小学4年 算数「わり算の筆算(2)」ニアピンゲーム×ICTで楽しく学ぼう!

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、2~3位数(2~3桁の数)÷2位数の計算の仕方を理解し、計算できる能力を養う。また、既習の計算方法を除法として捉え直すことにより、今後の生活や学習に活用しようとする態度を育む。

単元の評価基準

  • 知識・技能:2~3位数÷2位数の計算の仕方について理解し、計算することができる。
  • 思考・判断・表現:2~3位数÷2位数の計算の仕方について、数の構成に着目して考え、説明することができる。
  • 主体的に取り組む態度:2~3位数÷2位数の仕方について、既習の計算などを基に考えようとする。

本実践のポイント

本単元では「仮商の扱い」が重要になるが、簡単に言えば次の2つの力に分類できる。

  • 商の見当をつける力
  • 見当を正解に近づける力

本実践ではこれらを明確に分けることで、それぞれに適した学習方法を提供する。

「見当をつける力」を育てるニアピンゲーム

商の見当をつける行為は、わり算の一歩目である。
わり算の筆算に入る前の導入として、見当をつける練習をする。
それに最適なのがこの「ニアピンゲーム」だ。

ニアピンゲームの概要

かけ算して、指定された数に近くなる数を予想するゲーム。
例:次の積が170に「ニアピン」となるような、?に入る数はなにか。(23×?→170)

ニアピンゲームのルール

  1. 教員が問題(?のついたかけ算の式)を提示する。
  2. 児童は制限時間内(はじめは30秒程度)に、?に入る数を予想する。
  3. ニアピンであれば1点獲得とし、最後に合計得点が高かった人の勝ち。
  4. ニアピンは±50とする。

ニアピンゲームのポイント

ここで一番崩したいのは、「間違いはダメ」という児童の感覚だ。
そのため、このゲームでは以下の2つの設定が重要である。

  • わり算よりイメージのしやすいかけ算を用いる
  • 「正解」ではなく「ニアピン(±50)」を探すこと

ゲーム感覚で取り組めるうえに、自然と「このくらいかけると、このくらいになる」という数の感覚が育つ。
ニアピンの幅が広いので、多少間違えても点数がもらえるのも安心感を与える重要なポイントだ。

「ニアピンゲーム」を改良し、深い学びへ

この授業の重要なポイントは、単なる数字当てゲームにとどめないことである。

計算ミスを恐れない! ICTの活用

児童が積極的に手を動かせるようにするため、ICT上での検算を許可することをお勧めする。もちろん、電卓機能等は禁止して、手書き機能のみ活用することをルールとして提示する必要がある。

例えば以下のアプリがある。

  • 有料版:ロイロノート
  • 無料版:goodnote、メモ(keynoteやpagesでも代替可能)

検算ができるので、少しでも近い答えを探すために「あれでもないこれでもない!」と自然と試行錯誤を繰り返すだろう。わり算の2ステップ目である「正解に近づける力」には、失敗を恐れず手を動かすことが何よりも重要だ。
この活動を通じて、「検算は解答ではない→失敗しても大丈夫」という感覚を持たせたい。

児童がICTに不慣れな場合には、消しゴムを使わないことを前提に、計算用紙を活用して代替することも可能である。

なぜ分かるの? ニアピンするための学び合い

「なぜその数を選んだのか?」を話し合うことで、数の大小や倍の感覚を言葉で説明する力を育てる。
その後、実際にかけ算で答えを確かめると、
「なるほど、だからその数では少なすぎたのか」
「思ったよりも大きくなった」
等、予想と結果の間に生じたギャップを通じて、学びが深まる
この話し合いの中で、「見当を正解に近づける力」を身に付けていくことになる。

正解にたどり着くよりも、「どんな思考をたどったか」に価値を置く設計にすることで、子どもたちは安心してチャレンジできるようになる。

より正確に! 見当する力を磨く時間制限の活用

「見当する力」で最も重要なのは、「最初に見つける数」である。
この数が正解に近いかどうかで、わり算にかかる時間は大きく変わってくる。

児童にこの「最初に見つける数」の重要性を理解させるため、ゲーム進行とともに少しずつ制限時間を短縮することをお勧めする

この工夫により、「最初に見つける数」の正確性が上がるとともに、ゲームに対する間延び感もなくなり、より盛り上がるだろう。

より正確に! かけられる数や答えの制限の活用

ニアピンの幅が±50と広いことによって、ニアピンとなる数が複数存在する場合がある
例:23×?→170なら、?は6~9

答えが複数あることで、児童は安心して見当が付けられるのだ。

しかし、わり算のことを考えるとより近い数を正確に予想できるようになってもらいたい
そこで、ゲーム進行とともにかけられる数(例の23)を大きくすることが有効だ。

かけられる数が大きいことで、?の数が少しずれるだけで誤差が大きくなり、自然と正解の数が減る。
つまり、より正確な解答が求められることになる。

また、「積が指定の数を超えたらアウト(0点)」等のルールにより、わり算の感覚に近づける工夫も良い。

筆算の演習にこそICT! ICT活用のメリット

ニアピンゲームで「仮商の扱い」を感覚的に理解できたら、筆算の練習へと移行する。
筆算の演習ではICTを活用することをお勧めする。
ICTを活用するメリットは次の通り。

  • 間違えてもボタン一つで消すことができる。
  • 間違いを残し、別のシート(ページ)に解きなおせる。

ICTを活用することで、「見当を正解に近づけていく力」を身に付ける。

ICT活用で「何度でも試せる」安心感をつくる

従来のノート学習では、間違えたら消して書き直すのが基本だった。
しかし、間違いを消しゴムで消す行為は、児童に想像以上のストレスを与える

誤答を消す未来を想像しながら正しいかどうかも分からない答えを書くことを考えると、児童の手が動かなくなるのは至極当然である。

ボタン一つでリセットできるのであれば、挑戦するハードルが大きく下がるだろう。
見出し下の画像のように、筆算を穴抜きにして提示しておくとなお良い
児童が筆算の書き方等計算以外の要因でつまずくことが無くなり、計算に集中できるからである。

ICTが苦手な教員は、計算用紙や付箋等を代替手段として活用すれば、この件に関してのみ同様の効果は十分に得られる。

ICT活用で「学びの履歴」を残そう!

間違いは何よりも大きな学びにつながる。
しかし、失敗を恐れる児童のほとんどは、自分の間違いを消したがる。

ICTを活用すると、手間なく正解と誤答を紐づけて保管することができる
児童は、自分の予想や計算の過程を保存し、振り返ることで「前はこう考えたけど、今はこう考えるようになった」と変化を実感できる。

振り返りアンケート等で評価にも使えるのも、魅力の1つといえる。
アナログでは、紐づけや保管に関する手間があり、ICT同様の成果は得られないだろう。

執筆者

まき先生

中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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この記事を書いた人

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