感動的な卒業式・2分の1成人式を目指して ~「自立の機会」としてとらえる 

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卒業式と2分の1成人式

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卒業式や2分の1成人式は好きですか?
たいへん大事な行事であるととらえている教員は多いと思います。感動的な式を期待している保護者も少なくないでしょう。特に卒業式は、最近、歳をとって涙もろくなったのか、立派な成長の姿を見せられると「子供って、いいもんだなあ」と思います。
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一方では、「気恥ずかしい感じ」や「やりすぎな感じ」があって、冷静になって見てみると「何だか変だ(変だった)なあ」と思われる部分はあるでしょう。芸人が卒業式で絶叫型の呼びかけをする子供たちのパロディーネタもよく見かけます。
あまり仰々しいことはしたくないという教師もいると思います。私も個人的に「式典一般」をはあまり好きではありません。どちらかというとクールなので、あまり仰々しいと冷めた気分になってしまうことがあります。型にはまった式を何度も練習することにも違和感を覚えることが多いです。
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好きか嫌いかということを別にして、学校行事として卒業式を、2分の1成人式をせざるを得ない立場に立たされる場合があります。やらざるを得ない場合は、折角なのだからなるべく充実した中身を作り出したいと思います。そして、あまり従来のパターンに縛られずにやりたいものだと思います。とは言うものの、あまり伝統として受け継がれてきた「流れ」を変えすぎると、子供達、保護者達に混乱が生じる恐れもあります。大事なところでスベッたような感じになるのも残念です。

さて、どうしたものか・・・
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自立について考えさせる

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学校教育は究極の所、自己の完成、つまり自立を目指しています。教育基本法第一条は「教育の目的」を掲げています。
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第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
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すごい目的ですね。私はこの第一条に書かれている意味を、
子供を育てる上で、社会のために働くことや、家族(家庭は社会の重要な構成単位だから)を築くことができるようになる
という具体的なイメージでとらえるようにしています。その線上で、卒業式や1/2成人式は、自立について考える機会となる取り組みでもあると思っています。私が本当に感動できる卒業式(2分の1成人式)は、「人格の完成」と言えるほど立派なレベルではないにしても、子供がきちんと「自立」に向けて成長をしようとしている姿を見せてくれた時です。それは、保護者の方々にとっても、そうなのではないかと思います。
卒業式や1/2成人式をきっかけに、この「自立」というテーマを考えさせるのもよいのではないかと思います。タイトルやカテゴリは「卒業式」「2分の1成人式」「総合的な学習」としていますが、道徳や学活の時間などに組み込むのも良いかと思います。
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自立について考えさせるにあたって、下のリンクに自立についての話をまとめてみましたので、ぜひご参照ください。
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★自立を促す話として ~ 「人という字」「こどな」「愛すること」~ 卒業式・2分の1成人式等で考えさせる
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合唱曲「ありがとう」

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式の中では歌を歌うことがあると思います。立派な大人として、感謝の気持ちを持つことができるのは大切なことです。お礼を述べるというのも、自立の一つではないかと思います。
さて、あまり押し付けてはいけませんが、「ありがとう」という曲たくさんがあります。ネット検索すると、ここ数年この題名の曲が増えているのが実感できます。その中でも、児童合唱として作られた若松歓さん作詞・作曲の「ありがとう」は、卒業式や1/2成人式でなかなかぐっとくる曲です。
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https://www.youtube.com/watch?v=e5kJsw0drVo
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いい曲ですが、やや地味な曲なので、練習しているうちに飽きてきます。子供が飽きはじめたあたりで、サプライズを入れていきます。曲の中盤ぐらいから、「ありがとう」を誰かに伝えたい子供に、ランダムに「ありがとう」を大きな声で言わせます。少々重なってもかまいません。10人ぐらいを立候補させて選んで、式の前の日だけ練習、ほぼぶっつけ本番で、やってみましょう。さらに、式当日にはサプライズで、教師も曲の後半あたりで「ありがとう」を叫んでみましょう。これには子供たちも、式典に参加している人たちも、驚かされます。これで、この曲のイメージがぐっと変わります。教師はかぶらないように、少し打ち合わせをしておきましょう。
 「ありがとう」と、感謝の気持ちを持てることは、自己中心性から一歩踏み出して、自立の一歩となると思っています。子供たちにもそう話します。「自分がいて、他人がいてはじめて社会はなりたっているんだよ。お世話になったり、協力したり、笑いあったり、喧嘩をしたり、仲直りしたあなたの周りの人たちに、感謝の気持ちをきちんと伝えられることは、大事なことだと思うよ」

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しっかりとした「所作」を身に着けさせる

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実は私は「所作」とか「接遇」とかは大の苦手です。リラックマのような人間です(苦笑)。それでも、大人として、他人に恥じない態度をとることができるのは、「自立の一歩」だと考えます。
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① まずは、立ち方。(リアルな自立)
② 歩き方
③ あいさつの仕方。
④ 顔をあげて相手の目を見る
⑤ 証書をもらった時に「ありがとうございます」
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こうしたことを、しっかりと教えて式に臨ませましょう。
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サプライズ:前担任の話

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卒業式の予行や練習で、校長先生の話やPTAの話をする部分を省略する時があります。学年のスタッフの誰かがあいさつの部分だけの練習をするのがよくあるパターンです。その時に、「態度の悪い」等、お小言を話してしまうこと、ありませんか?
それであれば、現担任の話を織り込むのは、どうでしょうか?卒業式当日には、自分のクラスの担任の話は聞けても、他のクラスの担任の話は聞けません。また、1年生からのスタッフ、前担任の方にお願いして、3分~5分くらい、話を聞かせてもらうのもいいと思います。教師側の負担が増すのが難点ですが、少しだけ学級を自習にしてもらって、話をいただくのは子供たちの胸に響くと思います。もう退職されている前担任にわざわざ来てもらうのも、いいかもしれません。ちょっとしたサプライズになり、しみじみとした気持ちが湧き上がってくる機会となると思います。
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生い立ちに触れる場合には配慮を

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特に2分の1成人式は自分の生い立ちを見つめなおすような内容が盛り込まれている場合があり、あまり幸福ではない幼少期を過ごしてきた子供たちに対しては申し訳ないような気がします。思い出したくない過去を掘り返すようなことは避けたいです。スライドショーで乳児期や幼少期の写真を提示するような企画も見てきましたが、あまり、難しいプライバシーには立ち入らせたくないなあと言うのが私の考えです。中にはその時代の写真がない子供がいる場合もあるのだし。何かに書かせたり、発表させたりする場合は、「思い出したくないつらい過去がある人は、無理して書かなくて(言わなくて)いいよ」と声掛けした方がよいでしょう。また、過去を網羅的に振り返るのではなく、それ以外の選択肢を取れるようにしておくのがいいと思います。「未来」「感謝」「自立(今の自分の振り返り)」等、生い立ちに触れずともよいように構成を考えてあげる配慮は必要だと思います。
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自立度チェック

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何の科学的・学術的根拠もないですが、「自立度」チェックを作ってみました。特に学術的な根拠があるわけではありません。
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「特に根拠はないけれど、自分を振り返り、自分を見つめる機会になるよ」と、やらせてみてください。25問作ったので、1問4点として自己採点させて合計を出させてみてください。得点別にコメントを用意してみるのも面白いです。コメント例を下に書いてみました。内容は、逐次考えててみてください。
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1~20点・・・・・ まだ「はいはい」です。世話が焼けるなあー
20~40点・・・・・ やっと「よちよち歩き」です。転んでけがをしないようにね。
40~60点・・・・・ しっかり立って、歩けるようになってきましたね。もうひと踏ん張り!
60~80点・・・・・ 自力で生活ができる、しっかりした青年です。
80~100点・・・・・ 立派に自立できた大人です。人を支えることができる強さが備わっています。
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