1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
日本語の表現(文法)についてゲーム的な要素を入れながら楽しく学習をおこなった。
助詞
「は」「が」「を」など日本語にはたくさんの助詞がある。私たちは、それを意識しないで使いこなしている。
まず、思いつく助詞を1枚のカードに一つずつ書き入れ、裏返しにして混ぜた。カードを引いて、下の表に当てはめていく。正しい文章になるもの、でたらめな文章になるものといろいろである。でたらめな文章ができた方が、なぜか盛り上がる。
- 広い家と住みたいです。
- 図書館が、本を返しに行きました。
- かばんから、本や出しました。
中には、「本は、読みました」は、おかしいか、おかしくないか?などと、助詞の違いからくる微妙な意味の違いについて検討しているグループも見られた。
- どんな助詞があるかを出させる。
- 助詞(は、が、を、へ)を、カードに記入する。班ごとにカードをひとまとめにする
- プリント(別紙)を配付する。
- 助詞カードを引いて( )に当てはめる。
- 文章として正しいか、班で検討する。
※ヘンテコな文ができて盛り上がる。
多義語について
とる・かける・はるなど、一つの意味でいくつもの意味を持つ言葉がある。こうした言葉を多義語と呼ぶ。
神経衰弱で、多義語を学んだ。カードをバラバラに机の上に広げる。学習班のみんなで、札をめくり絵札を見る。もし、その絵札が同じ多義語だったら札をもらえるルールで、やぶる・きる・たつ・よるなどの多義語を知った。
- 班ごとに用紙(別紙)を配り切り分ける。絵カードをつくる。
- 神経衰弱のように順番にカードを引く。
- イラストを見て、同じ言葉(多義語)ならカードをもらえる。 例) 物を盗る−写真を撮る
- たくさん集めた人の勝ち。
※イラストを見て、班の中で多義語かどうかの検討をすることになる。
あいさつ
生活の中に、あいさつはいろいろなものがある。出会ったとき、別れるとき、いろいろなあいさつを見つけた。また、誰が言うかによってもあいさつのしかたは、変わってくる。
こうした違いを見つけるために、サイコロを使ってゲーム的に取り組んだ。二つのサイコロに、「誰が」「どんな時にあいさつするか」それぞれ6種類を描いてサイコロを振る。ときには「お相撲さん」が「ありがとう」という目が出て「ごっさんです」などというあいさつをしていた。
1. どんな挨拶の言葉があるか出させる。
2. サイコロを2つ用意し、A:だれ B:いつ/何をした を決める。
A 1小学生 2おじさん、おばさん 3おじいさん、おばあさん 4幼稚園 5外国人 6お兄さん、お姉さん
B 1朝に会ったとき 2寝る前 3食べる前(後) 4久しぶりにあった人 5夜に会ったとき 6別れのあいさつ
3. 2つのサイコロを振り、出た目に合わせて動作化する。
3 資料
助詞
たばこ( ) すいます。
学生( ) アルバイトを たのみました。
日本語( ) べんきょうしました。
来年 アメリカ( ) いきます。
へや( ) はいりました。
かばんから 本( ) だしました。
本( ) よみました。
てがみ( ) かきました。
そら( ) くもりました。
うた( ) れんしゅうしました。
しつもん( ) こたえて ください。
4 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
5 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
6 編集後記
ゲーム感覚で楽しく国語の学習ができるのが、この実践の一番のポイントではないでしょうか。一人での学習ではなくグループでの活動が主になるので、子どもたち同士で協力し、学びあうことのできる実践例となっています。
助詞や多義語など、日本語には欠かせない文法事項です。ぜひ、ご活用ください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 大堀彰華)
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