1000までの数(間嶋哲先生)


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1.1 1. はじめに~想像できない数の難しさ~

小学生にとって、最初の想像できない数は100を越えた数からだと思います。身の回りにあるもので100以上数えたことがあるものは少ないでしょう。そのためどうしても抽象的になりやすく、教えづらく、理解させづらいと感じている先生方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、間嶋先生の実践を紹介します。大きな数を身近なものにしていく方法として、参考にしていただければ幸いです。

1.2 2. 間嶋先生の指導例

(引用元 http://bit.ly/MJYxat )

1. 単元名  1000までの数

2. 本単元で育成したい「実践的な態度」

10の集まりと100の集まりで数を表すよさを基に,具体的な問題場面に応じて活用しようとすること。

3. 目指す姿

〇 不規則に置かれた100以上の個数の物を数える際,10ずつのまとまりと100ずつのまとまりに束ねる。

〇 獲得した知識・技能,考え方を,具体的な問題場面で積極的に使おうとする。

4. 本単元における「実践的な態度」を育成する働き掛け

働き掛けA1 様々な問題を個々に選択させ,具体的操作を基に解決させる。

最初に全体へ最初に全体へ「身近な物でたくさんありそうなものは何だろうか。」と問いかけます。するとトランプ、将棋の駒、マッチ、つまようじ、輪ゴムなど挙げられると思います。これで思考活動を十分にさせ,「普段何気なく見過ごしているが意外と数がたくさんありそうだ」という物に気付かせていきます。

様々なものがあげられたら,「数えるのが少し大変そうだけど,何とかがんばれば数えられそうなものは何だろうか。」と問い直します。この発問で,自ずと100以上1000未満の総数になる物を選択すると考えます。子どもの既習は100までの数だからです。

この段階まで全体で学習を進めたら,後は個人で学習材を選択させます。一人一人が興味関心に応じて違う学習材(輪ゴム,つまようじなど)を選択し,さらにその一つ一つさえも総数が微妙に違ってくるという状況がここで生まれます。

そして,具体的操作を基に解決させます。これまで子どもたちは10のまとまりにしていく数学的な考え方は習得しています。本単元で育成したい数学的な考え方は,「これまでの10のまとまりで数えていくだけでなく,100のまとまりを使うこと」です。

例えば「563」であれば,100のまとまりが5つ,10のまとまりが6つ,ばらが3つというふうに分けて,見ただけで数の総数がつかめるということです。目指す姿は上記の通りであるが,実際は総数が少ない場合は10のまとまりだけで事足りるかもしれません。また当然100のまとまりを作るよさに気付かない子どももいるでしょう。それを認めた上で,自分が選択した学習材を何とかこれまでの知識・技能,数学的な考え方を基に正確に数えさせたいと思います。

働き掛けA2 思考や解決の過程を,絵・図・式などを使って表現させる。

総数が分かった後で,働き掛けA2として模造紙に次のことを書かせる。

①自分が調べた学習材  例えば「お茶わん一ぱいに米は何つぶ入るか?」

②結果 例えば「じつは~つぶあった」

③どう数えたか

③が思考や解決の過程を,絵・図・式などを使って表現させる場になります。ただし本単元では,式の表現は適切でないので,子どもには「数え方の工夫を絵や図を使って,みんなに教えよう。」と投げ掛けます。この働き掛けによって,学習材や総数は違っていても自分が操作した過程を振り返り,絵や図を使って書き表そうとするでしょう。

働き掛けB1表現した子ども以外の子どもに表現された考えを説明させる。

次に,表現したものを本人以外の子どもに説明させます。本人以外の子どもにまず説明させる働き掛けをすることで,本人以外の子どもには,「~さん(表現した本人)はどんな工夫をして数えたのだろうか。」というような思考が生まれます。

この段階で,表現した子ども以外の子どもは「~さんの考えが理解できる子ども」と「理解できない子ども」に二分されます。最初の説明は,当然「理解できる子ども」から始めさせます。

「理解できる子ども」は,自分の操作と関連づけながら説明をしていきます。その際,もし自分が行った方法に近いものであれば説明を焦点づけられ、自分の方法と違うものであれば書かれたアイデアそのものに着目するようになります。

「理解できない子ども」は,焦点づけられた説明を聞いているうちに,少しずつ理解されていきます。なぜならば,自分でも同じ数学的な考え方を使った方が簡単に解決する問題をすでに行っているからです。

なお,最初の説明が終わったら,次のような流れをします。

①説明者が,「つけたしはありませんか。」と表現者以外の全体に問う。

②説明者が,「意見や質問はありませんか。」と表現者以外の全体に問う。

③説明者が,表現者に自分の説明でよいのか問う。

④説明者が,「ほかの考えはありますか。」と問う。

⑤違うアイデアだと思う子どもが挙手し,考えを黒板に貼る。

①から③までは,ある一人の子どもの考えについての検討です。④で「ほかの考え」と問うために,これまで出された考えと同じであると考えているアイデアは,これで出なくなります。聞いている子ども自身が,発表された考えと自分の考えを比較せざるを得ない状況がここで生まれます。

働き掛けB2 出された考えの中で一番分かりやすい考えを選択させる。

働き掛けB1で「100のまとまりと10のまとまり」で考えたり,「10のまとまり」だけで考えたり,あるいは「50のまとまり」で考えたりできることを理解した後,働き掛けB2を行います。その段階では,すでに働き掛けB1によって,自分以外のアイデアも十分に理解できている状況です。この働き掛けによって,獲得させたい数学的な考え方(すなわち100のまとまりや10のまとまりを作っていくこと)を分からせることができます。

働き掛けB3 選択した考えを使い有効性を確かめる活動の場を設定する。

数学的な考え方を共有することができた後,働き掛けB3を行います。具体的には、自分の好きな学習材で少し総数をかえ,隣同士で数えるスピード競争をさせることです。

このことによって,10のまとまりはもちろん,100のまとまりを新たに作っていくことが,数理的な処理のよさにつながることを実感します。

働き掛けC 単元で獲得した知識・技能,考え方を使うことで,問題解決において有能感を味わえるような場を設定する。

本単元の最後には,働き掛けCを行います。具体的には,「1000ピースすごろく」を行います。スタートからゴールまで1000個の枠を作り,サイコロを三回ふって進めていきます。この場合の三回という意味は,最初になげたサイコロは百の位で,次になげたの は十の位,そして一の位と続くという意味です。このやり方は十分説明しておきます。

1.3 3. 編集後記

間嶋先生の実践を読み、授業の工夫がいかに多様な可能性を持っているかに気づかされました。1000までの数はそれこそ位のまとまりをつくることを教えてしまうだけでも成立します。しかし、生徒が考え、納得していく授業にするには、先生方の工夫が必要であると改めて考えさせられました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 渡邉 直)

1.4 4. 実践者プロフィール

間嶋 哲(Mazima Akira)

1965年、新潟県に生まれる。新潟大学教育学部を卒業。

新潟県内の小学校で活躍後、文部科学省での1年間の研修を経て、現在、新潟市教育委員会学校支援指導主事。算数授業ICT研究会理事。全国算数授業研究会総務幹事趣味は、海外旅行・外国語会話・スキー・ギター(フォークとクラシック)・読書・園芸・熱帯魚飼育など、多岐に渡る。

大学の卒業旅行を機に、旅行・外国語にはまり、旅行記を一冊出版したほどのエピソードを持つ。

●HP

間嶋哲のHPへようこそ… http://bit.ly/LzzKmJ

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