算数のおいしい料理を作るための調理法(伊藤邦人先生)

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目次

1 はじめに 

  • 授業は、「マニュアル授業」と「クリエイティブ授業」の2つに分別されます。

マニュアル授業 …教師が誘導し、児童がそれに沿って答えを導き出す授業のことです。デメリットとして児童は教師からの指示がなければ行動できない、いわゆる“指示待ち人間”に育ってしまうことが挙げられます。
* クリエイティブ授業 …児童が表現したいことを表現できるような授業のことです。メリットとして児童が自ら考えるようになることが挙げられます。“自立型人間”の育成がねらいです。

この記事を読まれた方が伊藤先生の実践を応用され、皆様の授業がクリエイティブ授業になれば幸いです。

2 調理法①「間口を広げる」

教師が発問をする際に、できるだけ児童が多様な答え方ができるようにしてあげる方法です。

例えば、「円の真ん中の点を何といいますか。」と聞くと、児童は、「中心」という答え方しか出来ず、面白くありません。そこで、間口を広げ「円に関して、いろいろな名前がついていたような…。」と聞くと、児童は「円の中心」という答え以外にも
「円の中心を通る直線のことを直径といいます。」
「その半分の長さのことを半径といいます。」
というように、多様な答え方ができ、授業の雰囲気が明るくなります。

今回伊藤先生は「円」を例に取り上げられましたが、他の単元、他の教科にも十分応用できるのではないでしょうか。

3 調理法②「逆思考」

普通なら思考過程から答えを得るのに対して、逆思考は答えからどんな思考過程があるのかを考える方法です。算数においては、思考過程から答えに至るまで考え方が狭まっていきます。でも逆に答えから思考過程を考えることで、考え方が広がり、物事を多面的に考えることができるようになります。

教師は児童がつまずきやすいポイントをよく児童に提示しがちです。しかしそのやり方だとほかの児童は受け身で聞き役になるしかありません。逆思考を授業に取り入れることで、児童は能動的に考えるようになります。

例えば、「52−34を実際に児童に計算してもらいます。すると児童は、18以外にも、22などの答えを導くと思います。その時、「22は間違いだよね」と指摘するだけだとマニュアル授業になってしまいます。そこで、「どうやったら22がでると思う?」などと発問することにより正解した児童も考える機会を得ることができます。子どもたちは間違いを恐れなくなり、またミスが減ります。これがクリエイティブ授業です。

4 調理法③「比較する」

教師が答えを期待して発問するのではなく、児童が自ら考えるように促す方法です。

具体例

「23.8mのロープを、4.9mずつに切ってなわとびを作ります。何本できて、何本あまりますか。」と発問した上で、正しい答えのみを追求するのはマニュアル授業です。

そこで、同じ発問をした上で、
「次の2つの答えに分かれたけど、どちらの方が正しいのかな?」と尋ねます。
1. 4本あまり4.2m
2. 4本あまり42m


ここから討論が始まります。
これも事前に答えを用意しておくのではなく、授業の時に出てきた答えを取り上げます。ですので、授業によっては第三の答えが出てくる可能性もあります。このように発問することで、児童は自分の意見をどのようにして相手に伝えようとするかを考えることができます。

5 講師紹介

伊藤邦人先生

立命館小学校教諭。現在は、主に5,6年生の算数を担当されています。
今年の8月にはクリエイティブ授業の方法を集めた「マニュアル授業から脱却する!算数のクリエイティブ授業7の仕掛け・30の演出」を出版されます。

6 編集後記

伊藤先生のお話を聞き、伊藤先生のクラスだったら勉強が楽しそうだなと思いました。全国の小学校にクリエイティブ授業が普及することを願っています。最後になりましたが、セミナーを通して多大なご協力を頂いた伊藤先生に御礼申し上げます。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 大東孝司)

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