「武士の世の中へ」源平の合戦を通してメディア・リテラシーを身につける 後半 (佐藤和紀先生)

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作成者: 佐藤和紀さん

はじめに

この実践は資料の写真や参考文献リストをより多く載せるために2つの記事に分かれており、こちらはその後半になります。

前半では、この実践の概要や単元観、単元指導計画(10時間)などを紹介し、後半の記事では本時の展開や使用図書の紹介、授業者のコメントなどを紹介させていただいています。
前半はこちら→ http://edupedia.jp/entries/show/928

6.本時の展開

7.実際の授業の様子

(1)様々な資料・メディアから情報を集める

(2)それぞれの内容について言及する

(3)ICT活用の例:iPadとGoogleEarthを用いて場所や地形を調べる。

(4)逆落としは可能だったかについて資料を元にグループで討論する

(5)それぞれが意思決定を行う

黄色:逆落としは不可能と答えた児童の意見

水色:逆落としは不可能と答えた児童の意見

8.使用図書(一部紹介)

http://amzn.to/Yx6u5A

http://amzn.to/WxoH4N  

http://amzn.to/Yx6YZj

朝日新聞 2012.7.4.朝刊記事

http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201207030235.html

9.<授業者のコメント>

平安時代から鎌倉時代にかけて、武士の世の中へ変わっていく中で源平の合戦が繰り広げられていきます。これらを学習していく中で児童が疑問に感じることや、不思議に思ったことについて問題作りをした中の一つがこの授業となりました。

問題を解決していく過程で、批判的思考力やメディア・リテラシーを育みたいという思いから、一つのテーマを教科書だけではなく複数の資料で比較・分析し、自分なりの見解(意思決定)を示し、その考えを元に議論を行うという授業構成にしました。

「自分で資料を調べる」という主体性は資料を読み込んでいく中で児童自身に生まれ、最初に与えた資料をより深く読もうとしたり、百科事典やインターネットで関連情報を調べたりしていました。
資料自体はとても難しいものもあり、支援が必要なものもありましたが、支援をすれば十分に読解することは可能でした。

調べ学習はすぐインターネットで検索しがちです。児童自身が問題に対して十分な知識と見解がなければインターネットで検索しても、ほしい情報は見つかりません。ただ「答えを見つけようとする」ような検索に陥ってしまいます。情報はあくまでも問題解決のための手段である、ということを理解させるためには、まずは様々な資料を読み込むことが大切だと改めて感じました。

この授業を通して「教科書に書かれている歴史が必ずしも正しいとは考えずに、いろいろな情報から判断する必要があると感じました」という児童の感想が印象的でした。
(東京都北区立豊川小学校教諭 佐藤和紀)

10.<司書教諭コメント>

学校図書館には資料も少なく、公共図書館の学校支援の体制も整っていない中で、教材を先生ご自身の資料で補っているとのことでした。学級の環境としては、個人提供の資料、公共図書館から借りた資料、辞書・事典等の参考図書を整えておられるのがミニ図書館のようで素晴らしいと思います。しかし、本来なら資料相談ができ、資料を整えてくれる学校図書館や公共図書館の支援が望まれるところです。 

もしも、図書の時間があれば『ひよどりごえ』(源平絵巻物語第5巻 偕成社)を読み聞かせして、『平家物語』等の文学、義経の伝記、絵巻や屏風の表現などもしっかり読みこんで比較してもらえるとおもしろそうな題材でした。

「ひよどりごえ (源平絵巻物語 第5巻) 」今西祐行 著 (1979)
http://p.tl/keem

「平家物語 下」 吉村昭 著 (2010) http://p.tl/5wr2

「源義経」今西祐行 著 (1982) http://p.tl/7WdI

時間があれば、歴史の基本としては『武士の研究』(ポプラ社 2001年)
http://amzn.to/W3vN0y
ほか、歴史をきちんと取り上げている通史のこの時代のものも一緒に奨めてみたかもしれませんが、そもそも、あまり記述の少ないところなので、苦労することになりそうですが…。佐藤先生は短い時間でフォーカスできる資料をつかわれたのだと思います。「ブックリスト」に授業で取り上げられたものと、それ以外の文献もあげてみましたので、ご参照ください。(下記参照)

(東京学芸大学附属小金井小学校司書教諭 中山美由紀)

11.編集後記

歴史を事実として時系列に習うよりも、資料を比較して実際にあったことなのか批判的に考えることで、より深く歴史を知ることができ、歴史上の出来事をより身近に感じることができると思います。歴史を学ぶことは現在を考え、未来を創ることにもつながりうると思うのでこの授業は大きな意味を持つと思うのです。源平の合戦の一単元ではありますが、この学習を通して身に付ける批判的思考力はほかの学習にも十分活かせることだと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 杉田彩)

12.実践者プロフィール

佐藤 和紀 (さとうかずのり)
東京都北区立豊川小学校教諭
上越教育大学大学院で教育工学を専攻。大学院修了後、東京都公立小学校教諭に。第10回文部科学省共催インターネット活用実践教育コンクール実践奨励賞受賞。平成23年度総務省「放送分野におけるメディア・リテラシー教材活用に関する評価研究」委員。保護者と行うメディア・リテラシー学習プログラムの開発、授業におけるICT活用、情報モラル教育等の研究を行っている。現在、NHK学校放送「メディアのめ」番組企画委員。

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