日野原重明『いのちのおはなし』で生命の尊さを感じ取る(坂本哲彦先生)

1 【はじめに】

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。
坂本先生のホームページはこちら→ http://sakamoto.cside.com/

2 【資料】

『いのちのおはなし』 文:日野原重明  絵:村上康成
講談社  2007年1月10日

あらすじ

著者が4年生30人に行った「いのちのおはなし」(授業)を著した絵本。

「いのちとはなにか」と問いかけ、聴診器で心音を聴き合ったり、「いのちがあるところ」を予想し合ったりします。

そして、「これから生きていく時間。それがきみたちのいのちなんですよ。」とまとめます。

あとがきで、「今日の宿題として、自分以外のことに時間をつかい、それを作文に書いて私に送ってください。作文は自分の手元に控えをおき、20歳になったときに読み返してほしいと思います。」と投げかけています。

3 【ねらい】

聴診器で心音を聞いたり、いのちがどこにあるかを話し合ったりすることを通して、いのちが自分のもっている時間にあることを実感し、自分のいのち(時間)を大切にしようとする態度を高める

4 【学習内容】

(1)いのちが自分のもっている時間にあることを実感すること

  • 聴診器で聞いた心音についての感想
  • 心臓の働きや動いた回数
  • 自分の時間をつかうことは、いのちを使うこと
  • 「これから生きていく時間」=「自分のいのち」

(2)自分のいのちを大切にしようとする態度

  • 自分のいのち(時間)の使い方、使い道
  • 自分以外のことに時間をつかうことの大切さ

5 【学習過程】

1.互いに心音を聴き合い、感想を発表する。(20分)

はじめに、黒板に「いのち」と書き、問います。

【発問1】「いのちはどこにあると思いますか?」

心臓、頭、心、体のいろいろなところなどの意見が出ます。あまり時間をかけないで、「心臓」を取り上げ、「心臓のを聴いてみよう」と投げかけます。

聴診器の使い方を丁寧に説明し、はじめに先生が手本を見せるなど落ち着いた雰囲気で取り組めるように配慮します。心音は静かにしないと聞こえないことから、聞こえた後どうするのかという指示をきちんとしておけば、思ったほどには騒がしくならない活動です。

活動後、感想を出し合い、「今日は日野原重明さんの『いのちのはなし』という絵本を使って、いのちについて(いのちのあるところについて)考えてみましょう」と課題を提示します。

その他の教科領域で、すでに、心音を聴く活動をしている場合は、わざわざ行う必要はありません。また、心音を聴かなくても授業は可能ですから、聴診器などの準備ができない場合は、いのちのあるところを発表し合った後、すぐに課題提示しても構いません。その場合、45分の授業としてできます。

2.資料前半を読んで話し合う。(15分)

「だれかがぽつんとつぶやきました。『なんだかこわい……。』」までを読み聞かせます。

【発問2】「『なんだかこわい』と言った子どもは、どのような気持ちからこのように言ったのでしょうか。」

導入で心音を聴いているので、共感的に理解できる子どもが多いと思われます。①心臓が動いているから、自分が生きているのだと思うと、怖くなった。②もしも、この音が聞こえなくなったら、死んでしまうと思ったので怖くなった、など自由な感想を取り上げます。同じ意味のことを言っていても、それぞれが自分の言葉で、自分の感じ方で話すことが大切なので、二人組や四人組で話し合う時間をとるのもよいと思われます。

その後、「心臓の働きや動いた回数について説明しているページ」まで読み、教師が補足説明します。

感想をつぶやいている子どもがいたら、指名して全員に広げたり、再びグループで感想を出し合わせたりして、体験的な理解と知的な理解を合わせて、心臓の働きのすごさ、すばらしさを実感させます。

3.「いのちがどこにあるか」について話し合う。(10分)

次ページ「わたしは、こんなふうに考えています」まで読み聞かせます。

発問3:「先生は、いのちがどこにあると考えておられるでしょうか?」
 
導入で自分たちの考えを出しているので、それ以外に多くの意見は出ないと思われます。また、日野原先生の考えは大人でも予想できにくいことから、この発問は、「いのちとは何か」ということへの興味や関心を高める役割にとどめます。1,2分出し合ったら、徐に次のページを開いて、日野原先生の考えを伝えます。

「いのちは、きみたちのもっている時間だと言えますよ。」

そのまま最後まで読み聞かせ、「これから生きていく時間」=「自分のいのち」と板書します。この部分の絵本を繰り返して読み聞かせます。

4.これからの自分の生活を考えながら、授業の感想を書く。(15分)

日野原先生が言われるように「いのちをどう使うか、つまり、自分の時間をどうつかうかについて、これから考えていかなければなりませんね」と促し、

発問4:「みなさんは、自分のいのちである自分の時間をこれからどのように、どんなことに使いたいですか? また、どんなことに使う時間を増やしたいですか? 新しくどんなことを始めてみたいですか? これからの生活を予想しながら、道徳プリントに書きましょう。」
 

勉強や遊び、スポーツや読書など様々な行動、活動が書かれると思います。発表できる雰囲気があれば、順々に出し合わせたり、グループで紹介させたりするのもいいです。

最後に、まとめとして、後書きを読んで聞かせます。
1. 「いのち(時間)」は、だれにも平等にある。
2. 自分以外のことのためにも、自分の時間を使う。
3. 「いのち」やいのちをどうつかおうかと決める「こころ」は見えないが、みえないものこそ大切にすべきである。

これらの3点を押さえて、宿題として、「自分以外のことに時間をつかい、それを今日の日記に書いてくる」ように促します。

6 【実践者プロフィール】

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。 山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com/

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 細木和樹)

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