「みんなのなやみ」‘ピアスしちゃダメ?’で道徳授業開き2(坂本哲彦先生)

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させていただいたものです。

坂本哲彦先生のホームページはこちらです。→ http://sakamoto.cside.com/

2 授業のねらい

有希さんの‛ピアスしちゃだめ?’の相談について話し合うことを通して、「自分にとっての親からの『卒業』」を考えることの大切さを理解し、自己を見つめ、自己の向上を図ろうとする意欲を高める。

3 学習内容

重松清氏が述べる「我が子」への思い

  • 赤ん坊が生まれることの感動と育てることの難しさ
  • 「子どもの体は、親のものである」という気持ち
  • 「親から卒業する」という事柄があること

自分にとっての「親からの卒業」の具体

  • 「卒業」の具体的な内容・条件・時期
  • 「卒業」を考える続けることそのものの大切さ

4 参考資料

『みんなのなやみ』(重松清 理論社)

この本は、理論社のホームページの『10代の悩み相談室』コーナーにメールで寄せられた質問・相談に対して、重松清氏が回答したもの。取り上げるのは、2章「『からだ』と『恋愛』」の中の「ピアスしちゃダメ?」の相談
     

「おとはなどうしてピアスに反対するんでしょうか?……。いま、母親とケンカ中です。校則で禁止されていても、学校を卒業したらそんな理由は関係なくなると思う。(中略)ただ『ダメだ』といわれるばかりで、どうしてダメなのか、まったくわかりません。(後略)」(P.64 1-7行)の問いについて、重松氏が回答した文章をもとに資料を構成する。

※『みんなのなやみ』(重松清 理論社)を使った別の実践記事も紹介しているので、興味のある方はこちらも参考にしてください→ https://edupedia.jp/entries/show/1416

5 学習課程

相談を読んで話し合う。(15分)

【発問1】「有希さん(16歳、高2)の相談について、重松氏の回答を読む前に、みんなで話し合いましょう。あなたなら、どう答えますか?」

  1. 校則で禁止されているから
  2. 耳に穴を開けることやピアスを買うことにお金がかかるから
  3. 化膿するなど衛生面で問題があるから
  4. オシャレにすることはもう少し後でもいいから、あるいは、オシャレすることはないから
  5. 体を傷つけることになるから
  6. 勉強をすることが大切だから、などの意見が出る。

主張点を明確にするように「問い返し」や「確認」をしながら、板書する。

複数の理由を指示する子どもが多いと思われるので、複数の理由を指示する子どもが多いと思われるので、「特に、どれが一番の理由?」や「一番弱い理由は何?」などと問い返して、一人ひとりの考えを明確にすることができるように配慮する。
※これは、一番を決めさせることがねらいではなく、「一番はどれ」と聞き返すことで、考えが深まったり、明確になったりすることがねらい。

「あなたはどう答えますか?」と問わないで、「このお母さんはどんな気持ちで、ダメだといっているのですか?」と問うと、後の「重松氏」の回答につなぎやすい(重松氏は終始、親の立場、二人の娘をもつ立場から回答している)。しかし、その分だけ、子どもたちは、「自分のこと」として捉えさせにくいという短所がある。

ここで、しっかり個人個人の考えを持たせておかないと、あとの重松氏の回答を受け止めることができない。みんなで合意するような話し合いではなく、論点の整理をする話し合いとする。

重松氏の回答を聞いて、話し合う。(25分)

【発問2】「重松氏の回答を整理してみましょう。」

重松氏の回答をみんなで読む。
国語ではないので、教師が主導して重松氏の考えを要約する。①親が我が子の誕生に対して感じたことやしたこと(生まれたことそのものへの感動と我が子を守り育てることの難しさ) ②我が子の体は、親のものであると自然に感じてしまうこと ③親から「卒業」することの大切さと難しさ

それぞれに具体的な例(例えば、子育ての具体的な事柄)が出ているので、それを通して、納得できるように教師から話をまとめる。

【発問3】「重松氏の回答についてどう思いますか?」

導入で話し合っている「自分たちの回答」と「重松氏の回答」の共通点や相違点を中心に、「納得できる」「納得できない」という二つの観点から子どもたちの意見を発表させ、その理由を発表させる。

①~③のそれぞれについてざっと意見を求めた後、特に「親が我が子の体を自分のものとして感じていること」が「納得できるか」「納得できないか」に絞って意見を交流する。
どちらかにまとめる必要はないが、「親が自分たち子どもの体を親のものであると感じていること」に対して、一定の理解を図ることは大切である。(つまり「納得」はできないけど「わからないでもない」程度の理解)

その上で、その上で、親から「卒業」することが、高校や大学を卒業することとは別の意味での「卒業」であることを理解させる。

自分の回答を書き、話し合う。(20分)

【発問4】「自分にとって、親から『卒業』するとは、具体的には、どんなことがありますか?考えられるだけたくさん、書いてみましょう。そして、それを有希さんの質問の回答、また、自分への回答としましょう。」

  1. 高校を卒業する、大学を卒業するなどの学歴に関する意見
  2. 18歳、あるいは20歳など、年齢に関する意見
  3. 経済的に独立することとする意見
  4. 精神的に独立することとする意見
  5. 自分も家族、子どもをもった時とする意見、などを出させる。

それぞれに、「たとえば?」とか「理由は?」などと問い返すと深まる。また、「○○君の意見と△△さんの意見は、どこが違う?」とか「同じところはどこ?」などと問い返して、考えを広げることが必要。

それらを通して、様々な意見があることを認め合うとともに、いろいろ考え続けることに意味があることを共通理解し、授業をまとめる。

感想を学級通信などに載せて、保護者に配付することで、子ども同士の意見の交流を図る。また、学校図書館に数冊購入してもらい、朝の読書などで全員が読むようにする。加えて、保護者の方々にも読んでいただき、その感想を再度、学級通信などに載せる。

6 編集後記

中学生という時期は思春期や反抗期が重なり、子どもは複雑な心を持つ時期だと思います。ここで取り上げられている「校則」や「親からの卒業」も悩みの原因の1つとなっている子どもも多いのではないでしょうか。今回のような実践を通して、少しずつ子どもたちに自分を見つめなおす機会が増えていくのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森川良太朗)

7 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)

山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。
山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com/

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