10より大きい数を数えよう(間嶋哲先生)

1.1 概要

この実践記事は、10以上の数を数えることを通して、10を単位とする数の構成に気付かせる働き掛けを行っています。数を多面的に見る力を高めることが目的の実践です。
出典はこちら→ http://p.tl/3dHQ-

1.2 単元名

数え名人になろう —10よりいっぱいの数—

1.3 本単元で高める力

【内容知】 ある数を,ほかの数のまとまりで表せることが分かる。

【方法知】 いろいろな数のまとまりをつくって数えることができる。

【体験知】 いろいろな数え方ができて楽しいと感じる。

2ずつや5ずつ,10ずつにまとめて数えることは,10を越えて個数を数えていくときに便利である。このような数のまとまりに着目させるために,数えとびによる共通の体験やいろいろな数え方を追体験する場を設定する。また,自分にできる数え方を図に表現するとともに,表現した絵図を基に具体物を数えさせることで,子どもは,数の表し方を振り返るようになる。

1.4 指導の構想

働きかけ1 数のいろいろな見方につながる,共通の体験をさせる〈体験知の獲得〉

数を唱えながら,リズムとびをさせる。

第1時は,「数えとびをしよう。」と提案し,1列に並べた10個の輪をとばせた。子どもは,数を1つずつ唱えながらリズムよくとんだ。次に,輪を12個に増やすと,2とびをする子どもが現れた。そこで,うんてい遊びや階段とばしを想起させながら,「に,し,ろ,や,とう,じゅうに」と,とぶ動作に合わせて一斉に唱えさせた。 

さらに,「いろいろな数えとびに挑戦しよう。」と言うと,子どもは,3とびや4とびに挑戦しようとした。しかし,3とび,4とびを数を唱えながらとぶことは,子どもにとって難しかった。

そこで,リズムよくとべるように,数の唱え方を考えさせたり,輪の色を変えてとばせたりした。最後に,教師が20 個の輪を5とびし,その数えとびの動作に合わせて一斉に数を唱えさせた。

ここでの活動が,いろいろな数え方を見付ける活動につながっていくのである。(体験知の獲得)

働きかけ2 子どもから出された数え方について,具体物を用いてすべての子どもに追体験させる〈方法知の獲得〉

個々の子どもの数え方を発表させ,それぞれの数え方を具体物を用いて試す追体験(まねっこゲーム)をさせる。

第2時は,12個のひまわりの花を数える課題を提示した。おはじきと対応させながら12個であることを確かめた後,「数え名人になるために,ぴったりになるいろいろな数え方を見付けよう。」と問うと,次のような反応を見せた。

児童1 : 1つとばしで数えれば,はやい。

児童2 : 数えとびでやったように,3とびや4とび,5とびで数えればいい。

これは,前時で行った数えとびを想起しながら,課題に対する見通しをもった子どもの姿である。その後,おはじきを動かして数えたり並べたりしながら,数えとびで経験した2ずつ,3ずつ,4ずつのほかにも,6ずつを加えた4通りの数え方を見付け出した。 

第3時には,4通りすべての数え方を追体験する「まねっこゲーム」を行った。まず,12までの数直線を示しながら,それぞれの数え方を数の並びで確かめ,一斉に唱えさせた。

次に,2人組で順に数え方の問題を出し合い,4通りすべての数え方を声に出して数えるよう指示した。子どもは,12個のおはじきを同じ数ずつ動かしたり,並べたりしながら数を唱えた。(方法知の獲得)

働きかけ3 追体験した操作を基に,数のまとまりを図に表現させる〈内容知の獲得〉

その後,自分ができるようになった数え方を図に表現させた。ある児童は,12個のひまわりの花の絵を同じ数ずつ線で結んだり,丸で囲んだりしながら,4通りの数え方を図に表した。(内容知の獲得)

働きかけ4 異なる場面や数値において,数のまとまりを図に表現させ、表現した図を基にすべての数え方を追体験させる

第4時は,20個のひまわりの種について,ぴったりになるいろいろな数え方を見付ける課題を提示した。前時に見付けた同じ数のまとまりのほかにも,5ずつや10ずつのまとまりに着目させることをねらった。

ある児童は,2ずつ,3ずつ,4ずつ,7ずつの4通りの数え方を見いだすが,ぴったりになる数え方は,そのうちの2ずつと4ずつであった。一方で、学習プリントの2ずつの数え方で10+10=20と書いていることから,2ずつ数える中で10のまとまりがあることに気付き始めている様子もうかがえる。しかし,それを図に表すことはできないでいた。

そして,個々の子どもが見付けた数え方を発表する場面において,3ずつの数え方について,次のようなやりとりがあった。

児童3 : (黒板に提示した20個の種を3ずつ丸で囲む。)

児童4 : 合わない。(「3,3,3,3,3,2」と,丸で囲んだ数のまとまりをみんなで確かめる。)

先生 : どうだった。ここ(余った2)はいくつになる。これはぴったりに入れていいか,悪いか。

児童5 : だめ。おしい。

児童6 : もうすぐぴったり。

こうした話し合いが,「ぴったり」という意味を数のまとまりの視点からとらえ直す1つのきっかけになった。その後,子どもから出された2ずつ,4ずつ,5ずつ,10ずつの4通りの数え方について,2人組でおはじきを動かしたり,並べたりしながら数を唱える「まねっこゲーム」を行った。

最後に,30個の種の絵を提示した。そして,自分ができる数え方を種の図に表現させた。20のときは5や10のまとまりを見つけられなかった児童も、数える対象が増えることで,追体験と図表現とによってまとまりをつくることができた。

(内容知の獲得)

その児童は次のように感想を述べた。

 「とってもおもしろくて,かぞえるのをかんがえるとか,はっきりこえをだすのと,おはじきをつかってかぞえるのが,とってもたのしかったです。」 

1.5 数を多面的にみる力と内容とのつながりを重視した課題設定

子どもは,数のまとまりをつくるという視点で,小さい数から順にぴったりになる数を探す思考を進めていた。そして,数える対象が増えることで,より大きな数のまとまりに着目していった。第4時の自力解決の段階では,10のまとまりをつくり出した子どもが28名いた。ぴったりになる数のまとまりを探す活動が,5や10の数のまとまりに着目させることにつながったと言える。 

これらのことから,単元の内容を十分吟味した上で,その単元で高める数を多面的にみる力を焦点付ける必要がある。

この後,子どもは,どの数のまとまりを使っても,ぴったりにならない13という数に出会う。子どもは,「2と2と2と2と2と2と1」や「5と5と3」,「10と3」という数についての見方を広げていった。ここで,13は,「じゅうさん」と言い表すことから,いろいろなまとまりの中の10のまとまりとその端数で表した数であることを確かめた。

1.6 追体験を促す「まねっこゲーム」

自分にはない数え方をまねて,おはじきを操作したり,図に表現したりする活動を通して,児童たちは5ずつや10ずつのまとまりをつくる内容知・方法知を獲得した。このように,ある数をいろいろな数のまとまりをつくって表すのが、数を多面的にみる力を高めた子どもの姿である。いろいろな数え方を追体験すること、図に表すこと、そしてそれらの行き来を通して,数を多面的にみる力を高めていったのである。

今後も,追体験と図表現との行き来という視点から,数を多面的にみる力を高めるための有効性について探っていきたい。そのために,次の2点に留意して研究を進めることとする。

○単元で獲得させたい内容知・方法知を十分に吟味するとともに,どの場面でどう獲得され,活用されるのかを分析する。

○内容知・方法知の獲得につながる体験知の有効性について探る。

編集後記

指で数えられなくなる10以上の数を効果的に学習することのできる実践です。リズムとびやまねっこゲームなどを取り入れているので、児童たちも楽しく授業に参加することができるでしょう。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 高橋遼)

<講師プロフィール>

間嶋 哲(Mazima Akira)

1965年、新潟県に生まれる。新潟大学教育学部を卒業。

新潟県内の小学校で活躍後、文部科学省での1年間の研修を経て、現在、新潟市教育委員会学校支援指導主事。算数授業ICT研究会理事。全国算数授業研究会総務幹事

趣味は、海外旅行・外国語会話・スキー・ギター(フォークとクラシック)・読書・園芸・熱帯魚飼育など、多岐に渡る。

大学の卒業旅行を機に、旅行・外国語にはまり、旅行記を一冊出版したほどのエピソードを持つ。

●間嶋哲のHPへようこそ… http://bit.ly/LzzKmJ

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