業務改善の成果
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私の勤務では近年、業務改善が大きく推進しつつあります。これは、いわば「業務改善改善」の取り組みの成果でもあります。業務改善が掛け声倒れになっていしまっている学校・自治体には、是非参考にしてみてほしいです。以下に本校の業務改善の足跡を記してみます。
※EDUPEDIAには業務改善に関する記事が他にもたくさんありますので、是非「業務改善」「働き方改革」「多忙化」などをキーワードにしてサイト内検索をしてみてください。
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1.業務改善のねらい
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業務改善のねらいは、
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① 職員の勤務時間の適正化を図る。
② 児童に向き合う時間の確保を図る。
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です。②が強調されて語られることも多いし、全くその通りであるとは思いますが、①も労働者的にとって全うな願いであることには間違ありません。教員の多忙化に歯止めをかけなくてはならないことが②を強調することでうやむやにされて良いはずがありません。
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とはいうものの、長年にわたって行事の精選や仕事内容の見直しが提言されながら、教師の時間外労働が増加の一方をたどってきた経緯を考えると、従来の方法や考え方で業務改善が推進されるとは思えません。そこで、以下の「方法・方針」で不断の業務改善が推進されるよう、取り組みを進めました。
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(1)校務分掌上に「業務改善委員会」を設け、学校評価(教育反省)時の改善を補完する形で、1年間をかけて年度途中での改善を図る。
→→→ 責任をもって業務改善を推進する組織・メンバーを校務分掌組織上に明示しました。あまり細かいことは学校評価の議題にあげにくいと考える職員もいるので、提案の敷居を低くしました。
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(2)学校の共有フォルダ上に設けた「業務改善ボックス」ファイルで、日常的に改善案を提案・共有する。
→→→ 提案の随時受付の形を作ることで、思いたった時に提案・共有ができる形を作りました。従来は学校評価の時期が多忙であることで個々の職員が思いついていた改善案が十分に出されないという難点がありました。
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(3)業務改善委員会を中心に集中的に検討する機会を月1回のペースで設ける。
(4)職員会で業務改善委員会(3)の検討の結果を提案し、職員会で審議を行う。
→→→ 月1回に委員会・職員会での検討の機会を持つことで、改善がすぐに日常にフィードバックされ、改善の成果を感じながらスピード感をもって推進をすることができました。
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(5) 当該年度に決まった内容を次年度以降に確実に引き継ぐ。
→→→ 決まった改善策を書面にして次年度に引き継ぐことによって、確実な履行が行われることを期しました。
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また、「業務改善委員会のメンバーには、学年主任6名に専科から1名、業務改善委員会の世話係には教頭を置くこ」とが慣例でした。教頭や学年主任は、一般的に立場上、性質上、業務改善に大してあまり熱心ではない考えを持っている場合が多く、改善を推し進めるにはパワー不足が否めません。
2018年度はこれを改変し、「メンバーは各学年から1名」とし、教頭には業務改善委員会の主任から外れていただき、業務改善委員会主任には校務分掌検討委員会が提案した職員が就くことになりました。このメンバー交代も業務改善委員会をプラス方向に機能させ、改善を大きく推し進めることができた一因であると思います。
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2.本校の業務改善委員会及び職員会議による検討の結果
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以下に、「職員の要望→→→ 業務改善委員会・職員会による検討結果」の形で本校の業務改善の進捗を示したいと思います。
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1
始業式の配布物が多すぎる。精選したい。→→→ 予め配布するものを決めておく。前年度1年生が学年主任を中心に精選する。
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2
係の引継ぎがうまくいかない。→→→ 年度末に向けて各係で「引き継ぎ書」を作っておくとスムーズに次の係に業務を引き継げる。今年度中に各係でデジタル資料を作り、来年度からはそれに加除訂正を加えてゆけばよい(初年度は手がかかるが、初年度以降は少しの改変・追加でやっていける)。
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17時以降にかかってくる電話に対応するべきか?→→→ ①19時以降は電話をとらないことを共通理解する。 ②コールセンターを教委が設置して、緊急対応以外を受け付けなくてよいように、 ③19時以降は留守電での対応・・・・・②③は教職員組合へ提案する。
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4
廃止・改善したい事業はあるが、提案を出しにくい。→→→ 提案ボックスを利用する。提案がしやすいように、風通しの良いフラットな人間関係を作るように、教員同士は「○○先生ではなく、○○さん」で呼び合う。
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5
忘れ物を取りに来る児童の対応に手間がかかる。→→→ 忘れ物は取りに来ない。交通安全・不審者対策のために一人で取に来るのは危ないという理由を子供に周知する。保護者には業務改善委員会が文書を作成し、学年便り6月号で周知。
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6
職員会議の意識改革が必要。職員会議が長引く。→→→ 17時以降にずれ込んだ会議は、管理職が何時間オーバーであったかを職員会後に周知する。休憩時間(16:00~16:45)、5時以降の勤務時間外に職員会議を行う場合は司会が「勤務時間外ですが」と、断りを入れる。
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7
勤務時間外の仕事が多い。→→→ 勤務時間外や休憩時間(16:00~16:45)に人に仕事を要請する場合は、「勤務時間外ですが」「休憩時間ですが」と、断りを入れ、意識改革を。原則勤務時間外の仕事に応じるか否かは個人の意思を尊重する。
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8
サービス残業時間が何時間出ているのかを明確にすべき。→→→ サービス残業時間がシステム上で記録されるようになりました(職員はICカードを持ってし出退勤時に「ピッ」)。それによって管理職は全体の勤務状況を把握できるようになった。個人レベルではなく、学校全職員の残業時間がどのくらい出ているのかを管理職が明確にし、職員間で共有する。
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9
保健の問診票の裏面の記入漏れする保護者が多く、再提出を求める手間がかかる。→→→ 記入する書類は表面だけにまとめる。裏面に記入する場合は、表面に「裏面にもご記入をお願いします」と明示する。また、結核の問診票など、分かりにくいものは必ず答える項目にあらかじめ印や説明を書く。
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10
職員会議資料をデジタルで提案するようになったが、1つの提案に対して、ファイルが複数あり参照しにくい。→→→ なるべく1つのファイルに統合する」ということを努力義務にする。
【例】ワードで作った資料と、エクセルで作った資料が混在する場合、画面コピー等で、1つのファイルにする。
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11
電子掲示板による連絡について→→→ 職朝を取りやめ、週末の終礼(一回)にする。電子掲示板は毎日必ず閲覧する、日付とわかりやすい件名を入れる等、詳細なルールは新年度計画で「校務の情報化」係より提案。
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空き机がなく、職員室の机上が配布物等でうまる。→→→ 棚(教室のロッカーが余っていればそれを利用)を置いて、各クラスのBOXを作る。配布物や保健版はそこに入れていき、毎朝日番の児童等がそれを教室に持って行く。配り忘れがないように、(誰かが)棚の余りを調査する。
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13
印刷時にリサイクル紙がつまる。弱い。にじむ。→→→ リサイクル紙より安い上質紙があるのでそちらも購入する(エコではないが、経費が削減できて、使いやすい)。
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クラス数が多いため、運動場の配当が複雑。体育の時間をもう少し固定してほしい。時間割を配布しても、時間割に無い日に体育が有り、有る日に無いということが続くとよくない。運動会練習期間などのために“今だけ不規則”というのは大丈夫だが、昨年度からかなり多い。保護者の中には、時間割を参考にして洗濯などしてくださっている方もいるかと…。→→→ 来年度に向けて新年度計画で考慮していく。①予め時間割にも「/」などで「有ったり無かったりです」アピールができるかも。②合同体育を進める。③運動場・体育館が空いている時もあるので有効活用。④曜日ごとに学年配当をするなど工夫して割り振る。
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たいへん重い逆上がり器を毎日出し入れしているが、使われていない。→→→ 必要な時に必要な学年が出し入れする。新逆上がり補助システムの開発(★近日EDUPEDIAで公開)。
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職員会が長い。・生徒指導関連が長い。→→→ ①簡便に発言し、ただ書いてある文面を読み上げるのはなくす。②職員会議の超過時間の確認(超過時間には45分間の休憩時間も含まれることを管理職に確認)。③情報システム上で超過勤務の振替方法を周知する。④議題を記入する回覧板に提案の目安の時間(想定)を表紙に書いておく。
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学校評価の時期に提案したいこと(業務改善委員会では扱いにくいテーマ)を忘れてしまう。→→→ 「業務改善ボックス」のように、学校評価(教育反省)も「学校評価ボックス」を作っておく。学校評価の係が作っておく。学校評価委員会で作成する。
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家庭訪問の日程調整が大変。→→→ 前年度にプリントを配布し、地域や日程とルールの変更を知らせておく。時間が合わない場合、ポストに「位置確認済み」の由のプリントを入れて帰る。家庭訪問で会えなかった保護者とは、後日学校での面談を設定する。
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4月の学級委員選挙のとき、6校時に体育の授業があるにもかかわらず、運動場で遊んでいる学年があった。→→→ 児童を運動場で遊ばせない。学級委員選挙の案内に「児童は学校に残れません」の文面を加える。
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校務支援システムでの転出処理が難しい。→→→ 係中心に行う。複雑な作業なので、校務分掌時に、係が毎年度変わることのないように固定する。職員会議で提案来年度以降「転出」の係を二人体制にし、校務支援システムに詳しい人を配置する。
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業務改善に関する目標や指針、方法、留意事項など、大事なことは職員間で共通理解しておきたい。→→→ 毎年度新年度計画時に業務改善委員会からも提案を行う。文書化する。
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6年生の子どもが地域の方に届けている手紙(ランドセル便)について。現在、約71通の手紙を毎月届けている。地域によっては、一人で何通も届けたり、通学路から少し外れた道を通ったりしている。毎月、封筒を印刷する→学校便りを折る→封する、という担当の職員の業務もたいへん。→→→ ①学校便りは、ホームページに載せ、OB職員にはホームページを見てもらうことにする。②地域の方には学校便りが必要かどうかを確認して、できるだけ量を減らす。
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週目標(めあて)がころころ変わって徹底できない。週番引継ぎで金曜日の学年打ち合わせが中断される。週番引継ぎと健全育成部会の内容がかぶる。週目標ではなく、月目標をあらかじめ年間計画で立てておく。健全育成部会で次月のめあてを必要であれば見直す。→→→ 週番引継ぎを廃止あるいは2週間に1回に。立ち当番は係が学年の枠を割り振っておいて、各学年の健全育成担当が学年の先生の名前を割り振る。月目標という形もありか?・・・学校評価で検討。
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学校厚生会等の本の斡旋が手間である。→→→ 廃止。原則、書店で購入できる類のものに関しては斡旋しない。また、業者の間に入ってお金の取り扱いをする業務(絵具セット・書道セットの販売等への関与)から原則撤退する(金銭を取り扱うことでトラブルに巻き込まれることを回避)。
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教具室が楽器置き場になっている。ずっと指摘しているが直らない。→→→ 夏休みの職員作業で教具室の整理をした。
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着衣泳を1時間でやっても、準備と片付けに時間がかかり、指導時間がたいへん短い。指導要領で明確に位置付けられているわけでもなく(「安全に気を付ける」「安全に気を配る」との記述しかない)全学年でやらねばならないわけではない。→→→ 「2年生と5年生」あるいは「1・3・5年生」で2時間実施、他学年は泳力を伸ばすことに時間を使う。・・・体育部会で検討する。
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漢字検定を学期末にすると慌ただしい中、じっくりと取り組むことが難しくなる。漢字検定は前学期分(1学期は前学年の3学期分)を4月からじっくりと時間をかけて実施する。→→→ 今年度は3学期を実施せず、来年度より前学期分の漢字をしっかり学習する。国語部会で図る。・・・国語部会で図る。
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校務支援システムによってあゆみが電子化されるようになってかなりの多忙化解消になったが、あゆみの回収、保管、保護者の押印漏れの確認、クリアファイルへのあゆみの挿入が手間である。毎年度新しくファイルを購入するのもどうか。→→→ 6年分を収納できるクリアファイルを購入して、家庭で保管させる。連絡袋で家庭まで持ち帰らせる。
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今年度は「防災指令2号」が何度も発令されたことで、男性職員の学校待機が、早くも2巡目に入ってしまう。→→→ 日中は女性職員に学校待機をお願いしたい。8時~20時は女性2名待機。安全安心のために、1号発令でも2名待機がよいのでは?(待機手当は6hずつ申請。)20時~8時の夜間宿泊待機は、男性職員が担当する。
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夏休みの作品の出展のために教師が大事な学期初めの時間をとられてしまうのはおかしい。一企業・一組織の活動に、学校が巻き込まれるのはいかがなものか。係も大変だと思うし、作品の紛失や損傷が起これば、対応にまた時間を奪われる。→→→ 精選できるものは精選する。 学校から応募するもののみ学校で集める。そのほかで学校に持ってくるものは作品展にのみ展示する。・・・図工部会で図る。
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親子親睦会等、PTAとの話し合いで決まった内容がよく分からない。会議などで決まったことを、分かりやすく納得できるように説明してもらいたい。→→→ 学年主任だけにでもいいので連絡する。
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親子親睦のことがよく分からない。形が変わったことは分かるが、結局余計に負担が大きくなった。学年が手紙でお手伝いを募る形なら、今までもしていたし、PTAを挟む分日程調整を急ぐので大変。→→→ 「教育課程上の必要があれば、各学年からPTAに向けてお願いをするので、親子親睦会は必須の行事ではない」という由をPTA運営員会で伝える。→子供を巻き込まずにPTAで茶話会等の催しをしていただくのはご自由にという方向で。PTAには校長先生から伝えていただく。
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1000人規模の全校集会を子供が指揮することには無理がある。集合のための時間のロスや混乱や無気力を生む結果になりがち。150~180人規模やその倍ぐらいの人数の学年集会で十分。→→→ 集会委員会などで計画していただく。
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保険会社の営業の方が頻繁に職員室内に入っている。そのため、自分にとって不必要な営業で職務を中断させられる。また職員室内から個人情報が漏れる危険性がある。→→→ 保険会社の方の職員室の出入りは原則不可。用事があればアポを取って職員室外で話す。(会議室等)保険会社、写真屋、教材屋、工事関係者など、不用の長居は控えていただくように管理職から伝える。
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無用なアンケートが多い。→→→ ①各行事の反省記録を含めて、職員に対するアンケートをとる場合に、本当に必要かどうか再検討する。②抽出や挙手で済むものは挙手で。③児童のアンケートに関しては悉皆アンケートは避け、抽出にすることになっていると、児童に告げる。
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仕事の質・量に対して請け負う職員数が多い場面が多々ある。大規模校で職員数が多い利点があるはずなのに非効率。・委員会は2人配置、クラブは1人配置で回せないか。→→→ ①仕事を要請する時には「人の時間を大切にする」意識を持つようにする。②サポートが必要な時には人手が過多にならないように、大まかに「○○を手伝って下さい」という声のかけ方はしない。「各学年(と専科)から1人お願いします」等、適正人数で仕事が遂行できるように要請する側が配慮する。③クラブ・委員会担当で見直しを図る。
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教師が児童(保護者)の金銭や重要な個人情報が記載されている書類を触る機会を極力減らす。煩わしい業務であるし、紛失や盗難が生じた時のダメージが大きい。→→→ 写真屋・DVD屋に直接販売(出張販売や郵送)を求める。QRコード決済等の可能性も含めて学校・保護者・業者にとって良い方向を探る。
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取次業務が多く、仕事が煩雑になる。ずっと何かに追われているようで、気が休まることがない。→→→ ①教頭補佐が配布書類をキープする。②発信者が直接回収する形を作っていけば、担任が間に挟まって右往左往する必要がなくなる。PTA・地域・父親会等、案件ごとにBOXを色分けして、職員室前や東入口等に設置、子供が自分で入れに行くようにする。
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油引き用噴霧器が欲しい。→→→ もう一台、もう少し油の容量が大きいものを購入するよう、来年度の予算で請求する
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今年度は業務改善が順調に進んだと思います。本校は人数が多く、人の入れ替わりも多いので、改善した内容がしっかり周知・実行できにくい。しっかり周知・実行できるように、毎年、周知・実行できるように、毎年、年度初めに業務改善委員会から累積した業務改善の歩みをまとめて記録した文書を出す。
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以上は毎月の業務改善委員会による改善です。比較的大きい課題から、きめ細かい課題までが検討されているのがよく分かると思います。これに加えて、年2回の学校評価(教育反省)でも改善は行われています。以下に、学校評価による改善例も挙げてみます。
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【スポーツ活動からの撤退】
陸上記録会以外のスポーツ活動からはほぼ完全に撤退しています。
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【組体操の廃止】
組体操は計画・準備・練習に時間がかかる上に、児童に怪我のリスクを背負わせる結果になっており、「最悪の事態を想定して」廃止としました。
組体操を「廃止」に導く ~事故リスクの回避
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【職員朝集の廃止】
ほとんどの教師が職員朝集が始まる時間には教室にいます。毎日のことであるので、朝集のために職員室に戻り、また教室へと向かう時間は大きいです。職員朝集をやめれば教室でしていた仕事を職員朝集のために中断されることもなくなります。職員朝集は廃止、日々の連絡は電子掲示板で行い、全体への口頭での連絡は金曜日の16:45から、終礼という形で行うことにしました。
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【情報の共有】
職員朝集を廃止する代わりに、日々の連絡は電子掲示板上で行うことにしています。掲示板にUPされた情報は必ず全職員が閲覧する事が前提であるし、発信者側には発信者責任として、分かりやすく要点をまとめて書き込むことを要求しています。
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【提出物の回収】
地域に開かれた学校である本校では、様々な募集やアンケート・確認のために家庭からの提出物を回収する機会が多くあります。「学校←→保護者間」以外の提出物が多いことで、仲介の手間がかかって負担です。また、回収に際して様々な気遣いをせねばならないことで気疲れもしてしまいます。そこで、「学校←→保護者間」以外の提出物は教師は仲介せずに、児童が直接回収BOXに提出しに行くことになりました。
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3.慎重さ・丁寧さも必要
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どの業務も大切だと思ってきたから多忙な中でなんとかやってきたものです。業務を推し進める立場の職員や一人一人の業務に対する思いを考えると、廃止しにくい業務がほとんどです。それに学校の多忙化解消という目的があったとしても、その業務を存続させる「メリットandデメリット」と廃止・改変する「メリットandデメリット」を天秤にかけた場合に、判断が難しい案件も多いです。必ずしも採用した案が良い結果を招くとは限りません。混乱や不信を招くような改変を行ってしまえば、それは業務改悪となってしまいます。改善には大胆さが必要とされると同時に、慎重さや丁寧さも要求されます。
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4.職員・管理職の理解と協力
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また、職員・管理職が互いに信頼し合う関係がなければ、業務改善を大胆で前向きに進めることは難しいでしょう。教育目標の実現に向かって、職員が信頼関係を構築してゆけるように、「教員同士は『○○先生』と呼び合うのではなく、『さんづけ』で呼び合う」など、フラットな人間関係を生み出す努力もしてきました。出退勤システムが電子化されたことによって、管理職が把握した「職員の超過勤務の実態」を職員で共有する案が通るなど、管理職の業務改善への理解と協力も業務改善を推進するにあたっての大きなポイントであったと思います。
職員・管理職ともに前例踏襲主義を改め、新しい考え方を脳内にインストールしなければなりません。下↓のアマゾンリンク・リンク先は、新しい世代の「さる先生」のご著書です。是非ご一読ください。
EDUPEDIAで、この本を紹介していますので、こちら↓のリンク先も是非ご参照ください。
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さる先生の「全部やろうはバカやろう」 ◆ 書籍紹介
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5.みんなの業務改善
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一人だけでも、早く帰られるように努めることは、みんなのよい手本になってよい部分もありますが、それでは「一人業務改善」です。そうではなく、学校全体の仕事の総量を減らし、みんなが多忙化から解放される「みんなの業務改善」であらねばなりません。それには業務改善を強力に推し進めるリーダーの存在も欠かせません。業務を俯瞰し、管理職と交渉し、根回しをし、納得解へと導く作業を行ってくれるリーダーがいないと、業務改善は進みません。同時に、リーダーを支えるサブリーダー、業務改善委員会、そして職員全体の業務改善を指示する「意志」も必要不可欠です。
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業務改善委員会の改革は大きな力を発揮しました。これをもう少し大きい視点で考えると、各自治体の教育委員会・文部科学省にも業務改善委員会を設置する必要があるでしょう。責任を持って、専門的に業務改善を推進・監視する部署が必要です。継続的に改善を推進し、定点観測をして成果を把握することで、曖昧さを排除することができます。「なーんか忙しいけど、子供のためだから仕方ないっか・・・」「どうせ、変わらないでしょう」「業務改善なんて組合マターでしょ」と、無関心・無責任に漫然と仕事量を増やしてきてしまった結果が学校のブラック化・多忙化をこじらせてきてしまったのです。「業務改善委員会の設置」と「超過勤務時間の把握・共有」は「業務改善改善」の超重要案件です。
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加えて、校務・授業のICT化を推進するリーダーも必要です。校務・授業のICT化を進めることも、大きな負担軽減となります。
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6.業務改善≒授業改善・指導改善
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また、業務改善は単に仕事量を減らすことだけを目的としているわけではなく、授業改善・学級経営の改善・生徒指導の改善という私たち教師の本質的な仕事(=教育)の質を高めることも大きな目標です。各クラスでの授業・学級経営・生徒指導が上手くいけば、自ずと児童・保護者との信頼関係がアップするため、今日的なトラブルを抱え込むことが少なくなってきます。2000年前後に頻発した学級崩壊現象を機に、学校・教師は児童・家庭との信頼関係を、「時間を費やすことで何とかつなぎとめてきていた」ように思います。多忙化の解消が進み、教育の質を高める時間が確保できるようになれば、児童・家庭との信頼関係を、回復する足掛かりができます。業務改善を進めた結果、児童生徒・保護者に「教育のクォリティーが下がった」と思わせないようにしなければなりません。「むしろクォリティーが上がった」と思わせる結果となれば、大成功です。「子供の成長を共有することが、児童生徒・学校・保護者をつなぎとめる」ことができるようになります。「子供も教員も幸せになれる業務改善」を今後も推進していきたいと思います。
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