1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
縄文時代の学習に入った。縄文時代が原始時代と最も違うのは、土器の使用である。土器を使うことで食文化が大きく進歩した。土器に注目した授業をおこなった。
発問1 ジャワ原人とホモサピエンスを比べたとき、ホモサピエンスが大発見したものはなんでしょう。
前の時間に体験をしているので、すぐに返事が返ってきた。
- 火を使うようになった。
- 道具を作るようになった。
人が火を発見したことが、その後の人間の大進歩を促した。また道具を使うことで、また新たな道具を作り出すというサイクルが生まれたのである。
発問2 教科書や資料集を見て、縄文時代の人々が大発見したものは何だったか見つけましょう。
子どもたちは縄文時代と原始時代を比べる作業に熱中した。次々と違いが出てきた。
- 船
- 土器
- 釣り竿
- くつ
- 家
- ござ
- 魚を干す
- ひげそり
- まき
- 貝
- 階段
- 服
- 犬
- 家のまわりに溝がある
- 入れ物、かご
- 壺がある
- やりを使っている
- 山菜やキノコを食べている
- ゴミ捨て場がある
- 船の桟橋
こんなにもたくさんの違いを見つけることができた。この中でもどれが一番大切な違いであるかの検討が自然に起こった。
発問3 縄文時代の大発見はどれでしょう
- 船(1)
- 土器(11)
- 釣り竿(2)
- 服(2)
- くつ(2)
- 家(12)
- 階段
- 家のまわりの溝(2)
( )内は、子どもが支持した人数である。土器と家が多かった。なぜそれが大発見だったかを尋ねてみると
< 船 > 1人→3人
- 船がないと魚を取りに行けない。魚がないと生きていけない。
- 日本は島国だったので、船がないといろいろなところへ行くことができない。
< 家 > 12人
- 家の工夫とか書いてあって、周りに溝も掘ってあるのでいい感じがする。
- 家がないと住むところがないから困る。
- 家に水が入ってこない工夫がある。
- 家がないと寒くて寝ることができない。家があれば病気にもならない。
- 土器が大切だと言うけれど、家がないと土器を置くところもない。
< 土器 > 11人
- 土器があると食べ物を煮たり焼いたりすることができる。土器以外のものは代わりになるものがあるけれど、土器に代わるものはないから。
- 土器があれば漢方薬のような薬ができる。
- 土器があるといろいろな食べ物を食べることができて、寿命がのびた。
- 土器があると、食べ物を保存することができた。
- 食べ物のバリエーションが増えて、嫌いなものも上手に食べるようになった。
- 土器は低温で焼かれていて、木の実や球根を食べていたのが、季節のものを食べられるようになった。
「発見」という言葉の意味が問題になると、辞書でその意味を調べた子がいた。
「発見の意味は、今までないもの、初めて見つかったものとあります」
そこで、この時代に初めて現れたものとして土器があり、その土器のおかげで調理の種類が増えたことを話した。
3 参考資料
有田和正『調べる力・考える力を鍛えるワーク—社会科の基礎・基本学力をつける』(明治図書出版、2002)
4 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
5 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
6 編集後記
今回の指導案では「発見」と題して、歴史的に縄文時代で価値があったものはなんなのかということを探っていきました。児童にとって土器は身近なものではないでしょうし、食器などは普段の生活からもあまり興味が無いかもしれません。しかし、時代の考察をする中でその時代の人たちがどのように考えていたかを感じ取ることが歴史の考え方です。縄文時代では土器という発明が食料の調理や保存に利用されることがとても重要だったことが認識できるよい授業だと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)
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