思いやりの心に気付かせる―『にじいろのさかな』の役になりきって―

1 はじめに

この記事で紹介する実践は、平成21年7月に千葉県野田市立関宿中央小学校の田中教子先生によって行われた、小学1年生の道徳の研究授業です。なお、授業の流れ、授業者の意図が一早くわかるよう、指導案を基にEDUPEDIA編集部が再編集しています。指導案の全容をご覧になりたい場合は、ページ下部からダウンロードしてご覧ください。

2 授業の主題

主題名 みんななかま 2−(2) 思いやり・親切
使用資料名:マーカス・フィスター作・谷川俊太郎訳『にじいろのさかな しましまをたすける!』( http://amzn.to/TWUJZo

≪主題設定の理由≫

本主題は、学習指導要領の内容2「主として他の人との関わりに関すること」の(2)「相手のことを思いやり、親切にする。」を中心価値としている。

思いやりの心は、相手との関わりから生まれてくる。学校の中では一番身近である友達との関わりが重要で、相手を認め、尊重し、互いに理解し合うことでより良い友達関係が形成される。そのためには、相手の立場に立って考えることが必要となる。普段の生活の中はもちろん、道徳の学習においても、様々な場面で相手の立場に立って考えることを積み重ねていけば、思いやりの心が育つと考える。そして、いずれは身近な存在である家族や友達という枠を超えて身の回りの人々へ、そして世の中全ての人々へというように対象を広げていきたい。

立場を変えて考えるということは、幼児期の自己中心性がかなり残っているこの時期の児童にとってまだ難しい。しかし、児童が親しみやすい物語を用いて、登場人物と自分の気持ちを置き換えながら考えたり、ロールプレイ(役割演技)を通して、実際に友達と本音での交流を体験させたりすることで、相手の気持ちを推測したり、理解したりする力の発達を促すことができると考え、本主題を設定した。

3 資料について

本資料は、海に住む魚たちの物語である。きらきらうろこをもつにじうおとその仲間たちが遊んでいると、きらきらうろこをもっていないしましまがやってきて、仲間に入れてもらえるようお願いをする。しかし、みんなきらきらうろこを持っているが、持っていないからという理由で入れてもらえない。そんな中、突然さめがやってきてしましまだけが逃げ遅れてしまうのだが、いったん逃げたにじうおたちが再び戻ってさめを追い払い、しましまを助けるという内容である。

資料の中には、にじうおとその仲間たちが珊瑚礁の割れ目に隠れた後、それぞれがどのような考えや思いからその場を飛び出し、しましまを助けに行ったのか、詳しく描かれていない。しかし、その場面の様子を再現することで、魚たちの心の中にあったであろうと思われる葛藤を、児童に体験させたい。

4 研究主題との関連

(1)研究主題

(2)研究仮説

人権の視点を持って、意図的、計画的、日常的に豊かな人間関係づくりの指導を継続していけば、自他を尊重する児童を育成することができるであろう。

<具体的な手立て>

○学校人権教育の視点を持った授業研究と授業実践
  (学年・学団を中心に、複数の教科・領域にわたる実践)
  (豊かな人間関係づくりを主眼とした活動)
  (思いやりの気持ちと通じ合う力、わかりあえる心)
  (学び合いを通した相互理解)

○学校人権教育の視点でとらえた学校行事及び児童会活動の再構築 
  (各行事などの人権教育的視点を明らかにする)

○豊かな人間関係づくりの基盤を整える日常実践
  (あいさつ、言葉遣い、返事が人間関係づくりにもたらす効果)
  (自他に対する興味・関心の喚起)

(3)主題との関わり

資料の中で、きらきらうろこをもっていないから、仲間ではないから遊ばないという考えを持つ魚たちが、途中で、自分と同じ命を持つ魚なのだ、きらきらうろこがなくても同じ仲間なのだということに気づく場面がある。つまり、固定された概念が紐解かれ、別の概念へと変わった場面、自分の大切さとともに他の人の大切さを認める場面である。人権教育を行ううえで非常に重要であるこの場面に焦点を当て、ロールプレイ(役割演技)を通して児童の考えや気持ちを掘り下げ、意見を交流させることで、自他を尊重する人権感覚を身につけさせたい。

5 本時の指導

(1)目標

相手の立場に立って考え、友達を思いやる心情を育てる。

(2)展開

(3)評価

相手の立場に立って考え、友達を思いやる心情が育ったか。

(4)板書計画 

6 編集後記

キャラクター性のある題材を扱って興味を引きながら、基礎的な感情や社会性を養っていく授業は、小学校低学年にはうってつけだろうと感じました。

編集では割愛させていただきましたが、元の指導案には田中先生の受け持っていたクラスの実態調査(児童へのアンケート)があり、その内容が授業にも反映されています。授業はやはり、目の前の子ども達の実態をよく把握した上で作り上げていくことが大切なのだと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐原志麻)

7 実践者プロフィール

田中 教子 (たなか・きょうこ)
千葉県野田市立関宿中央小学校 教諭

(参照)第1学年1組 道徳学習指導案
添付ファイル

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①にじいろのさかな.JPG

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