学級づくり5月【子どもが落ち着くスモールステップ作戦】

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目次

5月号ステップ1

連休明け 急がば回れ クラスづくり(字あまり)

4月によいスタートがきれたクラス担任には、連休明けって、せっかく習慣になったことがくずれてしまったと感じることが多いでしょう。
でも、4月によいスタートがきれなかったクラス担任には、クラスづくりの再チャレンジ(仕切り直し)のチャンスなのです。気づいた時が、再スタートでもあります。
そう言う意味では、毎週、毎日が、再スタートのつもりでいきましょう。

保育・授業の導入だけは保育士・教師間で交流しよう

ただでさえ忙しい職員室ですから、最低限、日々の授業の導入だけでも先生同士で交流しましょう。
毎日の保育・授業の導入の善し悪し(出来・不出来)の積み重ねが、クラスづくりを左右します。
子どもが食いついてくるような導入、子どもの瞳が輝くような導入を、日頃から学年や学年部の保育士・教師間で交流し、導入の『引き出し』をたくさん共有している先生集団になってほしいと思います。
もちろん、あの手この手を使っても、なかなか保育・学習に集中できない子は、決して少なくありません。
①「A君、こっち向いて」→「うれしいな。向いててや」
②「Bさん、教科書出して。○ページ開けて」→「すばやいな。えらいぞ」
③「C君、ノートに書くんやで」→「できるやん。かしこいなぁ」
このような当たり前のことが出来ていない子どもらに、
『こまめに指示を出して→ほめること』(豆つぶのようなスモールステップ)のくり返しを、4月から6月まであきらめずに粘り強く続けてみてください。
授業の「導入3原則」と、私は呼んでいます。
勝手気ままに立ち歩く子どもらとのガマン比べになりますが、3か月やり通したらクラスはきっと落ち着きます。

ぼく(わたし)を後回しにしない先生

学期始めは、子どもが担任を試す時期です。
連休明けは名誉挽回のチャンスです。
この時期になったら、クラス全員の顔と名前は覚えているわけですから、
「Aくん、おはよう」
「Bさん、おはよう」
と、声をかける時には、本人の名前を呼ぶことを意識してみましょう。
あいさつも、用事を頼む時も、どんな時でもです。
名前を呼んでもらえるのは、うれしいものですから。

授業中、A君が泣き出しました。
またか、と授業をそのまま続けたら見逃し三振。
A君にどんなひと言をかけるかが勝負です。
その言葉にA君がうなずけば、クラスのみんなの心も育つタイムリーヒットになるわけです。
教室に温かな空気が流れます。

休み時間、ノートの○つけに忙しい担任に、Bさんが何か訴えてきました。
「後でね」は見逃し三振。
その場でBさんの声に耳を傾けてあげたら、Bさんは安堵します。
いつも自己主張の目立つBさんに対する担任の指示も、Bさんの心にだんだん入るようになってきます。
子どもには、今、担任にどうしても聞いてほしい瞬間があるのです。
同じ視線の高さで、子どもの目を見ながら、丸付けの手を止めて、聴いてあげましょう。

5月号 ステップ2

担任の声が心に届いた時、子どもは動き出す

あちこちの教室から元気いっぱいの
「おはよう」
が聞こえてきます。
家からモヤモヤしたものを引きずって来ている子も、気持ちを切り替えて、校園での一日のスタートができる、そんな朝の出会い方を、各クラスでしてはるんやろなと思います。
とは言うものの、いっぱい重いものを背負わざるを得ない状況の子ほど、新しいクラスの中で、自分の居場所をなかなか見つけられず、落ち着かないのではないでしょうか。

担任のお手伝いを頼むことで、心と心の結び目に

そんな、気になる子には、担任がどしどしお手伝いをさせましょう。
目的は二つです。
一つは、その子をほめるためです。
その子が手伝ってくれた内容以上に、その子が手伝おうと思ってくれた心を
「あなたの気持ちがとってもうれしい」
とほめるためです。
担任がほめる材料を与えて、やりきらせて、ほめる、この繰り返しを積み上げることで、
どうせ、ぼく(わたし)なんか・・・
という投げやりな気持ちは徐々に小さくなり、ささやかな自信がちょっとずつ生まれてきます。いわゆる、その子が自尊感情を取り戻すための支援の営みです。
もう一つは、担任とその子との関係づくりです。
その子の心の糸をたぐり寄せるのです。
この先生は、ぼく(わたし)を認めてくれてはるんや
と感じ始めてくれるまで続けましょう。
あきらめなかったら少しずつ心を開いてくれます。

トラブルはその子とつながれる絶好のチャンスだ

それでもトラブルは起こるものだと思っておきましょう。
トラブルが起こったら、その子とつながれる糸口だと思いましょう。
まず、
どうしたの?」
から入ります。
その子の言い分をウーンと聞いてあげます。
困ったねぇ
と言いながらも、安易に同調(他の子や他の先生への批判)はしません。
あれこれ言い訳をするうちに、その子のさびしさ・かなしさ・くやしさをチラッと見せてくれます。
それを逃さず、
きみのくやしい気持ち、よーくわかったよ。ほんまにくやしかったんやね
そうか、つらかったんやなぁ。腹が立ったんやなぁ
と、その子の気持ちには共感し、代弁してあげたいものです。
そういう担任のひと言があるか、ないかによって、その後の担任の指導(語りこみ)がその子の心の中まで届くかどうかが決まります。
トラブルに相手がある場合は、安易に相手を批判したりしません。
双方の言いぶんを、ちゃんと聴いてあげて、双方の気持ちには共感しつつ、事実が不一致のままでは、解決にはならないことを、自覚しましょう。
双方が納得して、1つの事実(真実)を確認できれば、解決の出口が見えます。
そして、最後は、
どうしたい?」
と問いかけ、子どもに、今からどうするのかを、考えさせるのが、生徒指導の基本だと思うのですが、いかがでしょうか。

5月号 ステップ3

気持ちがギザギザ・トゲトゲしている子

すぐふてくされる子、すぐ反抗する子、すぐすねる子、いわゆる指導が入りにくい子がいるとします。
この子はやりにくい子ではなく、実は、人一倍声をかけてほしいさびしい子、自分に自信が持てず不安いっぱいの子、人とうまくつき合うことの苦手な子だと思ってあげてください。
わざと投げやりな態度をとったり、わざと先生をおこらすことを言います。
本当は、かまってほしいんです。
だから、あわてず・騒がず・どっしりと!です。

子どもに不快な不安感・緊張感を与えない先生は

まずは、何かをしながら気楽にしゃべりかけることです。
いっしょに遊びながら、いっしょに給食を食べながら、いっしょに作業をしながらというのは、子どもが身構えず、安心して自分を出せます。
最初は向かい合うより、横に並んでの方が安心する子もいます。
これがベースです。
子どもって、威圧感オーラの出てる先生には、警戒します。
その土台を築きながら、いざという時、先生がどうしても伝えたいことは、必ず目と目を合わせて(目の高さも同じ位置で)、その子の心の奥に届けようと意識しながら語ります。
その子の心を信じ、その子の誇りを傷つけずに、その子の目と心にしみ込むように語りかけるのです。

先生は「子どもをわかってあげる」プロです

先生は子どもに「わからせてやる」プロだというのは勘違いですよ。
子どもの、その時々の気持ちを謙虚に
「わかってあげる」プロでありたいですね。
しかし、ケースによって、先生もハタと困ったら、
例えば保幼や小学校低学年のやんちゃ坊主なら、ひざの上に乗っけて、
小学校中学年のわんぱく坊主なら、頭をなでてやりながら、
困ったねぇ
とつぶやきます。
そのうちに、トラブった、その子の本音や、訳ありの事情が見えてきたら、
つらかったんやね」
がまんしてたんやね
くやしかったんやもんなぁ。そら、ムカつくわなぁ
と、トラブルメーカーと呼ばれる子に、
その子の気持ちを教師が代弁してあげましょう。
周りの子どもたちにも聞こえるように大きな声で言ってあげましょう。
(ただし、その必要があると感じた時だけです)あいづちを打つ子も出てきますよ。
その子の興奮を鎮めるためにも、周囲の子にハッとさせる(自分らの言動がどうだったか気づかせる)ためにも、教室に悪者を1人もつくらないためにも有効です

気持ちはわかったので、いよいよ、
その子がやってしまったよくない言動をしかります。
先生は、ぼく(わたし)の気持ちだけはわかってくれはった
と実感できた子は、多少厳しくしかられても、
自分の尊厳(プライド)を否定されたとは感じないので、
ぼく(わたし)のことを大事に思って、しかってくれてはる
と、先生の言葉が胸にストンと落ちるでしょう。
毅然とした態度をとる』ということは
これらを全部ひっくるめて言うのだ(子どもの気持ちをまるごと受けとめることだ)と、
理解していない先生が、学校・園に、もし1人でもいたら、
「うーん、困ったねぇ」
です。

5月号 ステップ4

立ち直りへの支援が自立をうながす

校・園でも家庭でも、知識にしろ技術(スキル)にしろ、子どもが獲得した量や正確さ、レベルの高さが最も評価されがちで、「ミスの少ない人間」を育てることに力が入る傾向にあります。
過程(プロセス)が大切だと言うものの、結果・成果が全てというのが今の社会です。
せめて校・園では、「失敗から立ち直ることの支援」に重点を置きたいですね。

「失敗は成功のもと」の体験を共有させること

小学校低学年の国語の音読です。
挙手したA君、硬くなり読めません。
周りの子は
「早く」
とせかします。
先生は
手を挙げたの、えらいね。一人じゃ緊張するもんなぁ
とA君に微笑みながら
なあ、みんな
と周囲にも同意を求めました。
周りの子も
「わたしも緊張するわぁ」
「ぼくもや」
と相づちを打ちました。
温かい雰囲気になりました。
これでほっと安心できたA君は、次の先生の問いに挙手して指名され、今度は大きな声で答えました。
まだ、新卒3年目の先生でした(びっくり)。
以上、立ち直りへの支援が自立をうながす実践の紹介でした。
この先生は、A君が挙手した意欲を
えらいね
と認め、読めなかったことは
緊張するもんなぁ
と支えながら、
なあ、みんな
と周囲にも共有させて、再度A君を指名して自立をうながしたのです。

みんなの前でうまくしゃべれない子のために

みんなの前で話すのが苦手な子は、
「うまく言えなかったら・・・」
「笑われたら・・・」
と思っています。
過去にけなされたり、否定された経験があるのでしょう。
4~6月は、そのこわばりをほぐしてあげる時期です。
間違わない子は一人もいない、間違うことは賢くなるために大切、間違うことは勉強のよい材料等々、担任から日々具体的に発信します。
ボソッと単語で発言したり、モゴモゴ言っちゃう子だって、気持ち(思い)はいっぱいあるはずです。
だから、それをみんなに予想させて、その子の代弁をしてもらうのです。
「○○君が言いたいことの続きがうかんだ人、いるかなぁ?」
「○○さんが言いたいのは、たぶん、こういうことやと言える人、いるかなぁ?」
というふうに、ボソボソ発言・モゴモゴ発言は、つまずきとして流す(切る)のではなく、
みんなの発言をつないでいく貴重な出発点として評価してあげるとよいのではないでしょうか。
こういう担任の姿が毎日毎時間見られるクラスでは、安心して発言しやすい空気が教室全体に生まれてきます。
さらに、
先に言われてしもうた
というつぶやきが減り、みんながお互いの発言を聞き合おうとするムードが教室中に広がってくるから、担任の『ひと言』って大きいですね。

就学援助(準要保護)と生活保護(要保護)について

就学援助(準要保護)

教育基本法第3条では、教育の機会均等のために、国及び地方公共団体が、経済的に就学困難である者に就学の方法を講じることを定めていると言えます。そして、学校教育法第25条では、経済的に就学困難である者に、市町村が必要な援助をしなければならないとしています。「就学困難な児童及び生徒に係る就学援助についての国の援助に関する法律」で、国も市町村に経費を補助します。

このような仕組みで、小中学生への就学奨励の方策が実施されています。まずは、就学援助の対象(準要保護)の認定が必要です。そして、学用品費、通学費、修学旅行費、学校給食費、医療費、日本体育・学校健康センター共済掛金などが援助されます。

市町村教委が事務を行います。学校長が、保護者や民生委員・児童委員と相談して申請します。ですから、クラスに就学援助の対象かなと思われる児童生徒がいたら、校長先生・教頭先生に相談してみましょう。それから、必ず管理職の指示で保護者に連絡をとります。

生活保護(要保護)

生活保護は、「生活保護法」によって、福祉事務所が事務を行います。申請は保護者自身が民生委員・児童委員にも相談しながら申請をします。

生活保護には、教育扶助、生活扶助、医療扶助、住宅扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助があり、ケースによって単給または併給されます。この要保護も、就学援助と同じ扶助を受けられます。学校は、その重要なアンテナの役割も担うのです。ですから、民生委員・児童委員さんと教職員との懇談会が年1回開かれます。大事な懇談会です。

以上、就学援助(準要保護)と生活保護(要保護)についての、概略でした。管理職の先生方のほうが詳しいと思います。

サルビアを9月の運動会まで咲かせ続ける手順

サルビアの種まきは、遅くても5月連休明けすぐに蒔くのがいいでしょう。連休前に蒔いてもいいのですが、連休中の管理が困ります。ピート板を使うなら、水に2回つけます。ピート板の全体に、水分をまんべんなく行き渡らせるためです。そして、トレイの底にたまった水は、上手に捨てましょう。

アバウトな性格な人は、種をパラパラとまんべんなく蒔きます。種が重ならないようには、気をつけますが、発芽後に間引くことになります。それが、もったいないし、根がからまると面倒なので、私は試したことがありません。

几帳面で根気強い人は、鉛筆などの先に1粒ずつ種をくっつけて蒔くと、後で、根がからみませんが、なかなかたいへんな作業です。私は、このまき方をしてます。

そして、手のひら(または指先)で、種を蒔いた所全体を軽くペタペタと押さえてやります。土をかぶせる代わりだといったところでしょうか。ただ、手や指に種がくっつくので、気をつけましょう。

種まきを終えたピート板は、室内に置いて、新聞紙などをかぶせてもいいでしょう。保温と保湿のためです。ピート板の水が乾かないように、霧吹きをする必要もあります。やかんなら、ピート板の横から水を足してやるつもりで、種が流れないように、そーっと水を流します。発芽までは直射日光を避け、水分管理します。

サルビアは、気候にもよりますが、順調(20℃前後)なら10日ほどで発芽します。早ければ1週間で発芽することも珍しくはありません。発芽して双葉が出たら、屋外の雨のかからない所で、日光にあててやります。丈夫な苗に育てたいからです。ただし、かご等で、ガードしてやる必要があります。ネコやカラスがいたずらするからです。また、屋外では、ナメクジも忍び寄って来ますので、断固として排除しましょう。

サルビアは、おおよそ2週間ほどで本葉が出ます。本葉が4枚ほどになったらポットへ移植します。気をぬかずに、水やりもします。種まきから2ヶ月後、6月下旬~7月上旬頃に鉢植えをします。

鉢の底に土を1cmほど入れ、油カスをひとつかみ振りかけてから、その上に土を鉢の九分目まで入れるといいでしょう。そして、穴をほって、苗をポットの土ごと植えます。その後、サルビアの根が張った時に、根の先が鉢の底の油カスに届くことが、花を大きく咲かせる裏技になります。

さらに、本葉が8枚ほどになったら、一番上の芽(頂芽)を摘みます。脇芽を育てて、3本立てのサルビアの花を咲かせるためです。この摘心の具体的なやり方は、つぼみの1段下の葉の下で茎を切ります。頂芽を摘まないと、1本だけのヒョロヒョロとした貧弱な花になります。頂芽を摘んでやると、脇芽が3本ほど伸びて、全体がボリュームのある花になります。

水やりは朝夕(毎日)欠かせません。夏休みは当番の先生にお願いしました。鉢を置く場所は午後に日陰になる所が、ベストです。油カスは2週間に1回ぐらいを基本にしました。

花びらが落ち始めた枝を折るのは、2回目の花を咲かせるためです。時期は気候にもよりますが、お盆前後になるでしょうか。1回目に咲く花より、2回目、3回目となるにつれて、花自体が小ぶりになっていきますが、花(枝)の数は増えます。

その後、9月になってから、再び花びらが落ち始めた枝を折ると、運動会の頃まで、小さいけれど見応えのある3回目の花を咲かせ続けることができます。こうして、秋の運動会まで真っ赤なサルビアの花を咲かせ続けることになります。

そうやって学年200鉢弱ほどのサルビア1人1鉢を、子どもたちや先生方に協力してもらいました。ブロックと板だけのひな壇ですから、台風が来たら、もちろん避難させます。人海戦術です。ちなみに、せっかくですので、4回目も咲かせました。

以上、夏場の上学年の「1人1鉢」の定番:9月の運動会に満開のサルビアを育てる手順について、でした。何を育てる時も同じですが、毎日、サルビアの様子を観てあげると、サルビアの状態が手に取るようにわかってくるから不思議です。

5月でなくても、教育は気づいた時がスタートです。さあ、よーい、ドン!

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