1 はじめに
本記事は、2020年2月14日(金)に開催された、奈良女子大学附属中等教育学校公開研究会内の新科目「論理国語」に関するワークショップを編集・記事化したものです。
他校の先生方と協働して行う「対話的な」授業を提案された、二田貴広先生(奈良女子大学附属中等教育学校教諭)の実践を紹介します。
同日に行われた「古典探究」に関する記事はコチラ
2 授業の概要
◎3校それぞれでの教材開発
畝岡先生(岡山県立岡山南高等学校)、岡本先生(近畿大学附属福山高等学校)の2人と私の合わせて3人が、それぞれ
古典文学作品を「論理的に」分析した評論文
を教材化しました。授業づくりにあたっては、新科目「論理国語」で育成が目指されている資質・能力を踏まえ、
①その学校なりの「論理的・批判的に考える力」の向上を実現するための学習活動
②その学校なりの「創造的に考える力」の向上を実現するための学習活動
をデザインすることを共通の課題としています。文章を対象化して捉えてしっかり精査すること、その結果自分の思考をメタ認知できるようになること、他者との関わりの中で新しいものを生み出すこと、といった表現もできるかと思います。
◎SNSを用いた3校の交流
また、新学習指導要領では学校の枠を超えて外部と関わることも求められるので、今回は他校と合同での実践を考えました。教材だけ統一して、授業内容は各校オリジナルにしています。
各教員がその授業の目標・目的・方法を明示したうえで、教育用SNS(ednity)を用いて、それぞれの学校の授業動画と生徒の成果物を共有しました。生徒たちは共有されたものを踏まえて、変容したり相対化された自己の考え方、そして学習過程を記述します。
3 質疑応答より
教材選定について
自分がこれまでにやってきたことや、大学院で学んだことなどから、教材にしてみたいなと思ったものを選んでいます。
あとは、Facebookで、国語に限らず先生方が交流するグループに参加しています。そこでは皆さんの実践が定期的に上がってきて、自分一人で調べるよりも多くの情報が得られるので、そこからヒントをもらうことも多いです。
最終的な評価について
「こういうことを達成してね」という目標は最初から生徒に提示しています。授業中の姿勢などについては全てを見ることができず、公平に評価できないと思うので、生徒を評価する際には生徒自身が書いたものを見ています。
相互評価について
他校の生徒に少しキツい言い回しでコメントされることはありますし、それに対して怒っているのを見かけることもあります。生徒たちは「こんなこと言ってないし」と言ったりもしますが、うまく伝わらないということを実感できている面もあるのではないかと思います。
向こうの生徒が何故そのようなコメントをしてきたか、考えるのも勉強です。幸いにも授業を通して対面することはないので……校内だとこうはいかないかもしれませんね。
4 プロフィール
二田 貴広(ふただ たかひろ)先生
奈良女子大学附属中等教育学校国語科教諭。
(2020年2月20日現在のものです)
5 関連記事
「新科目「古典探究」への提案~研究成果を授業に生かす~(神徳圭二先生)」 → コチラ
同日に行われた、新科目「古典探究」についての実践報告です。ぜひ併せてごらんください。
6 参考資料
ednity:https://www.ednity.com/
7 編集後記
他校の生徒と「文字だけで」交流することで、上手く伝わらないもどかしさ、そこから生まれる伝え方の工夫などを学ぶことができるというのは目から鱗でした。フリーのSNSを使用することでハードルも下がっていると思いますので、ぜひ実践の参考にしていただければ幸いです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 中澤、金田)
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