『ヒキガエルとロバ』で動植物愛護(坂本哲彦先生)

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目次

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。
坂本哲彦先生のホームページはこちら
→ http://sakamoto.cside.com/

2 対象

小学校3年生

3 ねらい

最後の子どもたちの気持ちを話し合うことを通して、小動物の命を蔑ろにする醜さに改めて気付き、小動物の命を大切にしようとする態度を高める

4 学習内容

 ⑴最後の子どもたちの気持ちを考えること

  • 小動物の命を蔑ろにすることの醜さ
  • ロバの行動のすばらしさ

 ⑵学んだことをまとめること

  • 授業の感想

5 資料

『ヒキガエルとロバ』(『明るい心で どうとく3』 東京書籍 平成16年度版 所載)

あらすじ
雨上がりの畑道。アドルフとピエールたちが1匹のヒキガエルに石をぶつけて楽しんでいた。どろんこ道の車の轍へ転がりほっとするヒキガエル。そこに、ロバが荷物を引きながらやってきた。そのまま進むと轍にいるヒキガエルをひいてしまう。おもしろがって見つめる少年たち。1歩1歩近付いてきたロバはふとヒキガエルに気付き、歯を食いしばって荷車の向きを変え、ヒキガエルを助けた。くぼみの中のヒキガエルと遠く去っていくロバを見つめる少年たちであった。

6 学習過程(45分授業)

 ①ゆっくり資料を開き、感想を発表する(10分)

 発問1:「感じたことを発表してください」 
それぞれの意見を受容的に受け止める。本時で取り上げる「最後の場面で少年たちはどんなことを考えていたのか」の意見を広げ、課題として受け止めさせる。

 ②少年たちの最後の気持ちを話し合う(30分)

 発問2:「くぼみの中のヒキガエルと遠く去っていくロバを見つめながら子どもたちはどんなことを考えていただろうか?」

⑴ヒキガエルをいじめていた自分たちが悪かったと反省している意見   
 ⑵ロバの行動のすばらしさに感心している意見   
 ⑶ヒキガエルが助かってよかった(死ななくてよかった)と思っているとする意見 

の3つに分かれる。その後⑴⑵の意見に対して「問い返し」を行う。

  • ⑴の考えをもとに、はじめの「ヒキガエルに小石を投げつけている場面」に戻り、その時の少年たちの気持ちを想像させる。「気持ち悪いというただそれだけの理由で、(つまり、少年たちに対してヒキガエルは何の不利益や被害も与えてないにもかかわらず)石を投げ、楽しんでいる。ヒキガエルが傷を負い、死ぬかもしれないのをうれしがっている」ことを共通理解させる。この少年たちは、犬に対しても、あるいはねこに対しても同じようにするのだろう、それだけ醜い心、命を蔑ろにする、命を軽んじる情けない心を持っていることを強調する。
  • ⑵の考えをもとに、「友達を見るようなやさしい目でじっと」ヒキガエルを見つめるロバの気持ちを想像させる。「ヒニーン」と突然いななき、ぐうんと足を踏ん張って、車輪を向きを変えて通り過ぎたロバの行動からそのすごさ、すばらしさを理解させる。このロバは、犬に対しても、あるいはねこに対しても同じことをするのだろう、それだけ清い心をもっていることを強調する
  • ⑶の意見は、⑴⑵の意見の根拠となる考えなので、⑴⑵の活動で「アドルフの手から、石が足下にしずかに滑り落ちていった」「ピエールたちもなにも言わずに立っている」に触れながら、⑴⑵の意見を強化する。
  • 板書で「少年たち」と「ロバ」を左右対称に書き、少年たちの「命を蔑ろにする醜さ」と「ロバの命を大切にするすばらしさ」を際だたせる

 ③授業の感想を書く(5分)

 発問3:「授業の感想を書きなさい。」

7 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。
山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、
山口県教育 庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページhttp://sakamoto.cside.com/

8 編集後記

ヒキガエルとロバのやりとりを通じて、命の大切さを学ぶ実践です。最近でも意味のない動物虐待や狩猟があると聞きます。そのように動物を虐待をする人は将来的に、人間にも暴力を向ける可能性があります。やさしい人間になるためにも、命の尊さについて学び、他者に対するやさしさを育むことはとても大切だと思います。
 (編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤光紘)

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