屋上緑化プロジェクトを成功させよう (総合的な学習)~サツマイモの屋上栽培

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目次

1 単元目標

屋上緑化を通して地球温暖化について調べ、植物のはたらきについて考え、緑化活動の重 要性について関心を深めることができる。

2 単元の主旨

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<概要>
本単元では、「夏の教室が暑いことを何とかしたい」という事実を出発点として、「地球は本当 に温暖化しているのだろうか」「温暖化を食い止めるにはどうしたらよいのだろう」「教室にクーラー をつけるとすずしいけれどそれではますます温暖化するのではないだろうか」といった疑問を子 供たちが持ち、それを解決する方法の一つとして、屋上緑化に焦点を絞った活動に取り組ませ ていきたい。
6年生の教室は最上階にあり、夏季には屋上に照りつける太陽光線によって教室の温度が 30 度を超える日が少なくない。教室を涼しくして学習したいという願いは担任も児童も共通である。
最近では屋上緑化の成功事例が多数報告されるようになり、NTT ファシリティーズが液肥を栽 培ユニットにして屋上緑化に取り組んだ事例は有名である。サツマイモの葉は大きく、幾重にも 重なり合っているため、芝生やセダムに比べ単位面積あたりの蒸散量が大きく、遮熱効果が期 待できる。
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<環境教育としての視点>
教室の温度という自分達の生活の実感に結び付いたところから学習を展開することによって、 地球温暖化の防止や緑化活動に関する興味を引き出したい。「芋」という収穫物があり、その食 用利用を考えることも子供たちの意欲を支える要因になるであろうし、植物の力の素晴らしさを知 る機会となるだろう。
屋上緑化設備、水やり等のサツマイモの世話、収穫したサツマイモの調理や売却、収穫後の 葉・茎・根の処分の方法等、学習過程で出てくる様々な課題については、クラスやグループの中 で話し合わせながら解決していくように進めていきたい。出来すぎたサツマイモについては、地域 福祉センターにお願いして、売りに出させてもらう。その際、コープで値段を調べてきた市販のサツマイモと比較検討をして、価格を決定する。売上金については環境保護に役立てる方法を考 える。
根・茎・葉等、サツマイモの食べきれなかった部分については、コンポスト等で肥料に戻す試 みにも取り組みたい。
①夏を涼しくする、②サツマイモを食べる(地産地消)、③あまったゴミを再利用する、④生み出した収益金を環境に活かす、という循環型社会を子供たちに経験させる。
2年生の生活科とタイアップしながら活動を進めることによって、異学年交流の中で6年生を環 境リーダーとしての立場に立てて、主体的に情報を伝達する経験の場としても本学習を機能させ たい。
みんなで調理実習をした後のサツマイモの余剰分は、地域福祉センターに売却するように支 援したい。その際、地域福祉センターに対して子供たちが「屋上緑化活動」の様子を(壁新聞等 で)アピールすることによって、本単元を振り返らせることもできる。
また、収益金を環境に役立てる使途を考えることで、環境を支援する社会活動についても目を 向ける機会としていきたい。
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<教科等の関連>
サツマイモには収穫の楽しみもあり、家庭科と関連したり2年生の生活科と連携したりしながら 取り組むこともできる。葉っぱまで食べることのできるサツマイモが優れた食用植物であることも理解させていきたい。
2年生生活科 「みんなでそだてよう」「みのりの秋だよ」
6年生理科 「生物と環境」「自然と共に生きる」
6年生家庭科 「楽しい食事をくふうしよう」

3 指導計画(全 16 時間)

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○学習活動 ●留意事項
第一次 地球温暖化について調べてみよう(2 時間)
○夏の暑さは温暖化のせい?本当なのだろうか。
身の回りの気象に関する情報について意見を交換する。→インターネットで調べてみよう。
※地球温暖化については、理科の授業の発展学習として扱う。
○夏の暑さ対策について知っていることを出し合おう。
各家庭での工夫や、インターネットで調べたことなどを発表し、
第二次 屋上緑化について調べてみよう(3時間)
○NTT の屋上緑化について知ろう。
屋上緑化に関する資料を見て、自分たちにできる活動は何かを考える。
○屋上緑化にどうしてサツマイモがいいのかを考える。
○ゲストティーチャーに屋上緑化について、話を聞こう。
第三次 屋上緑化の計画を立てよう(3時間)
○校舎の屋上を緑化する際の問題点はないだろうか。
●屋上での活動が安全にできるように、配慮する。特に屋上水道タンクへ続く階段の入口に「立ち 入り禁止の札」を掲げると共に封鎖する。
○2年生にも声をかけてみよう。
○できたサツマイモはどうするのがよいか、考える。・・・「サツマイモ料理でパーティーをしたいな」 「家に持って帰りたいな」「売ってみてはどうか」
●他教科との連携を視野に入れた活動になるよう、助言する。
第四次 屋上緑化を実行しよう(4 時間+α)
○サツマイモの苗の植え付け
●サツマイモに適した栽培方法を調べ、収穫までの活動が持続するように支援する。
○サツマイモに覆われた部分下の教室の一日の温度変化とおおわれていない教室(空き教室) の温度変化を比べてみよう。
○サツマイモを収穫しよう。
○サツマイモで食べなかった根や葉や茎をコンポストに入れて、土に返そう。
●学校備え付けのコンポストに戻す作業をする。2年生と共に作業をする機会を持つことで、2年 生に自然の循環について教えてあげるように促す。
第五次 事後の活動をしよう(4時間)
○これまでにやってきた取り組みについて、新聞にまとめよう。・・・新聞はサツマイモの販売時に、 お客さんに見ていただく前提で制作する。(本時 1/3)
○余った芋を販売する計画を立てよう。
●金銭の管理については校正・厳密にする必要があることに留意させる。
○サツマイモ販売による収益金の使途を考えよう。・・・「せっかくの緑化活動だから、環境のため にいいことに使いたいな」
※サツマイモの調理については、家庭科の時間の中で取り扱う。調理実習は2年生と合同で 取り組むことによって、本活動での6年生のリーダーシップを養う。

4 本時の目標

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・本単元の中で学んできたことを、地域福祉センターへの販売活動に際して、「屋上緑化活 動の中から生まれたサツマイモ」をアピールすることを通じて本活動の振り返りをする。
・屋上緑化活動を地域の方々に分かりやすい説明ができる。
・コンピュータで協働して新聞を作り上げることができる。

5 本時の展開

6 参考文献

GreenPotato・・・NTT ファシリティーズによる屋上サツマイモ水気耕栽培システム(acsses:2009.08.02)

環境教育指導資料(国立教育政策研究所教育課程研究センター)

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