1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
2段落に“いったいもんしろちょうは何を手がかりにして花を見つけるのでしょう。花の色でしょうか。形でしょうか。それとも、においでしょうか。”という課題提示文があります。これに対する答えの文を探しました。
発問1 問題の文に対する、一番大切な答の文はどれでしょう
課題提示文を一度読んでから、答えの文を探します。
答えは…〈14段落〉
このような実験からもんしろちょうは、色によって花を見つけること、赤い花は見えないらしいことがわかりました。
であることをすぐに見つけることができました。課題提示文に対する答えの文がわかったところで、いくつの実験をしているか検討しました。
発問2 もんしろちょうが何を手がかりにして花を見つけるが調べるために、いくつの実験をしているでしょうか?
実験を何回やったのかを数えたのですが、数え方によって〈3回〉と〈4回〉という二通りの意見がでてきます。
すぐに一致するものが、
5段落:一斉にもんしろちょうを放す実験
9段落:造花を使った実験
11段落:色紙を使った実験
13段落:念のため、赤い色紙にみつをつけたものを用意しました
です。
子どもたちの迷うのが13段落です。これを実験のひとつとして数えるかどうかで結果が違ってきます。問いはしだいに絞られてきました。
発問3 13段落は実験のひとつだと言えるでしょうか?
〈いえない(実験は3回)〉4人
・“念のため”と書いてあって、一応みつを使ってみたから。
・“念のため”というのは、本当にそうなるかやってみだから。
・やったのは四回目だけれど、色紙のなかで、もしかしたら来るかもし
れないと蜜を塗ったんだから大きな実験ではない。
〈言える(実験は4回)〉31人
・14段落に“このような実験”と書いてあるから13段落も実験にな
ると思う。
・もし同じ実験なら、同じ段落に書いてあるはず。
・同じ実験なら11段落や12段落の中に入っていると思う。
このように両者の考えが出されました。
発問4 “念のため”や“一応”が、この問題のヒントになりそうです。どうやって調べられるでしょうか?
“念のため”“一応”などの言葉は何度も出てきたので、意味を確認します。
【念のため】今一層の注意のため、とういう意味でした。
→大がかりな実験の一部だと思う。でもこれも一つの実験。
【実験】正しいかどうか調べてみること、という意味でした。
→調べてみることだから、色紙の上に蜜をぬったのも実験。
【一応】一通り、とにかく、という意味でした。
→なので、蜜の実験も入れる。
しだいに〈言える(実験は4回)〉が優勢になっていったのですが、〈いえない〉も、次のように反論しました。
“念入り”というのは注意していて、もしかしてそうかもしれないと思ってやってる。虫とかかごの中に入れておくのと同じように小さな実験だと思う。
説明1 大きな実験としては3回と考えます。13段落の実験は11段落の中のひとつです。だが色紙に蜜をつけることも実験といえば実験です。実験を大きなものとして考えた人は3回だし、小さなものまで含めれば4回になります。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
「実験の数がいくつか」というというに対し、関連する前後の文章中に使われている言葉の意味を確認しながら理解していくことで正しい回答に近づけるのだとわかりました。子どもたちが言葉の意味を確認するときに、辞書を使うことが習慣づくとよいのではと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 小川真里菜)
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