夏休み明けの学級経営【「荒れの芽」をしっかりと取ろう!】

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学級経営にはポイントになる時期がいくつかあります。

夏休み明けはポイントとなる時期の一つです。

なぜなら、夏休み明けの子どもたちには学級の「荒れの芽」が出ているからです。

夏休み明けの学級経営は「荒れの芽」をしっかり摘むところから始まります。

今回は夏休み明けの学級経営で大切にしたい指導ポイントを解説していきます。

本記事を参考に夏休み明けの準備をし、新学期のよいスタートを切りましょう!

目次

夏休み明けの子どもたち

夏休み明けの子どもたちはとても不安定な状態です。

生活リズムが乱れている

夏休み明けの子どもたちは基本的に生活リズムが乱れていると思ってください。

特に子どもの成長に重要な早寝早起きの習慣が崩れています。

したがって、頭がよく働かず、ぼーっとしがちな状態で新学期初日を迎える子どもが多いです。

不安が大きい

生活リズムの乱れに加えて、夏休み明けは子どもたちの不安が大きい時期です。

久しぶりの登校に不安がある子、学習や友達関係で不安を抱いている子、夏休み明けからの学校行事に不安がある子など、実は夏休み明けは子どもたちの不安要素がたくさんあります。

夏休み明けは中高生の自殺率が高い

文科省が公表している「18歳以下の日別自殺者数」によると、夏休み明けの9月1日の自殺者が最も多いというデータがあります。

9月1日に18歳以下の自殺者が多い原因は、生活環境の変化や大きなプレッシャーが生じやすく、精神的な動揺が起こりやすいとされています。

先生方はこうした子どもたちの不安を早期に解消し、子どもたちが早く学校生活のリズムを取り戻すための指導や助言が必要になります。

2学期以降の学級の荒れはどのように起こる?

夏休み明けの不安定な子どもたちに丁寧に対応できず、学級が荒れてくケースは多いです。

また、2学期以降は以下の視点で学級の荒れを防ぐ必要があります。

  • 先生に対する慣れ
  • 学級に対する慣れ
  • 慣れから生まれる気の緩み(特に言葉遣い)
  • 学校行事から生まれる差別やいじめ
  • 多忙な業務により、学級をケアできない

学級の荒れはいきなり発生するわけではありません。

しかし、ほんの些細なことが学級の荒れにつながることは少なくありません。

例えば、先生が発した不用意な一言であったり、子どもたちのちょっとしたいざこざなどです。

学級の荒れが大きくならないように、先生方は夏休み明け以降も子どもたちと良好な関係を保ちつつ、「荒れの芽」を摘んでいきましょう

夏休み明け学級経営の指導ポイント

ここからは、夏休み明けの学級経営で特に注力したい指導ポイントを解説していきます。

子どもたちを徹底的に観察する

夏休み明け初日、子どもたちを徹底的に観察します。

「元気よくあいさつしたか?」

「暗い表情の子はいないか?」

「あくびの多い子はいないか?」

「夏休み前と友達関係が変化した子はいないか?」

「顔や体に傷やアザなどがないか?」

様々な視点で子どもたちを観察しましょう。

傷やアザの有無を観察するのは、家庭内暴力の可能性を疑うためです。

長期休みの間に家庭内のトラブルを抱える子もいます。

夏休み明けは特に、子どもたちの変化に敏感になりましょう。

生活リズムを整えさせる声かけ

夏休み明け最初の3日間は子どもたちの生活リズムを整えることに力を入れます。

頭と心を学校モードの切り替えるリハビリ期間と位置づけ、生活リズムを整える声をかけていきましょう。

「夏休み中に夜更かしが多かった人は早めに寝ましょう」

「早寝早起きの学校モードに切り替えないと、学校がつらく感じるよ」

「〇〇さんは夏休み明けから元気だね! きっと夏休み終わりに生活リズムを整えたんだろうね!」

子どもたちの生活リズムをできるだけ早く学校モードにしていき、学校生活を楽しむスタートラインに立たせていきましょう。

やるべきことをやっている子を褒めていく

夏休み明け初日に発する子どもたちへの言葉は褒め言葉にしましょう

「さっき、先生は感動しました。なぜなら、みんなが夏休み前と変わらず、元気にあいさつをしてくれたからです」

「〇〇さんは、夏休み明けにも関わらず、朝一番に委員会の仕事をしていました。高学年として素晴らしいです」

夏休み明け初日の褒め言葉は、褒められた子だけでなく、学級全体に学校モードのスイッチを入れる役割を果たします。

楽しい活動を用意して笑顔でスタート

「あ~、やっぱり学校って楽しい」

夏休み明け初日、学校の楽しさを実感させる活動を私は実践していました。

「学校の楽しさ」とは、活動自体の楽しさだけでなく、友達と接する楽しさ、学級のみんなで笑顔になる楽しさなど、学校でないと体験できない楽しさが含まれます。

私は夏休みを生かした活動を用意していました。

ウソ、本当ゲーム

夏休みの出来事がウソか本当かを見破るゲームです。

「私は夏休みに北海道に行きました。ウソか、本当か?」というような問題を子どもたちに作ってもらい、ペアやグループ、学級全体で作った問題を出し合います。

子どもたちの夏休みの様子が見え、楽しい思い出がない子も問題を作りやすいメリットがあります。

質問ゲーム

ペアを組み、夏休みの思い出などを質問し合ったりします。

A「夏休みは旅行に行きましたか?」

B「はい」

A「誰と、どこに行きましたか?」

B「お父さん、お母さん、弟と沖縄に行きました」

A「沖縄!いいですね! 沖縄では何を見ましたか?」

B「キレイな海を見ました。」

子どもたちのコミュニケーション力向上をねらいつつ、友達関係に不安な子がゲームを通じて誰かと接した体験を夏休み明け初日にできるようにしていました。

先生の夏休みクイズ

先生も子どももお互いの個性を大切にする学級を私は目指していました。

ですから、私は進んで自己開示をしていました。

自己開示をすると、人間性や考え方が伝わり、信頼感が高まります。

先生の夏休みクイズと題して、思い切って自己開示をし、子どもたちとの信頼感を高めてみましょう。

私は社会科が専門教科でしたので、それらしいクイズを考えていました。

「先生は夏休みに京都の金閣寺へ行きました。金閣寺を立てた人物と言えば?」

「パリオリンピックで夜更かしをしていた先生。ところで、日本とパリはどれくらいの時差があるでしょう?」

次のような子どもたちが考えてもわからないようなクイズや、前学期の復習を交えたクイズも盛り上がります。

「先生は一日自転車旅で3か所巡りました。さて、どこへ行ったでしょう?」

「先生は夏休み中に60万mlのスポーツドリンクを飲みました。60万mLって何L?」

消極的な子どもには毎日声をかける

学級の中には消極的な子どもが数人います。

自分から友達関係を作るのが苦手な子、自分のよさを見いだせていない子、学校を少し休みがちな子たちです。

そのような子どもたちには、毎日声をかけます。

登校時、宿題提出時、授業中など、声をかける場面はたくさんあります。

毎日声をかけ、安心して学校生活が送れるようにしましょう。

4月の授業開きのように、楽しく・わかる授業を実践する

子どもたちの学校生活の中心は、やはり授業です。

楽しく・わかる授業を実践すれば、子どもたちは先生方を信頼します。

反対に、つまらない・わからない授業をすれば、一気に信頼は無くなります。

夏休み明けの授業は、4月の授業開きと同じくらい重要です。

今一度、子どもたちの信頼を高める楽しく・わかる授業を実践していきましょう。

2学期は子どもたちの個性を生かしていこう

2学期に運動会や音楽会などの学校行事を計画をしている学校は多いです。

学校行事は、子どもたちの個性が生かされる場です。

運動が得意な子は運動会で、歌や楽器の演奏が得意な子は音楽会で個性を発揮していけます。

たとえ、運動や音楽が苦手な子でも、努力や協力する姿を見つけて価値づけていきましょう。

努力や協力なども個性です。

子どもたちの新しい個性の発見につなげていきましょう。

また学校行事に限らず、授業や学級の生活で子どもたちが個性を発揮する場面はたくさんあります。

先生方は子どもたちの個性を見取り、生かしていく学級経営をしていきましょう。

子どもたちが個性を発揮できる学級は、ノビノビと楽しく学校生活を送れる学級です。

学級への所属感が高まり、自尊感情や自己肯定感がアップし、学級の荒れを防ぐことにつながります。

夏休み明けは「荒れの芽」をしっかりと摘み、子どもたちが個性を発揮できる土壌(学級)づくりに力を入れていきましょう。

参考・引用URL

https://www.mext.go.jp/content/20200824-mext_jidou01-000009294_011.pdf「18歳以下の日別自殺者数」文科省

執筆者プロフィール

マー

小学校教員を15年務めた後、フリーのWEBライターに転身。教員時代は安全主任、体育主任、生徒指導主任、学年主任を担当。現在は「物事のよさをより多くの人に」をモットーに教育系記事、金融系記事を主に執筆。趣味は野球観戦とランニングで、野球やマラソン・駅伝を応援するブログを運営している。

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この記事を書いた人

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