心に合った活動を設定することで、子どもが思わず“やってみたい!話してみたい!”となったら大成功!
「オールイングリッシュでやる必要はない」
子どもに届く言葉がいちばん大切。単元,授業ごとの“この英語は何度も聴いてほしい・言ってほしい”というものを英語で。その際に音声の情報がうまく処理できない子どももいるので、アクセントや発音の上がり・下がりをジェスチャーで示すとわかりやすい。
「それぞれの活動に『ねらい』をもつ」
今回の授業では“聴く・繰り返し”をねらいとしていた。ねらいによって発問や活動が変わってくるので、それぞれの活動で意識することが重要。
「自分の立場で自分の気持ちを乗せて言葉にする活動を教師の言葉を繰り返す練習が終わったら、今度は自分の言葉として発言できるような機会を設けることで、言葉が活きてくる。」
5 当日の教室の様子・生徒の反応
現職の先生方が多かったです。最初は少し照れてあまり声を出していなかった人も、フラッシュカードで何度も発声したり、ゲームをするうちに自然と楽しく参加できているようでした。時間が経つにつれて教室の雰囲気も柔らかく明るくなり、積極的に手をあげたり発言する人もみられました。
6 編集後記
それぞれの活動の後にその活動でのねらいやポイントの解説が入るので、納得して進んでいくことができました。直山先生が何度も繰り返していた言葉は「外国語活動を特別扱いしないこと」でした。自分自身が無意識に外国語活動に対してバリアをはり、他教科と比べて異質なものと思っていたことの原因である“漠然とした不安”が、授業が進むにつれひとつひとつ解消されていきました。外国語活動をどうしても敬遠してしまうような先生方に、是非この動画を参考にしていただけたらと思います。
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