今、求められる社会科の学力とその指導 ―2学期、社会科好きの子を増やしていこう―(はなまるサポート)


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1 概要

この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧の実践を転載しています。

実践の続き(無料)をご覧になりたい方は最下部のURLからお願いします。
また、記事最下部から実践がPDFでダウンロードできます。

2 実践内容

(1)活用力を発揮して、考える力、表現する力を鍛えよう

最近「活用力」という言葉をよく聞きます。一体何を活用してどんな力を伸ばしたいのでしょうか。簡単にいえば、「覚えた知識や理解したこと、獲得した技能を活用して学習活動を展開してください。その結果として、思考力・判断力・表現力が育まれますよ。」ということだと思います。では、なぜ思考力・判断力・表現力が重視されてきたのでしょうか。それは、国際的な学力調査の結果から導かれています。つまり、日本の子どもたちの学力の課題を解消するためなのです。社会科に限らず、どの教科でも、「考える力」「表現する力」を伸ばすことが急務と考えられています。「活用力」は求められている学力を身に付けるためのエンジンのようなものだと思います。

 
図1は、知識の量で社会の学力をとらえているイメージです。「社会ができる」と思っている子のほとんどは、「たくさんのことを知っているから」と考えています。しかし、今求められている学力は、図2のイメージのような「知識・理解・技能」を基盤にして「考えられる、表現できる、伝えられる、もっと知りたい、探究したい」などの態度までも含めた学力です。ですから評価規準も「社会事象への関心・意欲・態度」「社会的な思考・判断・表現」「観察・資料活用の技能」「社会的事象についての知識・理解」の4つの観点になっているのです。

(2)「活用」を活発にする学習活動の工夫

①「新聞」を書かせるときの指導はきちんと

社会で定番の学習のまとめ方は、「新聞」でしょうか。どの学校に行っても、高学年の廊下には「米作り新聞」「鎌倉時代新聞」など、画用紙に描かれているものが貼られています。とても細かく書かれていて感心することが多いです。しかし、よく見ると、資料集や参考書のまる写しというものもあります。それから、よく書いていますが、自分の考えがどこにもないものがあります。定番の「新聞」だからこそ、基本的な指導はとても大切です。

この新聞の例示は、昨年の「今月の指導7月(http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2011/7/4/1.php)」で使ったものです。新聞が、子どもが身に付けた知識・理解・技能を活用して、思考力・表現力を発揮する場になるように、もう一度チェックしてみてください。

  • 何を伝えたい新聞か明確になっているか。(見出しと内容の一致)
  • 資料の選び方は適切か。
  • 言葉の理解は確かか。
  • 基になる資料のまる写しになっていないか。(自分の言葉で書けているか。)
  • 自分の考えが分かったことのみになっていないか。
  • 文章は正しく書けているか。
  • 社会科の新聞らしいアイディアはあるか。
  • 全体として見やすく分かりやすい新聞になっているか。

②子どもが考えたくなる、伝えたくなる工夫を
子どもの考えが深まった事例を二つ紹介します。

<事例1> 小道具がやる気を引き出した事例
— 4年 産業の発展につくした渋沢栄一 —

この事例については、10月の「今月の指導」で紹介する予定ですが、子どもの考えが深まった場面を紹介します。

渋沢栄一の業績について、副読本「わたくしたちの東京都」及び文章資料(同学年だったS先生を中心に作ったもの)で授業を進めていきました。文章資料を読み取ること、つまり理解しながら読むことは多くの4年生にとって根気のいる作業です。ですから、読むこと自体に楽しみをもたせる必要があります。どうしたものかと考えていたとき、学校に学芸会で使った小道具のシルクハットがあることに気付きました。そこで、授業の後半に読み取ったことを栄一になったつもりで言ってもらいました。その時の苦労や思いも文章資料をもとに考え、付け加えるように伝えました。初めは、数人だった発表希望者でしたが、同じスタイルで毎時間の授業を進めるうちに、シルクハットをかぶりたい一心で一生けんめい文章を読むようになり、多くの子が競って発表を求めるようになりました。4年生ぐらいは、ちょっとした工夫でやる気が起こることが分かる出来事でした。そして、やる気が起こると、少し難しいことにもチャレンジして、理解も増すことが分かりました。


シルクハットの小道具は、発表を意欲的にさせるきっかけになりました。発表をしたいために、一生けんめい文章を読みとったのです。その結果として内容をよく理解し、当時の世の中について考えたり栄一の努力について共感したりできたのです。分かる喜びや考える楽しさを体験したことは、次のステップに必ずつながると実感した活動でした。

<事例2> 人との出会いがやる気につながった事例
— 5年 自動車をつくる工業 —

自動車の生産過程や関連工場を学んだあと、「自分たちの考えた自動車をパンフレットの形で提案する」。自動車の単元ではよくある活動です。私も5年生を受け持ち、「自動車をつくる工業」の単元では必ず取り入れた活動です。たまたま、A小学校にいたとき、学区に自動車会社の本社がありました。私は、会社に出向き、授業への協力を頼みました。その結果、自動車の開発にかかわる人が子どもたちに話をしてくださいました。おまけに、子どもたちが考えた自動車について、講評もしてくださることになりました。本物の自動車を開発している人が、自分たちの考える自動車について意見を言ってくださる。子どもたちはがぜん張り切りました。

仕上がった作品を見せる人がいるということが子どもたちのやる気に火をつけました。プロの人に認めてもらうために、一生けんめい資料を読んだり話を聞いたりしていました。後日、細かい字でたくさんのコメント入りの作品が返ってきたときは、子どもと一緒に私も大変感動しました。子どもたちはプロが認めてくれたことに、私は本当によく作品を見て適切に指摘してくださったことに感動したのでした。

実践の続き

続きははなまるサポート本サイトでご覧下さい。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/8/4/5.php

実践全体のダウンロードもできます。
添付ファイル

3 実践者紹介

初等教育研究所:加藤 良子

元公立小学校教諭、23年3月末で退職。
38年間に4区5校で勤務する。各区で社会科部に所属。地域教材を開発して、各学校で実践してきた。
趣味は、江戸の歴史や文化に親しむこと。月に数回、江戸東京博物館で展示ガイドボランティアをしている。

4 サービス紹介

同社の「はなまるサポート」は、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説したり、不明点や疑問点などに関する無料相談を受け付けたりしています。
http://www.djn.co.jp/support/

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)

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