「From民間to教師」リクルートから教員へ(横浜市英語教員 長谷川先生)

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この記事は2022年6月26日にNPO法人ROJE EDUCAREER(旧:教育と仕事フェス) が主催した「第12回教育と仕事フェス~From 民間 to 教師~」第1部を記事化したものです。

登壇者に長谷川美沙先生をお招きしました。長谷川先生は2010年に株式会社リクルートキャリアに入社し、企業の採用や自社新卒採用のプロジェクト等に関わられました。その後、2014年から教育系NPOのTeach For Japanの活動に携わりながら公立中学校の英語教員を4年、小中連携制度を利用し公立小学校に2年勤められました。現在は育休を経て公立中学校に復帰し働いていらっしゃいます。

目次

 大学生時代

アメリカの高校を卒業した後、日本へ帰国し慶應義塾大学法学部政治学科に入りました。大学では当初テニスサークルに参加し学生生活を謳歌していましたが、次第にこのような生活を続けてよいのかと感じるようになってからは、まじめに勉強に打ち込みました。

大学では、東南アジアゼミでカンボジアの児童買春禁止法の研究をしつつ、その傍らで、児童買春防止をミッションとするNPO法人でインターンをしていました。また夏休みなどを利用し、インドネシアやベトナムで短期海外ボランティアを行いました。私はインドネシアでは文化交流のプロジェクトに参加し、ベトナムでは孤児院でボランティアをしました。

卒業後の進路を考え始めたのは大学3年生の夏ごろです。人材系の会社やリクルートのインターンに2週間、金融系の会社のインターンに数日間参加しました。

 キャリア①リクルートキャリア

1つ目のキャリアは、民間企業にて正社員の転職支援をするリクルートキャリアという会社です。私は3年間、法人営業や新卒採用のプロジェクトを担当していました。正社員で働くことを希望する方と、そういった人を採用したいという会社とをマッチングする仕事です。そこで働きながら、日本大学の通信で中高の英語教員免許を取得しました。

 キャリア②横浜市 中学校英語教員

2つ目のキャリアは、横浜市の中学校英語教員です。

また、NPO法人Teach For Japanでも活動していました。この団体は、教員を独自の選考などで集め、そこに集まってきた人達を研修し、全国各地に派遣しています。

中学校教諭をしながら未来大学の通信で小学校教諭免許状を取得しました。

 キャリア③横浜市 小学校教員

3つ目のキャリアは、小学校教員です。2年間働いていました。横浜市にある制度で小中連携制度というものを利用し、小学校に2年間勤めました。その制度はブロック交流という小中連携の推進のためにあるものです。それを利用して、小学校教員として働きました。その後子どもが生まれて、育休を1年間取った後に今2つ目のキャリアである中学校教員に戻ってきています。

 キャリアに関することQ&A

 Q:現在、大学で教職課程を履修しています。教員になるかわからないのに、教職課程の授業のために膨大な時間を割く必要はないと感じることが多いです。大学での教職課程の履修を中断し、就職したあとに必要な単位を取って教員になることを検討中です。長谷川先生は教職課程を取っておいたほうがよいと思われますか

A:個人的な考えとしては、自分が今やりたいことを優先したほうがよいと思います。

私は大学で教職課程の単位をほとんど履修せず通信で多くの単位を取得しました。苦労はしたものの教員免許を取得することができました。そのため、大学生の今しかできないことでやりたいことがあれば、それを優先してもよいと思います。

ただ、大学で履修することのメリットとしては費用もある程度学費のうちに入ることだと思います。社会人になってからは+αで自分でお金を出さなければならないため、金銭的な負担にはなると思います。

Q:今大学3年生で進路選択に悩んでいます。進路選択の際の軸はいつどのように決められたのですか?

A:私が進路を決めるにあたって持っていた軸は2つあります。1つ目はとにかく自己分析をすることです。自分の興味分野について自己分析の本などを用いて深堀りしていました。

2つ目は多くの企業を知ることです。多くの企業の説明を受けることで、自分の興味の有無を知ることができます。私は、数を打ったなかで絞っていくようにしました。

3年生の冬にはある程度自分の軸は決まっていた記憶があります。

Q:学校のなかで教員として働いていると、あまり社会的な常識が身に付かないと私自身は思っています。長谷川先生とは逆のパターンで、教員になってから企業で働くからこそ社会で活かせることは何かありますか?

A:例えば教員だと1クラスをまとめ上げることが多いので、人前で話す経験をたくさん積めます。私は、プレゼンはあまり得意ではありませんでしたが、教員としての経験を通して、人前で喋ることに慣れてきました。また、子どもたちをまとめあげたり、個々の特性に合わせながらやる気が出るように働きかけたりといったリーダーシップの力は付くと思います。それは他業界に行くとき、マネジメントの能力に繋がると思います。

Q:やはりリクルートを通して教員になってよかったと思いますか?

A:社会的な部分を知れてそれを活かせるという意味では絶対教員になる前に民間を通してよかったと思いますし、今就職活動をしているとしても、その道を選ぶと思います。教育現場に多様な考え方や異なる視点を持った人間が入ることは意義があると思います。

Q:教員採用試験で民間経験者ゆえの有利不利を感じることはありましたか?  

A:民間経験者は、就職活動をしたことがあり、面接の準備や受け答えには慣れているため、その点は教員採用試験を受験するうえでは有利だと思います。民間経験だけで、実際の教育現場での経験を実習以外の場で全く積まないまま面接に臨むと、机上の空論で話を進めることになり、面接での言葉の重みに欠けてしまうところが不利な点だと思います。

 最後に

教育現場には、一生懸命子どもたちのために働く教員がとても多い一方、働き方等の改善点が多くあり、なかなか変わりづらいことが多いのも現状です。ただし学校は最後の砦です。子どもは、生まれる環境は選べませんが、自分で環境を変える力を学校でつけることができます。幅広い経験をして、そこで身に付けたことを子どもに伝えられるようにすると素敵な先生になれると思います。皆さんにはぜひ教育に携わる仕事に就いてほしいです。

 登壇者プロフィール

長谷川美沙先生

2010年に株式会社リクルートキャリアへ入社。企業の採用や自社新卒採用のプロジェクト等に携わる。その後、2014年から教育系NPOのTeach For Japanの活動に携わりながら、公立中学校の英語教師となる。4年勤めた後、小中連携制度を利用し、公立小学校に2年間務める。現在、育休明けからは公立中学校へ復帰。

 編集後記

これから就活を始める学生や自分のキャリアについてまだ悩んでいる学生にとって役立つことをたくさんお話してくださった長谷川先生、本当にありがとうございました。多くの学生に届いてほしいです。(編集・文責 EDUPEDIA編集部 般若莉子)

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