1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
算数少人数授業の運営
単元: 4年「算数のまとめ」(全12時間)
児童70名、教師4名(担任2名+級外2名)
クラス分けは自己申告制としたが、子どもたちは、自分の力を割と正しく捉えていた。
指導計画
一次 習熟度別学習(4グループ) 5時間
二次 課題別学習(4課題) 5時間
三次 テスト(2枚) 2時間
学習内容
一次 [数と計算]領域 … わり算、小数、分数、式と計算
二次 [図形][量と測定][数量関係]領域
学習の進め方
習熟度別学習
- 「数と計算」領域について、習熟度別に4つのグループを編成する。
- [ガンガン][ひとりで][ゆっくり][いっしょに]コースを設定。
→ 習熟の程度を想像させる名前なので、よくなかった。
- 1グループ17~18人程度。
- グループ編成については、自己申告制とする。
- 教科書のまとめの問題、計算ドリルの問題を解く
- 理解が不十分なグループは、基本の問題を繰り返す。
- 理解が進んでいるグループは、問題をどんどん解かせる
- 毎時間、自己評価カードに記録する。記号程度の簡単なもの
課題別学習
- 習熟度別のグループをもとに、4~5人の小グループを編成。全部で16の小グループを編成した。
- [図形][量と測定][数量関係]領域について学習する。4つの課題 (図形の面積など)を準備し、それぞれ教員が1人つく。
- 小グループごと、各部屋に待つ先生(全部で4人)のところへ行く。用意された問題(計算ドリルのプリント)を解く。
- 全員が問題を解けたら、次の部屋へ進む。
- 教師は、自分の部屋にやってきた理解の遅いグループにつき指導する。
- 何を学習してきたか、学習の足取りがわかるカードを用意する。課題が解けたら、教師がチェックする。
- 4つの課題を早く終えてしまったグループには、体験的な算数活動(運動場に1aを描くなど)をさせる。
授業後、児童の評価
児童の感想、および考察
- ふだん答えを黒板に書けないけれど[いっしょに]コースにしたら、見本の答えを黒板にかけて嬉しかった。(活躍の場が増えた)
- 人数が少ないのでわかりやすい。[いっしょに]コース
- 苦手な算数が得意になった気がする。[いっしょに]コース
- プリントをどんどん進めるから面白い。[がんがん]コース
- 課題別学習は、先生と部屋を自分たちで選ぶことができるのが楽しい。
- 部屋に先生たちが待っているので、アドベンチャーゲームみたい。
習熟度別学習は、思った以上に子どもたちに好評だった。
保護者に対して、なぜこのような学習をするのか、説明しておかないと、誤解される場合がある。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
子どもたちのつまずきがちな算数での、習熟度別学習の具体的な実践例です。
少人数にすることで子どもたちが授業に積極的になっていく様子がとても良いなと思いました。ぜひご参考ください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 中原みなみ)
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