徳川家光と江戸幕府(社会 指導案)

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目次

1 互いの考えを伝え合い,自分の考えを発展させる事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。622

単元の目標

我が国の歴史や文化遺産・人物の働きに関心をもち,江戸幕府の始まりや参勤交代・鎖国などについて,年表や絵画資料,文書資料を活用して調べ,身分制度が確立し,武士による政治が安定したことが分かるようにする。

教材

歴史学習では,人物の業績の価値や意味について文化遺産を調べることを通して考え,それぞ れの時代の様子をつかめるようにしたい。しかし,徳川家光の業績を中心に調べていくと,児童 は「人々に対して厳しすぎる」等の印象をもつようになることが多い。そのために本事例では, 導入で日光東照宮や祖父である家康とのエピソードを調べ,家光の人物への関心を深めていく。

家光の業績を学習問題に即して調べていくと,次第に家光への評価が懐疑的になっていく。そこで,まとめでは江戸図屏風を読み取る活動を通して,児童がこれまで学習してきた見方や考え方 を揺さぶることが有効だと考えた。さらに,家光への手紙を書く活動を通して,時代の様子を考 えることができるようにした。

主な学習活動

学習活動

  • 日光東照宮を調べ,歴史的価値や意味を考える。
  • 徳川家光と徳川家康のエピソードと年表から学習問題をつくり,学習計画を立てる。
  • 徳川家光による大名統制について調べる。
  • 徳川家光による農民統制について調べる。
  • 徳川家光による鎖国政策と外国とのかかわりについて調べる 。
  • 学習問題についてまとめ,徳川家光の業績について考える 。
  • 江戸図屏風を読み取り,徳川家光へ手紙を書き江戸時代の様子をつかむ。

言語活動に関する指導上の留意点

  • これまでの学習を生かして,根 拠を基に予想させて,それらを 併せて説明させる。
  • 調べたことを整理してノートに まとめさせ,まとめに生かすことができるようにする。
  • 資料の読み取りを基に社会的事 象を具体的に挙げながら手紙にして表現させる。

言語活動の充実の工夫—その時代に身を置いて考え表現する—

本時では以下の言語活動の充実を図った。

  • これまでの学習を生かして,根拠をもとに予想させた。
  • 資料の読み取りを基に,考えたことを手紙にして表現させた。

初めに家光の業績を振り返り,「江戸の城下町はどのような様子だろうか」と発問した。児童の 多くは,「暗い」「沈んだ感じ」と否定的な印象をもって答えた。一方,少数だが「人々に厳しいけれど,安心して暮らしている」という肯定的に予想した児童もいた。このように,大まかに立場を明らかにした後に,「どうしてそのように考えるのか」と理由や根拠を求めた。

すると,否定的にとらえた児童からは「人々の交流が少なく,活気がなく家光や幕府を恨んでいるのではないか」等の意見が出された。肯定的にとらえた児童は,「争いがなく平和になったから,確かに明るくはないかもしれないけれど,安心して暮らしている」と考えた。

単純な感想だけでなく,その 根拠を示しながら説明することの意義を理解するとともに,世の中が統一され争いがなくなったことで,命の危険性が少なくなったことは,確かに人々にとって安心につながるだろうと発展的 な考えにつないでいった。また,「身分制度が確立したことで,政治も世の中も安定したのかもしれない」という意見も出された。

次に江戸図屏風の読み取りを基に,家光へ手紙を書く活動を行った。「江戸時代に身を置いて, 家光に手紙を書いてみよう」と発問した。半数近い 児童が百姓を選択していた。内容の多くは,家光へ の「感謝」と「お願い事」の2つだった。

「感謝」の 内容には,争いがなくなったことで命の危険性が少なくなり,以前より安心して暮らせるようになった ことを表現するものが多かった。また,町人の立場 から,参勤交代のおかげで人々や物の流通が盛んに なりもうかっている,という内容もあった。

こうした架空の設定に基づく言語活動を通じて,「幕府は大名統制のために参勤交代をしたのかもしれないけれど, 結果的に世の中を盛り上げる効果もあったのではないか。」と,家光の業績と城下町の様子を関連付けて考えることができた。


引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm
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