社会科の導入・2つのポイント(松森靖行先生)

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目次

1 はじめに

岡山の小学校教諭である松森靖行先生がJUT関西で優勝なさった時の社会科の導入に関する授業実践をご紹介致します。
※JUTとは「授業力アップトーナメント」の略で授業力鍛錬の場です。全国で開催されています。詳しくは ( http://www.kyoin.com/jut.html )をご覧ください。

2 「導入」が社会科授業の成功の鍵?!

社会科授業の成功は、社会科授業の成功は、導入でいかに興味を持たせるかで決まると言っても過言ではありません。その導入とは、単元をつらぬく導入です。この時の導入を「大導入」と呼ぶことにします。そして、各時間の導入を「小導入」と呼ぶことにします。大導入にも、小導入にも共通しているものがあります。それは・・・

(1)できるだけ実物を用意すること(なければ写真)。

(2)子どもの思考を「ゆさぶる」ものであること。

この、(1)(2)が大切なのです。これさえきちんと押さえておけば、興味をもって、その後の、県の自然や県の交通の学習に進みます。理解度が全然違ってきます。社会科は1つの単元が長いので途中、必ずだれてきます。そこで、「小導入」が必要になります。大導入のように、単元はつらぬきませんが、その時間に考えさせたいことに興味を持たせます。

(2)のゆさぶるは、少々難しいかもしれませんが、その単元やその時間のめあてを参考にして、考えるとよいと思います。

3 実践例:小学校4年生の「わたしたちの住む県(岡山県)」

(1)住んでいる県の特産物を提示する

提示の仕方は色々あります。クイズ形式にしたり、風呂敷に入れて隠して見せたり・・・など様々ですが実物が用意できるのなら、できる限り用意をします。たくさんあればあるほどよいです。今回は、岡山県の特産物であるホルモンうどんの写真と岡山県の地図を用い、クイズ形式で提示しました。

(2)ゆさぶる方法はもちろん「発問」で

「ホルモンうどんは岡山県のどこに行っても食べられますか?(つくっていますか?)」と発問します。ここで子どもたちはすぐに、「近所では売っていない」とか答えるでしょう。そこで、「なぜつくっている場所が決まっているのですか?」「そこに行くまでにどのような道路がありますか?」などの発問をします。ここで、子どもたちは、「う~ん」と考えます。そこで、「わからない~調べてきましょう。」というのが導入の授業です。

県の自然をその時間に習得させたいのなら、例えば「岡山県と滋賀県を比べて、違うところ同じところを10書こう」という小導入にします。自分が住んでいる県とは違う県を比べることで、自分の県の特徴がより深く理解できます。また、「比べる」ということは、社会科で身に付けさせたい重要なスキルでもあります。

社会科は全ての教科の総合的な力が必要になります。国語、算数、場合によっては理科で学習したことも使います。総合的な学習の時間が始まった時に、内容が社会科と似ていたのはこれが理由です。内容次第では、効率よくいろいろな能力を育成できます。そして、学級経営にもつながります。

4 編集後記

見方を変えるだけで教材になりえるものは私たちの身の回りにたくさんあります。松森先生によれば、コーヒー缶1つでさえも、工夫次第で教材になるそうです。また、キティちゃんのぬいぐるみを用いてどのような授業ができるかノートに授業案を書き出してみたところ、50個くらい思いついたそうですが、100個は書き出せるようになっておきたいとのことでした。普段から教科の枠にとらわれない、柔軟な見方と自由な発想を心がけ自分の教材を増やしていくことが、バラエティに富んだ授業を行う秘訣なのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 平阪優衣)

5 実践者プロフィール

松森 靖行 氏
1976年、岡山県生まれ。岡山大学卒業後、岡山県の公立小学校教諭となる。
「楽しみながら鍛える」をモットーに、日々、教師修行を怠らない若手実践家。JUT奈良大会では、軽妙な机間巡視と子どもへの声かけで、勝利の栄冠を勝ち取った。
共著に『爆笑クラスのつくり方12カ月』黎明書房) http://p.tl/1rLz 、Web上では「学びの場.COM」 http://www.manabinoba.com/にて教育つれづれ日誌(教育エッセイ)を連載中。その他、東京書籍 「社会科教科書解説書 3年生の授業づくりについて」など、活躍の場は幅広い。

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