1 はじめに
武庫川女子大学(発達臨床心理学研究所)の小國先生が 開発された【イメージ・プログラム:指導案&台本】を小学校1年生で使わせてもらいました。ストレスに対する、子どものためのイメージ・プログラム・プランとして、数少ない指導案・台本だと言えます。
小國先生、ありがとうございました。
当時は、ストレス・マネジメント・プログラムやソーシャル・スキル・トレーニングの子ども専用の指導案・台本としては、たいへん貴重な「さきがけ」だったのではないでしょうか。それで、当時の朝日新聞にも取り上げられたのでしょう。見ず知らずの私の突然の依頼に応じてくださり、ありがたかったです。ちなみに小國先生は、兵庫教育大学で富永先生に師事されました。
富永先生と言えば、阪神淡路大震災の子どもたちの心のケアに尽力しておられました。富永先生には私の勤務校の校内研修に来ていただき、さらに当時、八日市市の保育士・教職員の全体研修会にも講演に来ていただき、ストレス・マネジメント・プログラムのご指導、ありがとうございました。そして、【イメージ・プログラム:指導案&台本】を小学校1年生の子どもたちのために使わせてくださった小國先生には、改めて感謝申し上げます。
イメージ・プログラム:指導案&台本
ねらい:さなざまなストレスに対し、自己コントロールできるかまえを身につける。
内 容:イメージの中でからだを緊張・弛緩することにより、ほっとする感覚を体験する。
導 入:歩く、走る活動をしてから、ゾウの表現を入れる。
ゾウは子ども・お母さん・お父さんゾウそれぞれを入れて、イメージをここでふくらませるようにする。
最後におやすみの音楽を弾き、床にねてもらう。
そのままイメージプログラムに入る。
2 イメージプログラム(台本)
静かな声で
今、みんなはとってもいい気持ちで横になっています。
目を閉じてもいいですよ。
ゆったりと落ち着いた気持ちでいます。
すると、頭の中にさっきの絵本で見たような
ジャングルの大草原がうかんできますよ。
ジャングルは木がいっぱい茂って、
周りは緑の草がたくさんはえています。
とってもいい気持ちです。
ちょっと深呼吸してみましょう。
ゆっくり息を吸って、はいて、
もう一度、そうそう、上手ですねぇ。
とってもいい気持ちですよ。いい気持ちで寝ていると、
向こうの方にゾウさんが見えてきました。
のっし、のっしと歩いています。
小さな子ゾウです。
どうやらこちらの方に歩いて来ているみたいです。
のっし、のっしと
子ゾウがこちらに向かって歩いて来ています。
あらまあ、こちらに近づいてきましたよ。
だんだん近づいてきます。
のっし、のっし、どんどん近づいてきます。
あぁどうしよう、このままではふまれてしまいそうです。
もう逃げる時間はありません。
ふまれても大丈夫なように、
体をぎゅーっと、かたくしましょう。
石みたいに堅く、堅くなりましょう。
体が固くなったら、ふまれても大丈夫ですよ。
はい、ぎゅーっ、体をぎゅっとしていると、
子ゾウはまんなの体の横を通り過ぎていっちゃいましたよ。
もう大丈夫。ふわーっと体をゆるめましょう。
はい、ふわーっ。あぁよかった。ホッとしたねぇ。
今、体はどんな感じかな?あれあれ、安心していたのに、また子ゾウが近づいて来たよ。
それもさっきより駆け足でやって来たよ。
どしん、どしん、どんどん近づいて来たよ。
あぁ、もうそこまで来ている。ふまれそう。
体をさっきより固くしてみよう。
ぎゅーっ。
子ゾウは運よく、みんなの体をまたいで行ってしまいました。
あぁよかった。ホッとしたねぇ。
今、体はどんな感じかな?子ゾウが通り過ぎたら、
今度はお母さんゾウがやって来ましたよ。
子ゾウより少し大きなお母さんゾウです。
どしん、どしん、とこちらに近づいて来ますよ。
どしんどしん、だんだん近づいて来ます。
どんどん近づいて来ます。
あぁどうしよう、このままでは、ふまれてしまいそうです。
もう逃げる時間はありません。
ふまれても大丈夫なように、体をぎゅーっと堅くしましょう。
大きな岩みたいに堅く堅くなりましょう。
体が堅くなったらふまれても大丈夫ですよ。
はい、ぎゅーっ。
体をぎゅっとしていると、お母さんゾウは、
みんなの体の横をすり抜けて、行っちゃいましたよ。
もう大丈夫。体をゆるめて、はい、ふわーっ。
あぁよかった。ホッとしたね。今、体はどんな感じかな?あれあれ、安心していたのに、またお母さんゾウが近づいて来たよ。
それもさっきより速い駆け足でやって来たよ。
どしんどしん、どんどん近づいて来たよ。
あぁ、もうそこまで来ている。ふまれそう。
ふまれても大丈夫なように、
体をぎゅーっとさっきより堅くしましょう。ぎゅーっ。
あぁお母さんゾウは運良く、
みんなをまたいで行ってしまいました。
ふわー。あぁよかった。ほっとしたね。
今、体はどんな感じかな?お母さんゾウが通りすぎたら、
今度は大きな大きなお父さんゾウがやって来ましたよ。
お母さんゾウより、ずっとずーっと大きなお父さんゾウです。
どしん、どしんとこちらに近づいて来ますよ。
どしんどしん、だんだん近づいてきます。
どしんどしんどしんどしん駆け足で近づいて来ます。
どっしんどっしん、どんどん近づいて来ます。
あぁ、もうそこまで来ている。ふまれそう。
ふまれても大丈夫なように、体をぎゅーっと堅くしましょう。
さっきよりもずっと、うーんとうーんと堅くなりましょう。
はい、ぎゅーっ。体をぎゅっとしていると、
お父さんゾウはみんなの横で止まりました。
あれ?みんなの顔を見ているみたいですよ。
すこーし体をゆるめて、おめめをちょっとあけてみましょう。
お父さんゾウはやさしいおめめで、こちらを見ています。
にっこりと笑ってみましょう。
あら、お父さんゾウもにっこり笑ってくれましたよ。
うわぁ、うれしい。ふわーっと体をゆるめましょう。
はい、ふわーーー。ホッとしたねぇ。とってもいい気持ちです。
ふわーーー。体も心もホッとして、いい気持ちだよ。
ゆっくり目をあけて、体をおこしてください。
終了後
(体を起こしてすわったまま)
「体をかたくした時は、どんな感じだったかな?」
「ふわーっとして、ホッとした時、体はどんな感じだったかな?」
子どもの体の感じを受けとめる。
起き上がった姿勢で
「ぎゅーっと、ふわーっと、おもしろかったね。」
「もう一度やってみよう。」
と、イメージを取り入れずに、
「ぎゅーっ」「ふわーっ」
の言葉がけだけで、体を緊張(かたく)→弛緩(ゆるく)するのを、最後にやってみる。』
以上、小國先生が開発されたイメージプログラムの指導案と台本でした。これを小学校1年生の子どもたちに体験してもらいました。緊張と弛緩というものを、楽しくイメージしながら体験することができました。
そして、毎日の学校生活です。
子どもがイメージしやすい言葉って、どんな言葉?
私たち大人は、よく次のような言い方を、子どもにしてしまいます。
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」
などです。これを言っている大人には、それなりにイメージできています。
ところが、どちらの言い方も、子どもには、なかなかイメージしにくい言葉だと言えます。年令が小さいほど、どうしていいか、わからない言葉なのです。幼い子どもの心にストンと落ちない、あいまいな言葉であるとも言えます。ですから、みなさん、『あいまい言葉』の、
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」
と言うのをやめてみませんか。
「いい子にしなさい」「ダメな子ね」「さっき、言ったでしょ」「何度言えば、わかるの」「いつまで、ふくれてんのよ」
なども同様です。
「給食だから、手を洗ってね・・・おっ、きれいに洗えたね」
「授業だから、すわろうね・・・うん、早くすわれたね。エライ」
「シーッ!おしゃべりやめて、すわろ・・・できたね。うれしいな」
「友だちのお話を、聞いてあげよ・・・こんなに聞いてもらえると、うれしいね」
「友だちの言いたいこと、聞いてあげよ・・・気持ち、わかってきたねぇ」
「先生のお話を聞いてね・・・聞いてくれてありがとう」
と、その場面に応じて、子どもにしてほしいことを、できる限り具体的な言い方で、イメージしやすいように伝えてあげましょう。もちろん、具体的なメッセージを伝えて、ちょっとでも受けとめてくれたら、具体的にほめることも、お忘れなく!「伝えて、少しでもやってくれたら、ほめる」、これで「子どもの意欲を高めるワンセット」だと思いましょう。
同様に、
「わかった人?」「書けた人?」「発表して」「見えてる?」
よりも、
「わかりにくい所があったら、言って」
「まだ、書けてない人は、教えてね」
「先生にも、みんなの考えを聴かせてほしいな」
「見えていない人は、いないかな?」
という、やわらかな言葉がけを、増やしていけるといいですね。
ほめる、で思い出したのですが、子どもによく、
「ダメ」「やめて」「はやく(おそい)」
と言ってしまう、否定的な指示語も、緊急を要する時以外は、
「こういう時は、△△すると、うまくいくよ」「そういう時は、先に△△してみようね」
というふうに、ダメの中身(逆に言えば、してほしい中身)を、具体的に伝えると、子どもにスッと入ることがあります。なんでもかんでもダメばかり言うよりは、教師がとっさに気転をきかせて、コツを語りかけることによって、子どもも前向きに受けとめられる場合も多々あると思って、接するといいのではないのでしょうか。
もちろん、人の心や体を傷つけた時は、本気でしかりますが、その言動が誰をどれほど傷つけるか、ということを具体的に伝えます。ただし、次の言葉をつけ加えながら、です。本人には、
「先生はあなたが大事だから言うよ。自分を大切にしてほしいから言うよ。」
周囲に、クラスメイトがいるなら、
「◎◎君だけに言っているんじゃないよ。あなたたちみんなに言っているんだよ」
「◎◎くん1人の問題じゃないよ。クラス全員が考えなあかん問題だよ」
と。ながめていた級友にも、「自分には関係ないや(傍観者)」という空気をつくらないためです。
子どもにイメージしやすい教師の言葉は、教室中に、共感的な空気をはぐくみます。

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