本単元で身に付けたい資質・能力
町人の文化が栄え新しい学問がおこったことについて理解する。絵画資料や文化財、地図帳や地球儀、統計や年表などの各種の基礎的資料を通して、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けさせる。また、江戸時代の文化や学問の特色、出来事や人物の関連や意味を多角的に考え、それらをもとに説明したり議論したりする力を養う。そして、江戸時代の文化や学問について、主体的に学習の問題を解決しようとする態度や、よりよい社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとする態度を養う。
単元の評価規準
知識・技能
絵画資料や文化財、地図帳や年表、統計や年表などの資料で調べ、必要な情報を集め、読み取り、代表的な江戸文化や国学や蘭学の特徴を理解している。
思考・判断・表現
世の中の様子、人物の働きや代表的な文化財などから、問いを見いだし、江戸時代の文化や学問の特徴について考え、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
江戸時代の文化について、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
単元の展開【1~6時】
1時 都市のにぎわいと人々の楽しみ
・「熈代勝覧」を個人で読み取り、気づいたことや考えたことを全体で発表し合う。
・江戸時代の都市の様子や経済の発達について個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・豊かになった人々が生み出した文化や学問について調べていく学習問題(例:「江戸時代にはどのような文化や学問が生まれたのか調べ、キャッチフレーズをつくろう。」)をつくり、学習計画を立てる。
・個人で振り返りを行う。(フィッシュボーン)
2時 活気あふれる町人の文化
・歌舞伎を楽しむ人々の様子から、歌舞伎に対する人々の思いを個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・歌舞伎や浮世絵を例に、この時代に生み出された文化について個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・歌舞伎や浮世絵がさかんになった理由を個人で考え、江戸時代の文化の特徴をまとめる。
・個人で振り返りを行う。(フィッシュボーン)
3時 今につながる江戸の文化
・新しい文化を生み出す背景となった江戸時代の社会の様子を個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・浮世絵や写真から、江戸時代の人々の楽しみを個人で調べ、現在の文化とのつながりを考える。
・個人で調べ、考えたことを班で共有する。
・江戸時代に生まれた文化が現代まで受け継がれてきた意味を個人で考え、班で話し合う。
・個人で振り返りを行う。(フィッシュボーン)
4時 文化を支えた産業と交通
・浮世絵や地図から、江戸や大阪を中心として日本各地が陸路・海路で結ばれ、流通がさかんになったことを全体で読み取る。
・農村での生産や暮らしの変化を個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・流通が発達し、生産力が高まることによって人々の暮らしや社会の様子がどのように変わったのかを個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・個人で振り返りを行う。(フィッシュボーン)
5時 新しい学問
・2枚の人体図の比較や「解剖の見学」の想像図から、気づいたことを全体で話し合う。
・「解体新書」が出版された経緯や、伊能忠敬、本居宣長らの業績を個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・江戸時代におこった新しい学問とその影響について個人でまとめる。
・個人でまとめたことを班で共有する。
・個人で振り返りを行う。(フィッシュボーン)
6時 人々と学問、新しい時代への動き
・「寺子屋の様子」から、江戸時代の教育の様子を全体で読み取る。
・寺子屋や藩校、私塾でどのような教育が行われていたのかを個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・百姓一揆や打ちこわしのグラフなどから、江戸幕府に対する人々の不満が広がっていたことを全体で読み取る。
・教育の広がりや幕府を取り巻く環境の変化が世の中に与えた影響について個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・「まとめる」(P.166)も活用して、本単元の学習を個人でまとめる。(フィッシュボーン)
学びを整理する思考ツール「フィッシュボーン」
魚の骨のような形をした「フィッシュボーン」は、問題となっていることの原因の解決策を考えたり、自分の考えについて理由や根拠を整理したりするのに役立ちます。本単元では、江戸時代の文化と学問を調べ学んだあと、「キャッチフレーズ」を作成するツールとして活用しています。学習問題の最終目標である「キャッチフレーズ」を魚の頭に、その「キャッチフレーズ」を考えた根拠になるのが魚の骨の部分です。魚の骨の部分は、各授業の振り返りに使います。その際、あらかじめ観点(例:町人の文化・江戸時代の文化・産業と交通・新しい学問など)を記すことで、学習のめあてや振り返りがしやすくなります。

学習レベルは高くなりますが、観点を児童が考えることもできます。より柔軟な発想を持ったキャッチフレーズを考えることにつながるのではないでしょうか。
「思考ツール」を活用する際は、一つのやり方に固執するのではなく、児童の姿に合わせ、柔軟にやり方を変えていくことも大切だと思います。
参考出典
・教育出版「令和6年度版『小学社会6』年間指導計画・評価計画」
・NHK for School「思考ツール フィッシュ・ボーン図」
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執筆者プロフィール
nanalalala
元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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