1 はじめに
半年前、「1年後に、今の子どもを取り巻くメディア、ゲーム、オシャレなどの話をしてほしい」という依頼を受けました。そんなわけで、今まで、それほど詳しくは知らなかった分野を調べることになりました。「足で稼ぐ耳学問」です。
2 子ども向けテレビ番組の影響は?
NHK教育テレビ(Eテレ)が「天才てれびくん」を放映し始めたのが1993年ですから、シリーズはもう20年を越えました。同じ年、フジテレビ系列では「ポンキッキーズ」という子ども向け番組が始まりました(今は終了しているのかな)。1998年になると、テレビ東京系列では「おはスタ」が始まりました。
いずれも、番組の主役は、「天才てれびくん」シリーズなら「てれび戦士」と呼ばれ、小中学生アイドルであると言えます。以来、日本中の子どもたちはテレビで、毎日、朝夕に、メイクして着飾った同世代アイドルを、憧れの目で見ていることになります。
3 小中学生向けファッション誌の影響は?
かつて、ピチレモン(学研)は総合誌として1986年に創刊されましたが、1995年から小中学生向けファッション誌に転換します。そして、ニコラ(新潮社)も1997年に小中学生向けファッション誌として創刊され、2006年に小学生向けファッション誌ニコ☆プチ(新潮社)創刊に伴い、中学生向けに転換します。
ピチレモン(学研)、ニコラ(新潮社)、ハナチュー(主婦の友社:2003~2011年5月休刊)、ラブベリー(徳間書店:2001~2012年3月休刊)は、2000年代に発行部数10~20万部で競い、ローティーン向けファッション4大誌と呼ばれていました。
今、小学生向けファッション誌「ニコ☆プチ」新潮社は隔月誌、中学生向けファッション誌「ニコラ」新潮社は月刊誌、小中学生向けファッション誌「ピチレモン」学研は月刊誌、いずれも500円前後です。雑誌には、オーディションの応募用紙が付いているそうです。書店以外では、食品スーパーの書籍棚にも、並んでいるのを発見しました。
学生たちに教えてもらいました。
読者モデルのオーディションで「ニコラ」なら専属モデル「ニコ㋲」、「ニコ☆プチ」なら専属モデル「プチ㋲」になるのがトップなのだそうです。「ピチレモン」なら「ピチモ」です。
「ニコ☆プチ」専属モデル【プチ㋲】出身にはNHK「天才テレビくん」シリーズに出演している小中学生アイドルも1人ではありません。「ニコラ」専属モデル【ニコ㋲】出身には、能年 玲奈さん、新垣結衣さん、蒼井優さんもいます。また、「ピチレ」専属モデル【ピチモ】出身には、大沢あかねさん、加藤あいさん、長澤まさみさん、宮崎あおいさんもいます。
このように「ニコ☆プチ」ならば、読者モデル(自費)→スーパー読者モデル(自費)→仮のプチ㋲→レギュラー【プチ㋲】(専属モデル=プロ契約)→(さらに【ニコ㋲】を経由するのでしょうか)→ファッションモデル(プロモデル)→女優(芸能事務所所属)の階段を登れるのは、野球やサッカーのトップ・プロ選手と同じようにごく一握りの、わずかな人だけなんだと、早い段階で気づいてほしいものです。
途中で挫折した時、地位をキープできなくなった時の心理的ダメージが、なんか気になります。いつの間にか、気づかないままに、販売戦略に乗せられているかも知れない、その子たちのお母さん方は、そこ(心のケア)まで考えておられるのでしょうか。心配です。
私たちが予想している以上に、「ステージママ」予備軍も少なくないと思ったほうがよさそうです。実際、県内にある保育園で保護者研修会を終えて、園長先生と話していた時です。その話題になり、
「じつは、うちの園でも週末は、子役俳優のレッスンに大阪まで通っている親子がいます」
と聞かされ、びっくりしました。電車で乗り継ぐと、片道2時間はかかるでしょう。
もし、かんじんの子どもの気持ち(習い事としてやりたいのか、やりたくないのか、続けたいのか、やめたいのか)を聞いてやらずにすっ飛ばして、有頂天の親ばかりが躍起になっているとしたら、子育ての枠から完璧にはみ出している、と言わざるを得ません。キッズコスメに関する意識も、親の年代別ではっきりと差が出ている調査報告も見ましたが、今は、手元にありません。
4 お化粧の低年齢化とキッズコスメの存在
ままごとセットのコマーシャルにも、お化粧セットが登場するようになって何年になるでしょうか。
朝にテレビ東京が「おはスタ」を、夕方にはNHK教育が「天才テレビくん」を放映しています。子どもたちは、毎日、朝夕、メークした同世代を、憧れの目で見ているのです。どちらの番組も、主役は小中学生アイドルと言えるでしょう。
そして、女の子向け雑誌も、化粧品会社も、年代別の子ども用お化粧を、ままごと用から小中高生用まで幅広く、とりそろえる販売戦略の中で、子どもたちがターゲットとしてねらわれていることを忘れてはなりません。
子どもの肌には、大人にはない「しなやかさとハリ」があるはずです。それが「若さの特権」なのです。本来、子ども時代は、お化粧という異物とは無縁であってほしいと願います。もちろん10代というのは、思春期特有のニキビの悩みがあるのもわかります。ニキビのケアは、「よし」としましょう。
でも、
「肌の老化は20代になってから始まるのだということ。どんなお化粧も、子どもの肌のしなやかさとハリには、決して勝てないということ。お金もうけのための雑誌や化粧品会社に、親子がおどらされないこと。ヒフのやわな子どもの頃、化粧が習慣になり、敏感肌になった大人も現実にいること」
これらを、先生方から子どもたちや保護者のみなさんに伝えてあげてほしいものです。中学校・高校だけでなく、小学校でも、です。
デパートにあるファンシーショップの店員さんに、人気の文房具を教えてもらいました。
「ネイルと消しゴム」(サンスター文具210円:ケースの側面に爪みがき用ヤスリ①荒磨き面②ツヤ出し面の2面がはってある消しゴム))は、小中学生に人気で、通常のキャラクター商品の約3倍の売り上げがあるそうです。授業中に爪をみがいていても、知らぬは親と先生だけ。今は売っていないようですが、「ロールアップペン」(文具サカモト609円)は、顔をマッサージできるローラーがついていて、10万本を売り上げたそうです。どちらも授業に集中するさまたげになります。
このように子どもをターゲットにした、各メーカーのあの手この手の策略には、子どもたちの健康な肌を守るために目を光らせたいものです。と思っていたら、顔のマッサージ用ローラー付き「ローラー消しゴム」(メゾピアノ263円)も販売されていました。お化粧につながる文房具を売るファンシーショップへ、子どもが頻繁に出入りするようになったら要注意です。
キッズコスメは、おもちゃ会社のブランド
いずれも、化粧品会社ではありませんでした。
「ハローキティシリーズ(サンリオ)」
「ピンキッシュ:小学生低学年(タカラ)」
「スイートバンビーニ:小学生高学年(タカラ)」
「トータリーミー:tm(トイザらス)」
「ジュエルドロップ(バンダイ)」
キッズコスメ(ネイル、リップ、アイシャドー)の成分表示例
大手おもちゃ量販店のキッズコスメ・コーナーで、商品裏書きの成分表示をやむを得ずチェックしました。(さすがに人の目が気になりました)
法定色素(タール色素・合成着色料)と、防腐剤がちょっと気になり、商品ケースの裏書きを見ました。他の成分もいろいろありましたが意味がわからないので省略して、成分表示にのっていた法定色素と防腐剤だけ書き出します。
ネイル:法定色素(青色1号、黄色5号、赤色104号)
リップ:法定色素(青色1号、黄色5号、赤色104・201・202号)
:防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール)
アイシャドー:法定色素(青色1号、黄色4号、赤色104・201号)
ドラッグストアには、子ども向けリップスティックがありました。
中には、「法定色素」(何色何号の合成着色料を使っているか不明)とだけ表示されている商品(スマイルプリキュア:リップスティック)もありました。子ども用リップスティックは、たいてい「無着色・防腐剤フリー」なので、「え~っ?」と思いました。
フェノキシエタノールとパラベン、どちらがお肌に優しいのかわかりませんが、どちらも使わない「防腐剤フリー」、「無着色or無人工着色料」の大人(敏感肌)用化粧品があるのに、キッズコスメには、防腐剤(メチルパラベン~プロピルパラベン、フェノキシエタノール)や法定色素(タール色素・合成着色料)が使われている・・本当に大丈夫なのでしょうか?
子どもの皮膚はヤワで未完成、その角質層は大人の半分以下です。お化粧に耐えうる肌は20才以降と言われています。お化粧デビュー年令が早いほど、肌の老化が早いとも聞きます。キッズコスメの成分、たとえば法定色素(黄色~号、青色~号、赤色~号)と呼ばれる合成着色料、防腐剤、合成界面活性剤、香料などが、くちびる、目の周囲、ほっぺたなどの柔らかな皮膚から体内に吸収されるか、されないか、また、お肌に影響(アレルギー性皮膚炎等)が出るのか、出ないのか、影響がすぐ出るのか、数年後に出るのか、誰にもわかりません。だからこそ、子どもの心も体も守ってやれるのは、親しかいません。
おもちゃ売り場でキッズコスメ・セットを品定めしている親世代・祖父母世代の人たちの姿に違和感を感じた私は、子どもに買い与える物として、キッズコスメがふさわしいとは、どうしても思えませんでした。
5 100円ショップのコスメ・・最も心配な存在!?
100円ショップにも、メイク用商品がズラリとひととおり、そろっているのを確かめてきました。
どうしてリップグロスが100円なのか、裏書きを見てみました。まず、日本製はありません。なるほど、安いわけです。成分表示を見ると、防腐剤はパラベン類よりも、なぜか「フェノキシエタノール」だけのリップグロスが多い中、効菌力の強い「ブチルパラベン」(パラベン類の中で肌への影響が最も気になるブチル)と表示してある商品もありました。どちらも単価が安く済むのでしょうか。
中には、ただ「パラベン」とだけ表示してある商品もありました。これも、コストダウンのための省略でしょうか。これでは、ブチル>プロピル>エチル>メチルのどれかわかりません。ケースはカラフル、値段は100円、なんだか小中学生が安易に飛びつきそうだと思いませんか。なんたって、ワンコインで買えますし、親に相談するのは低学年だけのような気もします。値段の高いキッズコスメ以上に、100円コスメは肌トラブルの起こる確率が高そうで、すごく心配です。
わが子がオシャレをしたがった時(キッズコスメ・100円コスメ・ハイヒールなど)に、親がどう応えていくのか、「お母さん方へのイエローカード」だと受けとめたほうがいいでしょう。お化粧の低年齢化の影響が、大人になってから、出るのか、出ないのか、どちらでしょう。
ハイヒールの低年齢化
ファッションでも、10代でハイヒールばかり履いていた影響が、大人になってから、お子さんの足や姿勢に出てから後悔しても遅いのです。姿勢を大事にするプロのモデルさんは、ハイヒールをはくのは仕事の時だけで、普段の日常生活ではハイヒールをはかない}と、テレビのインタビューで答えておられるのを見ました。実際、アシックスなど国内の大手シューズメーカーは、子ども用ハイヒールを生産していません(責任が持てないから)。ローラーシューズと同様、輸入品なのでしょうか。将来、足や姿勢に影響が出ても、誰も責任を取ってくれないということです。
「みんな」って、何人かな?
ついでに、子どもの言う「みんな、している」「みんな、持っている」の「みんな」とは、クラス全員というより、仲のよい友だち2,3人の場合がほとんどではないでしょうか。子どもにそう言われたら、親も即「みんなって、誰と誰なの?」と切り返しましょう。

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