はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
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ちょっぴり不安を覚えたのはなぜか
筆者は、11段落でこう述べている。
原爆投下世界遺産の候補として、世界の国々の審査を受けることになったとき、私はちょっぴり不安を覚えた。
この筆者の「不安」について考えてみることにした。
筆者がちょっぴり不安を覚えたのはなぜだろう。
原爆ドームを保存したり、世界遺産にすることに反対の人たちもいた。〈賛成〉する人たちの気持ち、〈反対〉する人たちの気持ちを文章中から見つけて、ノートにまとめた。ノートにまとめることによって、〈賛成〉〈反対〉のそれぞれの気持ちについて理解を深めることができる。
ノートのまとめより
〈賛成〉
・少女の日記に「あの痛々しい産業奨励館だけが、いつまでのおそるべ
き原爆のことを後世にうったえかけてくれるだろう」と書いてあった。
・全国から保存を願う手紙が次々と広島市に届けられるようになった。
・世界の人々の平和を求める気持ち。
〈反対〉
・原爆ドームを見ていると、原爆がもたらしたむごたらしいありさまを
思い出すから。
・戦争の被害を強調する遺跡であること。
・規模が小さい上、歴史も浅い遺跡であること。

心に平和のとりでを築くとは
筆者が一番伝えたかったことは
文章全体を通して、筆者の伝えたいことはどんなことかを考えた。前の学習で、筆者の思いや考えは、12~13段落に集中していることから、このあたりに筆者の一番伝えたいことがあるのではないかと子どもたちは予想した。
筆者が一番伝えたかったことはなんだろう。
12段落の①、②文、13段落の①、②文から、一番大切だと思う文章を子どもたちは選び出した。
【12段落の②文】
・人の心に、平和のとりでを築かなければならない。
【13段落の①文】
・戦争は人の心の中で生まれるもの
【13段落の②文】
・「平和のとりでを築かなければならない」が、題名と同じでまとめとなっている。
このように、誰もが「心に平和のとりでを築く」をあげていた。そこで「心に平和のとりでを築く」について考えてみた。
一番伝えたかった「心に平和のとりでを築く」とはどんなことだろう。
・一人一人が、平和な心を持つこと。みんな平和を願っている。
・心の中と戦争とやって、心の中の戦争に勝たなくてはならない。
・みんなと仲良くして、人と人との争いをなくす。
・核兵器のない世界にするために皆で協力しましょうということ。
・平和を知らせることで、核兵器など不必要だということ。
いくつかの意見を出してもらったところ〈戦争や核兵器のこと〉をあげていた子と〈戦争や核兵器以外のこと〉(=人と人との関係について)あげた子がいた。そこで、
筆者のいう平和とは、戦争や核兵器のことだけだろうか。
と尋ねてみた。すると、子どもたちは身近な例を出しながら、戦争や核兵器のことだけではなく、人と人との関係についてあげた。
【戦争や核兵器以外のこと】(=人と人との関係について)
・ケンカや悪いことをしない、
・悪い心を捨てる。
・きょうだいとかで「お前何なんだよ」と言われてムカついた。
・きょうだいでちょっとした片付けのことでケンカになって、叩いたりして、結局は親に怒られたりした。
・いじめとかも、同じなのじゃないかな。
「心に平和のとりでを築く」ことの意味
このように身近な中からも争いごとが起きていることがなされた。最後にもう一度「心に平和のとりでを築く」の意味を考えてみた。
平和を築くことはとてもいいことで、その心の中にある悪い心を捨てて、これからもその悪い心をよみがえらせた内容。この組のみんなでいきたいと思いました。平和な心がいちばん大切で、こういう心が必要だと思いました。いじめとかもなくしたいです。
人の心の中には、どうしても悪い心があるから、その悪い心を心の中のごみ箱に捨てて、平和な心を持とう。
戦争のことだけじゃなくて、心の中のことだと思う。やっぱりみんな一人ひとりが心に平和を持たないといけない、ということだと思う。戦争 は、人の心の中で生まれるから、人の心で生まれないようにするということが、平和のとりでを築くだと思う。
僕は、平和のとりでを築くのは、ケンカやいじめを心の中で生ませないことだと思いました。
戦争だけではなく、今の子ども(私たち)も、平和のとりでを築き、いじめやケンカをなくしてほしいという筆者の願いだと思いました。戦争の平和でなく、いろいろな平和を築いていこうと私も思いました。
プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
書籍のご紹介
クラスがぎゅっとひとつになる!成功する学級開きルール&アイデア事典
編集後記
平和について考えさせられる文章を扱う授業の実践でした。いかがでしたでしょうか。
「自分がもっと学習してみたい文章を自分で選ばせる」という方法は、子どもが自主的に学ぶためにはもってこいの実践ですね。
私事ですが映像や写真など目で視覚的に学んだものは記憶に残っているなという実感があります。平和学習に限らず、他の分野の授業でも映像・画像を効果的に使いたいですね。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 横山尚人)

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