1 授業内容と目的
本授業では防災についての知識はあっても行動できない人間の心理について理解した上で、避難できる意識を持たせることを目的としています。
日常生活の中から地震発生の状況を想定し、どのように行動すればいいかを考えます。次に、避難指示が発表されたのに、避難しなかった理由や心理をおさえます。そして避難した例をもとにして、どうして避難することができたかどうか、どうすればいいのかを考えます。
2 導入
(1)日常生活のいろいろな場面を想定し、そのとき地震が発生したら、どうするかを考えさせる。
→生徒たちは、どんな状況下でも「避難する」という模範的な回答をすることをおさえる
【資料-13】津波避難率 添付ファイル
(2)調査結果をもとに、実際に大きな地震が発生したり、情報が発表されても、多くの人は実際には避難していない現実を示し、そのときになると避難するのは難しいことをおさえる。
(3)避難することのできない人間の心理を知り、いざというときにしっかりと避難することができるようにするにはどうしたらよいかを考える。
3 展開
※動画は全て権利の関係で掲載できませんが、以下のPDF(368KB)をご活用ください。
添付ファイル
(1)平成18年11月15日の地震時の釜石市市民を例に、「避難指示が発表されたのに、避難しなかった理由」を予想させる。
→「自分は大丈夫だろう」、「津波はここまで来ないだろう」、「以前、津波注意報が発表されたときも、津波は来なかった」等
(2)平成18年11月15日の地震のときの様子をビデオを振り返る。ビデオを見て、避難しようと思った子供に、親が避難しなくてよいと言ったことをおさえる。
【動画-15】避難できない心理(1)避難しなかった例[2:10]
※権利の関係で掲載できません。ご了承ください。
(3)「自分だけは大丈夫」という心理「正常化の偏見」を説明する。「自分は大丈夫」と思ってしまう心理である「正常化の偏見」例をだしながら説明する。
→火災報知機が鳴ると・・・逃げる?イタズラだと思う?
(4)避難することができた平成16年9月5日の尾鷲市の例をビデオで見る。「正常化の偏見」に負けないで、避難するにはどうしたらよいかを考えるため、みんなが避難することができた平成16年9月5日の尾鷲市の例をビデオで見る。
【動画-15】避難できない心理(2)避難した例[2:34]
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(5)どうして、尾鷲の人は避難することができたのかを考え、発表させる。
→釜石と尾鷲の例を比較して、違いは何だったのかを考える
→単純な避難の呼びかけ以上の効果があったことを指摘する
(6)尾鷲の人が避難することができた理由のヒントに関するビデオを見る。
【動画-15】避難できない心理(3)集団同調性バイアス[2:40]
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(7)「みんながやっていたから・・・」という心理「集団同調性バイアス」を説明する。
(8)尾鷲の人が避難することができた理由は「率先避難者」であることをビデオを見て、確認する。
→人は良くも悪くも周りの状況や様子に大きな影響を受けることをおさえる
【動画-15】避難できない心理(4)率先避難者[2:53]
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4 まとめ
(1)人間の心理特性を理解したうえで、どうすればよいかを考えさせる。
【print-46】避難に関する心理
添付ファイル
(2)感想を記入し、発表する。
5 確認
(1)災害時に地域のみんなを守るために、中学生としてできることを知ることができたか?
詳しくは以下のPDFをご覧ください。
添付ファイル
6 講師プロフィール
片田 敏孝(http://dsel.ce.gunma-u.ac.jp/…
群馬大学大学院工学研究科
社会環境デザイン工学専攻 教授
広域首都圏防災研究センター長
岩手県釜石市の小中学校における津波防災教育を指導。
2011年3月11日に起こった東日本大震災で、地震や津波の甚大な被害を受けた釜石市では、片田先生による子どもたちへの日頃からの防災教育指導の結果、多くの子どもたちを津波の被害から守ることができた。
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