本単元で身に付けたい資質・能力
大昔の日本でむらからくにへと変化したことについて理解する。遺跡や文化財、地図帳や年表などの各種の基礎的資料を通して、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けさせる。また、縄文時代、弥生時代、古墳時代の特色、出来事や人物の関連や意味を多角的に考え、歴史を学ぶ意味を考える力、それらをもとに議論したりする力を養う。そして、大昔の日本の暮らしについて、主体的に学習の問題を解決しようとする態度や、よりよい社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとする態度を養う。
単元の評価規準
知識・技能
遺跡や文化財、地図帳や年表などの資料で調べ、必要な情報を集め、読み取り、狩猟・採集や農耕の生活、古墳、大和朝廷による統一の様子を理解している。
思考・判断・表現
狩猟・採集や農耕など人々の生活の様子、古墳の広がり、国家の統一の様子などから問いを見いだし、この頃の世の中の様子を考え、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
狩猟・採集や農耕の生活の変化について、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
単元の展開【1~7時】
1時 大昔の暮らしをさぐろう
・「狩りや漁をしていたころの様子」の想像図から、人々がどのような暮らしをしていたのかを全体で読み取る。
・教科書の写真や資料、記述などから、当時の人々の暮らしについて個人で調べる。
・教科書の「米づくりが広まったころの様子」の想像図から、人々がどのような暮らしをしていたのかを全体で読み取る。
・2枚の想像図を比較して、何が変化しているかを全体で話し合い、それはなぜかを予想する。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
2時 学習問題をつくり、学習の見通しを立てよう
・教科書の2枚の想像図の読み取りからわかったことや考えたこと、知りたいことを全体で話し合い、学習問題をつくる。
・学習問題(例:「大昔の人々の暮らしは、どのように変わっていったのだろう。」)に対する予想を全体で出し合う。
・予想をもとに、学習問題を解決していくための方法(調べること・調べ方)について見通しをもつ。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
3時 米づくりが始まる
・米づくりの様子の想像図や田下駄、石包丁などの写真から、この時代の米づくりの方法や作業の特徴をつかむ。
・米づくりによって、人々の暮らし方がどのように変わったのかについて個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・米づくりが始まったことで、人々の暮らしにどのような変化が現れたのかを班でまとめる。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
4時 むらからくにへ
・吉野ヶ里遺跡の写真やその出土品などから、大規模な集落が生まれた頃の様子を全体で読み取る。
・どのようにしてむらからくにへと移行したのか、それに伴って人々の暮らしにどんな変化があったのかについて個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・邪馬台国のコラムなどから、王に率いられたくにの様子をつかむ。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
5時 古墳をつくった人々
・大仙古墳の大きさを調べ、身近なものと比較するなどして規模を実感する。
・想像図から、大勢の人々がさまざまな作業に取り組んでいることを個人で読み取る。
・個人で読み取ったことを班で共有する。
・班で共有したことを全体に伝える。
・古墳造営の困難さについて話し合い、誰が、どのような目的でこのような古墳をつくったのかを全体で考える。
・古墳造営に必要な高度な技術が、渡来人によって伝えられたことをつかむ。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
6時 古墳の広がりと大和朝廷
・前方後円墳の分布や出土した鉄剣・鉄刀から、広い範囲に強い勢力をもつ豪族が現れたことをつかむ。
・朝廷と各地の豪族との関係や支配の広がりを個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・「古事記」、「日本書紀」などに国の形成に対する昔の人々の考え方が表れていることを捉える。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
7時 まとめる
・学習問題とキーワードを全体で確かめる。
・学習してきた三つの時代の名称や特徴について、思考回路図をもとに個人でまとめる。
・個人でまとめたことを班で共有する。
・班で共有したことを全体に伝える。
・米づくりの広まりと人々の暮らしの変化のつながりについて全体で考え、思考回路図で表現する。
・個人で振り返りを行う。(思考回路図)
思考を可視化するために
児童の思考は「十人十色」。資料一つをとっても、児童によっては様々な読み取りや思考を巡らせていきます。また、その読み取りや思考が変化することも多々あります。その変化の積み重ねが大きな学びにつながっていきます。しかし、児童本人や教師がその変化に気づかなかったり、最後のまとめだけがゴールになっていたりすると学んできた過程が抜けていく児童もいるでしょう。思考を可視化することは、学んできた過程を記録することなのです。
思考を可視化することによって、発見や共通点、相違点などに「気づくこと」ができます。また、児童が友達の意見に対して自分と比較し「対話」が促進されていきます。本単元では以下の「思考回路図」を使って、思考の変化を可視化したものです。

以上のような「思考回路図」のフォーマットがあれば、単元の学びの過程を一目で確認することができます。また、学習問題や項目などを単元ごとに変えて使用することができ、学びをパターン化することもできます。学びのパターン化は、学習者が「いつものように学習を進めていく」という安心感につながります。是非、参考にしてください。
参考出典
・教育出版「令和6年度版『小学社会6』年間指導計画・評価計画」
・明治図書「教育科学 社会科教育 No.770」
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執筆者プロフィール
nanalalala
元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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