○○大使になって地域をPRしよう!~4年生社会・地域や県の学習

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目次

1 4つの経験

4年生の社会科では、居住県について学習します。教科書は広い県の中の地域を隈なく取り上げることは無理なので、いくつかの地域を紹介するトピックの形になっています。学習指導要領では、
「自然環境,伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域を取り上げること。」
となっており、特色のあるいくつかの地域が紹介されることになります。

県についての学習の発展として、子ども達に教科書で取り上げられた地域の他の地域についても、もう少し自分達で調べさせました。以下にご紹介する例は、兵庫県での取り組みです。

兵庫県は5つの地域に分かれているので、各自がそれぞれの地域の大使として調べたことをPRするという形をとりました。ポスターセッション形式でPRをすることを通じて、「調べる」「まとめる」「伝える」「聞く」という4つの経験ができます。
この記事では「兵庫県の5つの地域」に関しての取り組みですが、「日本の各県」「世界の各国」でも同様の形で取り組みができると思います。

2 子どもへの呼びかけ

以下は、子どもに対する呼びかけです

神戸の町には、神戸大使といって、様々な機会を通じて神戸のまちの魅力をPRしていただき、神戸のイメージアップを図っていただいています。また、神戸のまちづくりに対するアドバイスをいただくこともあります。神戸を国内、国外ら応援していただいています。

谷川 浩司氏(棋士)・三浦 知良氏(プロサッカー選手)・日野原 重明氏(財団法人 聖路加国際病院 理事長)・朝原 宣治氏(陸上選手)

など、有名な方が大使になってくださっています。

4年生のみなさんも、兵庫県の5つの地域(阪神地域・播磨地域・淡路地域・丹波地域・但馬地域)の大使となって、友達とそれぞれの地域をPRし合うことを通して、兵庫県の特色を学んでみましょう。ただし、神戸市は3年生で学習しましたので、阪神地域は神戸市以外の市を調べてください。

3 方法・ルール

  • 兵庫県を5つの地域に分け、それぞれが自分の紹介したい地域を選ぶ。
  • B4判のポスターに自分のPRする内容をまとめる。
  • 各教室に分かれて、ポスターセッションを行う。

生活科でやったお店やさんごっこを想像してください。各地域グループでA班とB班に分かれます。A班は前半30分はPRをする側として、自分の地域の教室にいます。後半30分はPRを聞く側として、他の地域の教室を回ります。B班は、その逆です。教室を回っている間は、自分のポスターを黒板にはっておいて見てもらいましょう。

ポスターセッションは1分~3分ぐらいを目安にして説明します。聞く側は最後に感想や疑問を伝えて上げられるといいですね。聞く側、PRする側のどちらも、はじめは「聞く側、PRする側のどちらも、はじめは「よろしくお願いします」終わりは「ありがとうございました」をきちんと言いましょう。

  • 1人、10票(大人は30票)を持って、よかったと思う地域の発表に投票する。自分の発表した地域には投票できない。

投票所に投票箱がありますので、10票をどのように分けてもかまいません。丹波地域に7票,阪神地域に2票、但馬地域に1票というように、分けて入れても構いません。

  • ポスターには、必ず図を入れる。

ポスターで全部を伝えようとすると、字がたくさんになります。そうすると、かえって印象に残りません。紙面にたくさんの文字をつめこんでも、お客さんには伝わりにくいです。図や記号を使いながら、相手が関心を持つように工夫をしてみましょう。
 細かく伝えたいことは、口で伝えてください。ポスターには、キーワードを目立つように書いておく程度にしておきましょう。文章を書くより、1・2・3など、箇条書きにしておくとわかりやすいですね。

  • 必ず、聞いている人が感心するような「面白ネタ」「耳より情報」をひとつは入れておきましょう。

(例)「揖保乃糸 資料館 そうめんの里」では、中庭で流しそうめんを食べることができるそうです。

  • 発表時のルール。

礼に始まり、礼で終わります。発表の仕方、聞き方の勉強でもあります。

大使(話し手)「今から~について発表します。よろしくお願いします。」
聞き手「お願いします。」
—–発表(丁寧語で)
大使「何か感想や質問はありませんか」
大使「これで発表を終わります。ありがとうございました。」
聞き手「ありがとうございました。」

4 PRの内容の例

  • 地域のことを、広く、調べる。
  • 地域から出た有名な人のことを調べる。(例:山田耕作)
  • 地域の農産物について調べる。(例:丹波の黒豆)
  • 地域で有名な食べ物を調べる。(例:揖保そうめん)
  • 地域の観光地を調べる。(例:姫路城)
  • 地域の自然について調べる。(例:但馬地域の雪)
  • 地域のしせつについて調べる。(例:但馬空港)
  • 地域の工業について調べる。(例:小野のそろばん)
  • 地域の○○マップを作る。(例:播磨地域公園マップ 例:但馬温泉マップ)

5 まとめとしてのテスト

ただ聞き合いの学習で終わるのではなく、最後にはみんなが発表した内容からテストを作ってみました。やや難しいものも取り入れたカルトクイズも数問入れています。兵庫県在住の方は、大人でも、やってみるとけっこう面白いですよ。

正答数で
◆兵庫県知事賞 ◆兵庫県大使賞 ◆大使見習い賞 ◆のじぎく賞 ◆はばたん賞 ◆もうチョット兵庫を知っておきま賞 
などとランクをつけてあげれば遊び感覚で楽しめます。

添付ファイル

6 投票について

授業参観日にポスターセッションを行いました。来ていただいた保護者と児童に投票チケットを渡し、投票をしてもらいました。投票チケットは5色あって、自分、あるいは自分の子どもへの投票をすると色でわかってしまい、無効となります。

当日は投票箱を各教室前に置いてしまったために盛り上がり過ぎ、宣伝合戦になってしまいました。保護者に対して「●●地域をお願いしまーす」と子どもが呼びかけて、発表の声が聞こえないほどでした。投票行動は、発表と切り離した場所・時間帯にした方がよかったかもしれません。
 開票は、何票が入ったのかを数えるのは大変なので、精密な重さを測ることのできる電子てんびんを用いて計測しました。

以下の文書を保護者に渡し、投票箱にもはっておきました。投票の仕方は、子どもへも同様に説明しています。ちなみに、子どもは10票を投票できる権利があり、大人は教師も含めて、30票を投票できます。

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保護者様
大使館への「投票の仕方」
4年スタッフ
お忙しい中、ご参観いただき、ありがとうございます。短い期間でしたが、子ども達は一生懸命に各地域の「大使」となって、資料を作り、個人発表をしています。是非、投票をしてあげて下さい。

  • 「投票券」は担任教師にお声がけください。30票をお渡しします。
  • 30票は、どのように分散して投票していただいても結構です。ひとつの大使館に30票を入れてもOKですし、9票・8票・13票など変則的に分けて投票していただいてもけっこうです。
  • 但しご自身のお子さんの所属する大使館には一票も投票できません。(子ども達も、自分の所属する大使館には投票できません)
  • 子ども達は前半と後半の終わりに投票しますが、早くお帰りになられる場合は途中で投票してくださって結構です。

子どもたちがアピールしているところをよくお聞きいただいて、投票していただけると幸いです。
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7 事後の感想

保護者に向けて発表する事と、投票をとり入れたことによって、子ども達のモチベーションが高まりました。クラス全員に対して発表するのに比べ、2人程度の少人数に向けて発表する形は、発表が苦手な子どもにとってはやりやすい形であったと思います。いつもはモジモジしてはっきり話すことができない子供が、生き生きと流暢に説明していることに驚きました。

知識の定着を目的にした学習ではなく、興味に沿って楽しく自分の住んでいる地域に対する関心を高めることができたことも、成功であったと思います。

「旅行業者になってパンフレットを作ろう」といった切り口もよくあるようです。旅行業者という設定では「楽しい情報を広く集める」となりがちです。それに比べて「大使」という設定では、「より深い情報」が集まりやすくなります。

ポスターの作成に当たっては、あまり「文字情報」を多くしないように指導しました。情報をまる写しにして右から左へ流すのではなく、自分が得た情報の中から大切なことを抽出して相手に伝えるという再編集の作業を通して、自分が調べていく内容に対する理解も深まっていたように思います。

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